孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

ハイッ、ちーずう ! (チョキ)

2015年01月03日 | 日記
何年か前のことですが、夏の登山シーズンの二ヶ月だけ、富士山五合目にて登山者の登山案内と観光案内のアルバイトをやったことがあります。私は外国人登山者の担当で、中でも英語が通じる方を担当しました。他に中国語と韓国語を担当する方がそれぞれ一名ずつと、日本人登山者の担当の方が全部で六名いました。

登山案内といっても、軽装備の登山者に注意を促したり、山小屋の案内や天気情報や登山ルートの最新情報、近隣の観光案内などを伝えるのが仕事でした。標高3770メートルの山を登ろうとするには、とんでもない軽装できたり、ヘッドライトや懐中電灯も持たずに暗い中を登ろうとする向こう見ずな素人が大変多く、しばしば険悪なムードになることもありましたが、我々には制止する権限は与えられてなかったので、最後は「無理をしないでくださいね」と言うのが虚しかったものです。

これから登ろうとする人や、ヘトヘトになって下山した人たちが、記念撮影をするのをお手伝いしたりすることも多々ありました。韓国ではシャッターを切るとき「キムチー!」と言うことを知ったのもこの時です。英語圏では「Say, Cheese !」が一般的で、日本の方もほぼ全員が「はい! チーズ!」と言っています。

ある時、同僚の中国語担当の王さんという若いお嬢さんが、記念撮影をするグループを見て、「日本人は、変だよ。」と小声で呟きました。「何が??」と私が尋ねると、王さんは待ってましたと言わんばかりに持論を披露してくれました。曰く、「だって、日本人は Cheese じゃなくて、『ちーずぅ』って言ってシャッターを押すでしょ? Cheese の『チー』の時に歯が見えて綺麗な笑顔になるのに、『ちーずぅ』と言ってからじゃ、『ずぅ』の口をした顔で写っちゃうでしょ。」なるほど、と思って聞いていると、王さんは続けて、「・・・それに、なんでみんな写真を撮るときチョキを出すの?アレ、何の意味??」

王さんは、中国の重慶の出身で、日本に留学で来て、卒業後もそのまま日本で結婚相談所のコンサルタントとして仕事をしているそうです。同じ中国人の留学生と結婚して一児の母となり、子供は中国の実家にあずけて、ご主人共に日本でお金を稼いでいるとのことでした。

写真を撮るとき、なぜみんなチョキを出すのか私は分かりませんが、チーズの話は大変興味深く聞きました。それよりも、王さんが日本人の登山者にシャッターを頼まれたとき、いかにもわざとらしく「ハイ、ちーずう!」と言って「ずう」のところにアクセントを置くのが、面白くて面白くて、日本人の登山者たちがカメラを出すと、みんなすぐに王さんを呼んで、知らせたものです。



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