デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

友達夫婦の危機と「結婚」について

2009-03-04 05:14:59 | 思ったこと・気づいたこと
 夫の友人のデンマークに住むカップルが、今、別居するかどうかを話し合っているそうです。毎年、デンマークに行くたびに、家族ぐるみ、そして友達ぐるみで会っているカップルです。そして、思えば私が一番最初にデンマークに行ったときに、夫がデンマークに到着するまで何時間か彼らの家で待たせてもらったという、私にとってとても大切な、デンマークへの入り口となってくれた人達です。

 初めて会ったころはまだ彼らの子どもも小さく(4歳、7歳、11歳くらい)、彼らも忙しかったでしょうし、自分たちの関係を見直すような時間もなかったと思います。でも、あれから8~9年たち、子どもたちももう手がかからなくなって来るうちに、状況が変わっていったようです。

 何年か前に離婚を前提に、1週間交代でお互いの実家に戻り、別居を試みるということを彼らはやってみています。そしてその際に結婚カウンセリングを受けて、「お互いにありのままを受け入れましょう」「相手に期待してやってもらうのではなく、相手に何かやってあげようとすること」などというカウンセラーのアドバイスをもらい、彼らもおそらく自分本位であった部分などに思い当たり、修復の方向へと向かったのでした。

 それからまた時間がたって、その間、バスルームのリフォームなどを楽しそうに見せてくれた彼らでしたが、去年の夏に会ったとき、彼らの間に何かが消えてしまったように私は感じていました。彼らの間にあった暖かいキャンドルの火みたいなものが消えてしまったように感じたのでした。

 今は彼女はすでに自分のアパートを借り、出て行くつもりでいます。本当にこのままなのか、それともまた別居などを経て、やはりお互いの大切さを改めて思って戻るのか・・・。特に大きな理由がある離婚ではないので、周りの家族や友人たちは寂しい気持ちで見守っていることと思います。理由としては、彼女が彼と一緒にいることが楽しくないからと言っています。彼は彼女の家事に対する姿勢などに不満があるけれど、でもそれでもそんな彼女を受け入れてやっていきたいと思っているようです。

 私もこの8~9年の間に妻となり、母となり、それなりに結婚生活とやらを経験してきた中で、結婚とはなんだろうとしばしば考えます。当初思い描いていたような結婚は、子どもを持つといろいろと変化し、今では「当初思い描いていた結婚」が何だったか、思い出せないくらいです。

 私について言えば、結婚はその最初のイメージが壊れてからの「再構築」ができるかどうか、というものだった気がします。相手への不満、相手の短所、度重なる喧嘩、終わらない家事、夜泣きをする子ども、お金の問題などなど、いろいろなマイナス面を経験して、最初に構築したはずの結婚が壊れて、そこから再構築が始まり、今に至っています。(最初に構築したまま、今に至る結婚もあるのかもしれまんが・・・。)

 でも夫婦には安定などないのだとも思います。再構築はずっと続く作業で、次々出る問題、状況の変化、子どもたちの成長につれての変化などのたびに、夫婦の間が微妙になります。逆にそういったことを、話し合いやこちら側の考え方の切り替えなどによって乗り越えることによって、夫婦の絆が深まっていくのだとも思います。その友達夫婦は、子どもが成長して夫婦として新しいステージに入ったときに、いろいろと見えてしまったのかもしれません。

 それからもうひとつ思うのは、結婚する前も大切だということです。彼らはとても若くして結婚しました。ですから、十分に独身時代の自由を堪能できなかった。年齢だけではないけれど、一人の生活を十分に堪能したという実感があることは、私は大切だと思います。彼女は今、そういう自由に憧れ、つまらないことも多々ある結婚生活をやめたいという心境になっているのかもしれません。ちょうど『めぐりあう時間たち』のジュリアン・ムーア演じたローラのように、一人で切り拓く人生というものをつかんでみたいと思っているのかもしれません。

 私も自由に憧れるし、気ままな一人暮らしを1週間くらいやってみたいものだとも思うし、夫といていつも「最高に楽しい」と思っているわけではありません。この前見てきた『ベンジャミン・バトン』のブラッド・ピットのベンジャミンの新婚生活のような、素敵な毎日とはほど遠い生活をしています。それでも私がなんとか今の生活に満足しているのは、一人の生活は十分に楽しんだ、今は家族の生活を楽しもうと自然に思えるからかなと思います。

 家族ぐるみで仲の良いカップルの危機に際して、初めての経験ということもあり、いろいろと「結婚」について考えることが多い、今日このごろです。