法人税は国税なので、全額を本店所轄税務署へ納付すれば良いのだが、地方税である法人事業税・法人住民税については、複数の都道府県・市町村に事務所や事業所を有する法人の場合、それぞれの事業所等が所在する行政別に納税しなくてはならない。
その方法として、まず全社の利益や法人税額を基にした課税標準額を、各地方行政単位に振り分けることになる。この振り分ける方法を「分割基準」と呼んでいるのだが、その多くを各事業所ごとの従業員数を基にした方法に頼っている。そして実はこの従業員数の把握がなかなか曲者であり、間違い易いのであるがこれらを具体的に解説した書籍が実に少ない。それで今回は、その人員把握のポイントを三回に分けてまとめてみることにした。
1.分割基準における従業者数とその所属場所
(1)従業者とは
実際に給与を支払いの有無に関わらず、給与の対価として労務等を提供している人をいう。具体的には、従業員・役員のほか、アルバイト、パートタイマー、派遣社員等の人数も含むことになる。
(2)間違い易い具体的な所属等について
事例1: 給与支払事務所と勤務している事務所または事業所が異なる場合
回答1) 勤務している事務所の人員に含める
事例2: 転勤によって勤務すべき事務所または事業所が1月のうち複数ある場合
回答2) その月の末日に勤務すべき事務所の人員に含める
事例3: 1月未満で複数の事務所または事業所を巡回しており、主に勤務すべき事務所がない場合
回答3) 給与を支払っている事業所の人員に含める
事例4: 期末日現在、連続して1月以上同一事務所に出張している場合
回答4) 期末日現在、連続して1月以上勤務している事務所の人員に含める
事例5: 複数の事務所に兼務している場合
回答5) 給与を支払っている事業所の人員に含める
事例6: 給与支払を受ける法人と勤務している法人が異なる場合
回答6) 勤務している法人の勤務事業所の人員に含める
事例7: 1月未満で複数法人の事務所を巡回して、主に勤務すべき事務所がない場合
回答7) 給与を支払っている法人の給与支払事業所の人員に含める
事例8: 期末日現在、連続して1月以上他の法人の同一事務所に出張している場合
回答8) 出張先法人の出張先事業所の人員に含める
事例9: 複数法人の事務所に兼務している場合
回答9) それぞれの法人の勤務事業所の人員に含める
※ 従業者の数に含めない者
* 研修施設において、研修を受ける者
* 勤務すべき事務所または事業所が分割基準の対象外(例:国外支店勤務など)
* 勤務すべき施設が事務所または事業所ではない(例:乗組員など)
* 病気欠勤者など1月以上勤務していない者(長欠者)
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