お馬さんならメイクデビューの新馬戦なのだが、ワタシの場合はニャ・チャン・マラソン。10キロ、走りました。
思えば去年の5月21日の晩ご飯を食べ終わった頃にふと思い立って、翌朝起きて、外に出て走りだした。はじめは目が回って10mも走れなかった。その半年前から靴は用意してあって、じっと機が熟すのを待っていたわけだが、5月21日の晩ご飯に何を食べて、その時ワタシの身に何が起こって、翌朝走り出したのかはわからないけれど、ソレからというもの、このマラソンに出ることが一つのイキる目標のようなものになっていた。だから終わって、とりあえずもうイキる目標がなくなったわけだが、すぐに次はホノルルマラソンかニューヨークシティマラソンかに出てみたいな、みたいなキモチになって、でもとりあえず湘南国際マラソンくらいにしておこかな、みたいなところがいまのキモチ。
フルマラソンはワタシには向いてないんじゃないか、というか、やっぱりスピード競争的なものがないとしたら、何時間も走り続けることにキモチを集中できない。たとえばフルマラソンを6時間かけて走りとおしました、なんていうのはワタシには意味のあるコトとは思えない。せめて4時間だ。テレビで24時間走り続ける、あの拷問のような場面を見させらるとウンザリする。あんな苦痛を味わいたいとは思わない。痛ましい。やっぱりムラカミさんも書いている通り、走り続けないとスポーツとは言えない。
で、今回は、ワタシはこれまで路上を10キロ走りとおしたことがないのだが、ランニングマシーンで1時間ギリギリくらいだったのが、初路上で、なんと56分台で走れた。マラソンなら4時間のペース。マラソン的には辺境の地でレベルも相当低かったとはいえ、順位的にはかなり上。競争だからこういうことは重要だ。でも、4時間あの調子で走り続けられるかというと、まったく自信がない。
レースは地元のおエラ方の長―いスピーチでスタートが遅れ、ハーフの一団が逆方向に少し走って、折り返して戻ってきてスタート地点を通り過ぎたあとにやっとワタシの10キロがスタート。もう太陽が昇り始めて暑く感じ始めていた。ベトナム人がたくさん見に来ていて、なんかニッポンから大勢来ている団体ツアーのヒト達と一緒に見られて恥ずかしかったので、やや照れ気味に走りだしマシた。
みんなけっこうな勢いで飛び出して行ったから付いて行けなかったのだが、すぐに2キロくらいのところで遅れ始める人たちがいて、どんどん上のほうに上がった。とはいえ先頭集団はベトナムコクミン体育大会の選手のようなヒト達で、10キロを35分くらいで走るペースでもう見えないところにイってしまっているから、ワタシ達はニッポンからのシミンランナーってな顔でのんびり走っていくわけだが、走っている本人たちはけっこうもう大変。それでも閉鎖された、と思ってばかりいて、途中からバイクがすぐ横を走り抜けていくスリルと恐怖あふれるコースと化していくのだが、そういう道路を走るのはキモチよかった。セッケスとマラソンとどっちがキモチいいかは議論の分かれるところだろう。
で、ワタシは時計とか持っていなかったので、いまジブンがどういうペースで走っていて、この先モツのかとか、あと何キロで折り返しかとか全然わからず、2キロおきに給水がありますっていうかなりおおらかな情報をもとに走り続けた結果、途中で折り返しのベトナム陸上界の有名選手たちとすれちがって、彼らは生活がかかっているから必死で、しかも裸足で、ハダカじゃなく、裸足で、、それで、ああもうすぐ折り返しだな、と思ったのが間違い。ほんと、折り返しまでが長かった。
折り返し前後は7,8人が視界の中にあったが、ワタシは必死で、というか、それほど必死でもなかったのだが、前を行く3人位を追いかけ続けたら、いつの間にかうしろには誰もいなくなっていた。
朝早かったからビーチにはビキニのおジョーもいなくて、前を走るのは全員オトコで、モチベーション的には低かったのだが、ものすごく苦しいというほどではなく、ゴールの高層ホテル街が見えてきた頃には苦しみの快感の中に浸っていた。最後の1キロくらいのところで二人は抜けると思った矢先、給水のワリとかわゆいおジョーが差し出したペットボトルと、レストランとかで出てくる袋入りの紙おしぼり! これを走りながら破って汗を拭けって言うのか、と思いながら、ペットボトルも鉄アレーのように片手に持ったまま走ったのがタタって、だんだん差が付き始めてもう抜かなくてもいいやと思いながら紙吹雪舞う最後の直線コースに入った。ウソ、紙吹雪は舞っていなかったけど。
まあ、最初にも書いたけど、こんなチンタラ走る一般人のワタシのために道路を封鎖してくれてみんなが集まってくれて、これはほんとに申し訳ないというか、一度やったらやめられなくなるんじゃないかという気がした。ワタシ的にはもう1回くらい10キロを走ったら、ハーフくらいには挑戦したい。ハーフ、2時間。とりあえずはアパートのランニングマシーンを独占できるのは昼飯時だから、日曜に2時間走ってみよかな、っと。