指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

荒砂ゆきだった

2014年05月04日 | 映画
本日のコニカラーは、俳優座の劇『森は生きている』
ソ連の民話の劇化で、俳優座で児童劇として上演されてヒットしたもので、それの映画化というよりも、舞台のものをそのまま映像にしたという感じで、映画的な照明もなく、俳優のメークが舞台のものなので、顔が誰だかよくわからなかった。
話は、わがままな女王(宮崎恭子)が、12月31日に、春の花のマツユキ草を持って来いと部下に命じると、国中にその命が行き渡る。
宮崎は、言うまでもなく仲代達也と結婚し、後には陶巴の名で作・演出をし、仲代と無名塾を作った女性である。
ある村に強欲な母親がいて、これが岸輝子、その娘は牧よし子で、いじわるな二人は、まま娘の安田チエ子を森に出して花を探させる。
森で、心の正しい娘に同情し、1月から12月までの神々が協力して、娘に花を授けてくれる。
それを持って欲張り婆と娘はお城に行き、女王に会う。
定石通りの展開があり、悪者の仕業は暴かれ、良い娘は美しく変身し、最後は幸福を得る。
と同時に、わがままな女王も、大きなことを学ぶ。

製作は俳優座と近代映画協会で、撮影は前田実、美術は平川透徹と旧独立プロ系で、スタジオは調布撮影所を使用している。
監督の木村荘十二は、戦前はプロキノからPCLを経て、満映にいた人で、戦後は中国で映画の指導をしていたので、帰国が遅れ、これが戦後の1作目となった人である。
音楽は林光で、彼の劇音楽の初期の代表作である。
さて、主役の娘安田チエ子を家に戻ってネットで調べてみると、なんと荒砂ゆきとある。

日活ロマンポルノにも出た荒砂であるとは驚いた。
俳優座から劇団四季、ラジオのDJなどをやった後、荒砂ゆきの名で、セクシー女優になったらしい。
因みに荒砂とは、アレサ・フランクリンからとったとのこと、昔ラジオで言っていた。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
リスボン特急 (広い世界は)
2024-04-02 00:50:31
荒砂さんは俳優座9期生。劇団四季の所属です。神代作品「鍵」、若松作品「天使の恍惚」、映画・TV多数です。「リスボン特急」のドヌーヴ、キム・ノヴァク、ウルスラ・アンドレス、「刑事コロンボ」の吹き替えもやられています。ご存命です。
木村監督作品「彦六大いに笑う」キネ旬8位、
「兄いもうと」キネ旬7位です。桜隊で園井恵子と共に原爆で亡くなった丸山定夫が兄の伊之をやりました。成瀬作品では森雅之、今井作品では草刈正雄が演りました。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。