車椅子で卓球@渡邊剛

2013年より車椅子卓球をスタート。備忘録の意もこめてここにブログを綴ります。
内容は基本パラ卓球、時々食文化。

世界チャンピオン!

2017年03月26日 22時23分21秒 | 日記
土日二日間、どちらも一日どっぷり練習三昧、それもコーチとの濃い練習だけに留まらずこれまでにもお世話になった複数の健常者の方に練習していただくというのはレアなこと。

実に幸せな二日間だった。



でも、その幸せにはもうひとつの要因が。

なんと、お世話になっている卓球場で偶然にも元世界チャンピオン(もちろん健常者・卓球の)にお会いしたのだ!

扉が開いてそのお姿が目に入った瞬間に体が硬くなった。

その方の一言一言、一挙手一投足がもう気になって気になって、自分の練習に集中できなかった(笑)

まぁそれはこれまでも卓球場などで全日本選手に遭遇した、代表選手のコーチに遭遇したなど、そういう場合僕にとってはいつものことなのだけれど。



周囲のお気づかいもあってご挨拶させていただき、僕のラケットも手にとって見てくださり、ラバーについてのことも声をかけていただき、固い握手と一緒に写真、そして最後に一言「頑張ってくださいね」までいただいた。

コーチと練習している際も時折僕のフォームや打球などを見てくださって、メンタル・トレーニングにもなるようなプレッシャーの中で実に良い経験をさせていただいた。



でもこの時から身体の使い方に関して自分の中で変化があった。

なぜできないのか?

どうしたら出来るようになるのか?

それを考えているうちにひとつの答えにたどり着き(それが正しいのかどうかは分からないけれど)、それを実践し結論を得るに至ったような感覚があった。

だから、その日から練習後の疲労感が変わった。

自分でも驚くほどに変化があった。

これはまさに世界チャンピオン効果(笑)

この感覚を忘れないようにしたい。



自分を追い込むような環境、状況に身を置くことで初めて見えるものや、それこそ至る境地があるのかもしれない。

おそらくトップ選手というのは毎日がその連続で、常に自分を追い込み、また追い込める環境に身を置き絶えず努力を積み重ねているのだと思う。



僕らは障害者であるが故に怪我もし易い。

身体の面でも人それぞれではあるけれど大小さまざまな悩みや問題を抱えている。

単純に身体を思うように動かせないということもあるので、健常者からすれば気を使う対象であり、そんな人を追い込んで頑張らせるなんてことはそうそう出来ないと思われる。

であるが故に、言葉は悪いが障害者だからこその甘えが利くことを障害者は知っている。

もちろん、みんながみんな甘えているわけではないけれど。

でも僕が知る限り障害者というのはそういう一面もある。



だからこそ、指導者としてスポーツを共に取り組む健常者との間に必要なのはお互いの理解、関係性なのだと思う。

それがなければ成長させるために「追い込ませる」ことも出来ないし、「出来る限り頑張りなさい」の一言すら言えなくなる。

易々と甘えることを許してしまう。

障害者スポーツにおける別の難しさがそこだと思う。

そもそも競技として取り組むスポーツにおいては同じ漢字でも「楽しい」ことと「楽」であることは全く別のはず。

でも障害者スポーツにおいてはそれが同じであるケースが多い。むしろ大半を占めているように思える。

つい最近まで障害者スポーツは厚生労働省の管轄だったので、「スポーツ」であるまえに「運動」「リハビリ」という捉え方をされていたのだろうからそれはそれで当然のことなのかもしれない。



