狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

筆坂秀世『日本共産党』を読む

2006-05-18 22:47:05 | 怒ブログ

久しぶりに、本屋を覗いた。
学習塾講師のVさんのブログで「転落の歴史に何を見るか▼奉天会戦からノモンハン事件へ 齋藤 健(ちくま新書)の記事があった。Vさんは、

>本当は別の本のご紹介をするつもりで、探していましたが、今ふと本書の著者の名前を見て、「サイトウケン?」 あれ?「さいしょはぐー、さいとうけん」の千葉7区のあの候補者と同姓同名だと…。同姓同名どころかご本人の著作を読んでおりました。実にお恥ずかしいのですが、偶然、気付き、ぜひご紹介したいと思って書いております。

と断わったあと、その内容を最大級に評価して、
>齋藤氏に勝った『補導歴のある元キャバクラ嬢』と冠が付く、民主党公認の太田さんが云々ではありません。私には千葉7区の選挙権はありませんが、選挙の構図を、【エリートの落下傘候補VS地元苦労人議員】、または【小泉パフォーマンス戦術VS新生小沢民主党】 という形にすっかり自分が乗ってしまっていたことを深く後悔しました。

>小沢氏の登場と同時に、自分の知名度が低いためにあわてたのでしょうが、くだらないパフォーマンスなどするから、逆に人をバカにしていると取られるリスクの方が大きいと思うのです。選挙というものは、私のようなしろうとが考えるほど単純ではないでしょうが、それでも、正々堂々と自分の主張を掲げ、普通にマスコミが報道していれば…。と思わずにはいられません。
というように結んでおらた。

勿論ボクも、千葉7区の選挙権とは無関係からの故ではないが、何もかも知らなかったことを恥ずかしいと思う。ただ落下傘候補が敗れたという痛快感だけが印象に残るだけであったから。

ボクの雑本購書量は、近所を見渡してみて、同年代の人や、嘗ての同業者たちと較べると比較的多いほうだと思っていた。
ところが気が付いてみると、ちくま新書は、これまで一冊も所持していなかった。

Vさんのブログに刺激されて今日は町の大手系列の本屋の店頭に立ち寄ったワケである。

まず一番最初新書コーナーに直行した。2002年3月発行のこの本が並んでいる筈はない。目的は「ちくま新書」を眺めたかったからである。
しかし、ボクはすぐ傍に大量に並んでいる新潮新書
 筆坂秀世著「日本共産党」に釘付けされた。迷うことなく購入したのがこの本である。(2006・4月20日発行、2006.5月15日 5刷)たいそう売れているようだ。

 ボクは筆坂秀世のセクハラ事件、その電撃的議員辞職には何か煮えきれぬものがあった。ご丁寧にも、その朝日新聞記事を日記に写し取っておきた記憶がよみがえったのである。

 日付は冒頭の「序章なぜ私は入党し、離党したのか」で2005年7月とすぐ分かったから捜すのには時間がかからなかった。まずとりあえず日記にある朝日新聞記事を引用貼り付けてみる。

>筆坂議員、セクハラで辞職 「酒席」で事実認める。(筆者書き込み・朝日新聞の一面記事なり)

 共産党製作委員長の筆坂秀世参院議員(55)は24日午前、自らのセクハラ問題の責任を取って、倉田参院議長あての議員辞職願を参院秘書課に提出した。同党の市田忠義書記局長が同日、緊急に記者会見して明らかにした。セクハラ問題を理由にした国会議員の辞職はきわめて異例だ。

  政策通、突然の退場 党側「詳細言えぬ」

 鋭い国会質問で知られる共産党の筆坂秀世参院議員(55)が24日午前、突然、議員を辞めた。理由は、酒席での女性に対するセクハラ行為。国会やテレビで与党の腐敗や醜聞を追及してきた政策通が、自らの醜聞で引責辞任した。(1面参照)
24日午前11時。国会の党控室で市田忠義書記局長があわただしく緊急記者会見をした。

