パタゴニアは南米チリとアルゼンチンにまたがる
広大な地域。ここを訪れたマゼランが、原住民の足が大きいことに驚いてパタゴン(大足族)と名づけたことから、この場所がパタゴニアと呼ばれるようになった。らしい。
これを会社名にして、アウトドアウエァの店を世界中に開いているのがイヴォン・シュイナード氏率いる「パタゴニア」で、昨日の朝日の土曜版に大きくインタビューが載っていた。
それを読むと実にユニーク(ヨーロッパ的な褒め言葉として)な会社で、利益追求のための事業拡大は行わず、余分に儲かった分はパタゴニアの土地を保全のため買い取ったり、環境関連のNGOに寄付したりしている。時間を有効に使って効率的に仕事をすることを社員に求める一方で、勤務時間はフレックスで、いい波がでた日にはまずはビーチに行ってサーフィンをするようなことを奨励している。
ま、それで儲かりゃいいじゃん、、という気にもなるし、建前だけは環境第一で、世界中に排気ガスを撒き散らす車を売りつけて、下請けを絞りに絞り上げた結果として、何兆円もの利益をあげているような大会社をはじめとして、そういううわべだけの環境優先企業はニッポンにはいくらでもある。パタゴニアがうわべだけなのかどうかはこの記事からは読み取れないが、かなり儲かっているところをみると、言ってることを100%鵜呑みにしていいとも思えない。
ただこのシェイナード氏のおもしろいところは、単に環境問題への関心が高いということでなく、環境問題については、そのうち手遅れだということがわかるだろう、というように実に悲観的に見ていることだ。まさに悲観的に考えて楽観的に行動している典型で、そのへんには共感を禁じえない。
天動説から地動説に変わっていった頃と同じように、今でもアメリカでは大統領も副大統領も地球温暖化を信じていないし、地球の歴史がまだ6000年しかないと思っている。あのサルのような国家元首なら仕方ないとも思えるが。
2,3日前に決まったサミット(スーパーマーケットじゃなくて)の、温室効果ガス50%削減目標も、簡単にはできない。エアコンは27度で、かりゆしルックでクールビズとか、、のん気なことを言ってる場合じゃない。
発電は今ある水力発電所以外は閉鎖で、風力も太陽光も機械をこれからつくるのは禁止。当然エアコンは禁止、テレビ・パソコンも新しくは作らない。電子レンジなんてありえなーい。自家用車は禁止、新しい建設は禁止、食べ物は自国で採れるものだけを配給制で売るだけ。というか、シゴトは道路や駐車場を掘り返して畑にするだけ。
それでももう始まっていることだが、平均気温が少しずつ上がって、北極の氷が溶けて海面が上昇し陸地の何%かが失われる。わずかな気温上昇にも追従できない生物から絶えていき、生命循環システムが崩れはじめ、そこから未知の病気や遺伝上の変化が広まっていく。ジェットコースターと同じで登りつめたらあとは落ちるのは速い。まあこれでも明るく描きすぎなところがあるかもしれないが。
思い返せば1992年のリオデジャネイロでの行動計画が間違っていた。持続可能な開発(Sustainable Development)なんてあり得ない。今じゃニセ環境優先企業のセールス文句にしかなっていない。ゼネコンとか設計屋とか。
たとえばエコロジーな車に乗ることは、見方によっては最悪な行動だ。環境のことを少しは考えているけれども、これ以上のことはしないと宣言しているようなものだから。