でも、成功している、世界で成績を残している競技はその点がしっかりと出来ているらしい。

とある競技のナショナル・チームの合宿を見学したという友人(健常者)に聞いたことがある。

もちろん障害を持つ選手へのケアはきちんとされてはいるけど、それ以外の部分については健常者の厳しい指導となんら変わりはないという話だった。追い込んでいたという。

ごく一部の「アスリート」はやはり「楽」であることを優先したりはしないのだ。

その事を知る友人も僕の練習に付き合ってくれるのだから実にありがたい。



世界チャンピオン効果を、僕を甘やかしてはくれない健常者の友人たちとの練習で確かめ、日々それを繰り返していく。

そうした世界レベルの指導者の力をお借りしたいと思ったら、まず自分自身がその土俵に上がれるだけの器にならなければならないのだと思う。

コストをかけて指導いただくことは簡単なこと。

お金があれば済むのだから。

でもその指導を活かせるかどうか、指導する側から見て指導し甲斐を感じるかどうか、その結果指導の内容も変わるだろうし、次の指導があるかどうかも変わるはず。

それを決めるのは自分自身なのだと思う。



そうした取り組みを重ねていかなきゃ、世界の連中相手に渡り合うことは出来ない。

世界チャンピオン効果は僕の中で単なる技術面だけに留まらずモチベーションにも拍車をかけてくれた。

本当にありがたいことです。

そしてそういうチャンスというか環境を与えてくださったみなさんと、その効果を実践する機会を与えてくれる友人達にも厚く感謝。

台で打つ時間も、それ以外の時間も、卓球に取り組める時間全てが楽しく幸せでいっぱい(笑)

その幸せが結果に結び付くよう、楽しいだけで満足しないことを心に決める。

世界チャンピオンに「あいつ知ってるよ」と言ってもらえるように、しっかり頑張ります!

メンタルとフィジカルのトレーニング

2017年03月24日 23時31分45秒 | 日記
先日、リオデジャネイロ・パラリンピックでメダルを獲得した某競技日本代表選手とランチを共にした。

ごく短い時間だったけれど、いろいろなお話を伺えたのでもの凄くありがたかった。

「また是非行きましょう!」と言っていただけたのがまた嬉しかった。



僕がその方に一番聞きたかったのはフィジカル・トレーニングの話。

フィジカル・トレーニングといっても内容はいろいろあるので、具体的なメニューではなく、どういう内容のトレーニングをどれくらいのスパンでやっているのかなどを聞かせていただいた。

もちろん競技によって必要とされる筋力や持久力・瞬発力は異なるので、そのままを真似るつもりはない。

ただ僕が参考にしたかったのはナショナル・チームのメンバーがどのような意識を持ってどのように取り組んでいるのか、ということ。

国際大会でも海外の選手に聞いたりもしてきたけれど環境も考え方も世界各国それぞれで大きく異なるし、しいて言えば彼らがどこまで話してくれてるのかも分からない。少なくとも100%ではないでしょう。
なので同じ種目だけれどそれはあくまでも目安といった程度に過ぎない。

反面、種目は違えどやはり同じ日本人選手に日本語で詳しく聞く方がより参考にし易い。

具体的に必要な筋肉などは種目によって違うけれど、そこは専門家に聞けばいいだけの話。

大切なのはそれに費やす時間や取り組む姿勢のお手本を知るということ。

今回はそれを聞くことが出来たのですごく嬉しかった。



そしてメンタル・トレーニングについては特に伺うことはしなかったけれど、話の流れから試合中のメンタルについて聞くことが出来た。

僕の考えをお話しすると、度々深く頷いてくれていたのでそれは共通する感覚というか意識をお持ちだったんだろうなと思えた。

お互いに一番共感し合えたのは「自分が休んでいる間にあいつらはしっかり練習しているんだろうなって思うと、やらずにはいられませんよね」ということ。

専門誌でも引退されたトップ選手がコメントされてた。

「自信を持ってやれている人っているんですかね?選手は不安だから練習する」のだと。

みんなそうなんだ。

その他にも考え方の似通ったところは多いようで、お互いに「ですよね!」と相槌を打つシーンが多々あったので、独りよがりだけれどかなり嬉しかったし、その方も「他競技の方とこうしてお話しする機会ってあんまりないからすごく刺激になります」と言っていただけたのも嬉しかった。



自分で「頑張ってます!」なんて言うつもりはないし、頑張っているかどうかは自分以外の人が評価するものだというのが持論。

だからこそ、「あぁ、あいつは頑張ってるな」と認めてもらえれば、そう評価してくれる人がより周囲に集まり、共感を生み、結果的に自分の求める環境が出来てくるのだと思う。