「5月27日、ある女性からセクハラの通知があり……本人も認め自己批判し……辞職した」

いつも朗らかな市田氏が沈痛な面持ちで語り始めた。質疑では、「相手の立場もあり、詳しいことは言えない」を連発。「電撃辞職会見」は20分ほどで打ち切られた。この問題は党内でも、党中央委員を兼ねる国会議員だけが知らされていたという。

しかし、同党は不祥事の詳細を発表していない。「ある女性に酒席でセクハラ行為をし、精神的苦痛を与えた」と説明しただけ。筆坂議員も「私の行為で不快な思いをさせてしまった」「今後、一人の党員として、初心にたちかえって生きていく所存です」などとする談話を発表したきり報道陣の前に姿を見せなかった。

「がっかりした」「どういうことなのか」
都内の共産党中央委員会には、テレビで議員辞職が伝えられた後から、党員による問い合わせが殺到し始めた。

同党職員は「まじめな人という印象。政策面では党をリードし、テレビの討論番組などで党を代表して出ていた人だけに対外的な影響も大きい」とショックを隠しきれない様子だった。

横浜今日も1点差で負けた。(筆者書き込み:プロ野球の結果)

   議席の重さ  辞める人、辞めない人

すっかり免疫ができたせいか、国会議員の不祥事を聞いても驚きはない。しかし、今度ばかりは違った。
共産党参院議員の筆坂秀世氏がセクハラ問題を起こした責任をとる、と突然辞職した。セクハラ辞職は国会でも例がない。

いったい何があったのか。酒席で被害を受けた女性から告発があり、本人も認めたというが、それでは不十分だ。
ふだんから疑惑追及の先頭に立っている共産党ではないか。中でも筆坂氏は鋭い質問でお茶の間の人気がある。「辞めます」だけでは済まないと思う。

セクハラは許されない。社会的な地位を笠に来たのなら、なおさらだ。被害者に配慮しつつ、辞職したいきさつを語るべきだ。国会議員の職務や責任はそれくらい重いはずである。

中学校の公民教科書を開くと、「民主政治は国民の代表者である議員がつくる議会によって行われます」とある。
しかし、不祥事や疑惑まみれになっている議員は、もはや私たちの代表とは言い難い。秘書の口利き疑惑が発覚しても、暴力団関係企業に秘書の給与を肩代わりしてもらっても、辞めない議員たち。彼らは「代表者」としての身分保障に悪のりしているとしか言いようがない。

かばうつもりはさらさらないが、こんな人たちばかり見ていると、筆坂氏が潔くさえ映ってしまう。それほど国会は世の常識から離れている。

「国会は疑惑のデパート」とはよくいったものだ。松浪健四郎、大島理森、鹿野道彦、額賀福四郎ら……。中には事実関係を認めながら、廊下をかっぽしている議員がいるのだから、何をかいわんやだ。
更に剛の者は、汚職で逮捕され拘置所暮らしながら議員歳費をもらっている鈴木宗男、坂井隆憲の両被告である。

「何があっても議員は辞めない」
いっそのこと、そんな綱領を掲げて新党を結成してはどうか。名前は日本疑惑党とでもすれば、わかりやすい。

プロ野球界では、八百長疑惑をもたれて野球界から永久追放された選手たちがいた。その厳しさと、「私たちの代表者」の甘えを比べること自体が悲しい。

この間、国会を去った議員もいる。山本譲司、加藤絋一、田中真紀子、辻本清美の諸氏である。参院でも、KSD事件で小山孝雄、村上正邦両氏は逮捕され辞職に追い込まれた。現参院議長だった井上裕氏は秘書の裏金疑惑で辞職した。

厚顔無恥な居座りよりは、もちろんましだ。しかし、辞めればすべてが解決するわけではない。筆坂氏の辞職は、改めてそんな思いを起こさせる。
公民教科書はこうも言う。「国民が選んだ国会議員がどのような活動をしているか、注目していきましょう」。そう、最後はまた私たちの問題なのだ。ー以上

本は一応終いまで読み終えた。しかしまだ感想を書くまでには至っていない。
新聞記事引用だけに留める。