その道のりはかなり険しいし、いつになったらたどり着けるものなのかも分からない。

やっていれば必ずたどり着けるというものではない。

でもやるしかない。

やり続けることに意味があるのだと思う。



障害者スポーツだからこそ日々の活動における環境面でも一般の競技に比べてよりシビアなものになる。

さらにソフトの面でのサポートが必要な場合も多々ある。

いや、むしろ必要不可欠。

なのに資金面でのサポートはより限られてくる。

それでも頑張らなきゃいけない。

どんな競技でも誰だって最初は初心者だった。

それと同じ。

技術レベルも環境面も、活動資金等も含め、そういうものは自分自身の努力が成長させ作り上げていくものなのだ。

「あの人は・・・だからいいよね」

というような愚痴を耳にする場面が時折あるけど、じゃぁ同じ環境があればあなたは同じようにやるんですか?出来るんですか?と問いたくなる(けど問わない(笑))

それは「健常者だから出来るんだよね(私は障害者だから出来なくて当然)」という弱音を吐くのと同じ。

そう、それは僕が思うに単なる「弱音」だ。

「殴りたかったら殴って来い。殴り返してやるから」

と言い返すくらいの気持ちでなきゃ、少なくともスポーツで勝ち上がってはいけない。



僕がこれまで出会ってきた海外の選手や世界でトップを争う他競技の国内選手などは、みんなそれぞれ悩みを抱えているけれど、弱音を吐くことは全くしていない。

常に前を向いている。

今回お会いした方も同様だった。

だからポジティブな話で終始楽しめた。

そういう環境をまたひとつ得られたのは心底ありがたい。

そうした彼らにも僕自身が認めてもらえる、仲間に加えてもらえるようになりたいと強く願う。

そのためにはもう自分自身の努力しかない。

結果はその向こう側にしかないのだ。



と、強く思わせてくれた彼。

実にカッコ良かった。

ということで、僕も頑張ります!

ジャパン・オープン in 福岡

2017年03月15日 13時18分19秒 | 日記
イタリアから月曜日に帰国し、木曜日に福岡へ行くという、しかも東京から車で自走という突貫ツアーで行ってきました。

イタリアでの反省点と課題を得て、本来はその修正をしっかり行った上で行くべきなのですが、スケジュールの都合上思うような時間はとれず、帰国翌日の練習のみでの出場。

今思えば福岡入りを金曜日にして木曜日はしっかりと練習しておけばよかったのかもと少し後悔もしています。

でももしそうしていたら今度は疲労感が大きくなり、それはそれで思うようなプレーも出来なかったでしょうから、結局は後悔先に立たずの後の祭り、不断の努力不足がそういうネガティブな考えを生むということでもあり、これはもっとしっかり頑張りなさいという神様仏様からのご指導と受け止めます。

また、言い訳をするつもりではありませんが、自分自身どこか集中しきれていなかった感があり、今回の最も反省すべき点でもあります。

だからボールにラケットが綺麗に当たらない。

いつもと打った時の音が違う。

身体のコンディション云々よりもまず意識の問題だったと反省しています。

意識がしっかりと集中しきれていないから身体の動きも遅くなる。

気持ちが「試合モード」になりきれていない、そんな感覚でした。



なぜなのか?



まず世界ランキングを決めるポイントを争ったイタリア大会に対して、「この試合で失うものはない」という気の緩みが正直ありました。

タイトルを取りたいとか何かしらの明確な目標を立てるでもなくただ漠然と出場するという感覚、それがそもそもの反省点です。

そんな感覚では良いプレーなど出来るはずが無い。

甘えだったり自分自身の良くない部分が露わになり、逆にそうした点では収穫でもあり今後に活かせる結果をまた一つ得られたとは思っています。



予選リーグは4人ブロックで決勝トーナメントへは1位のみ通過。

事前に発表された組み合わせを見て(イタリア滞在時)、僕としては予選通過は難しいだろうけど、その難しい方にどれくらいの試合が出来るか、それだけをこの大会では意識していました。

その方には結果的に0-3のストレートで敗退。

でも10-8でリードする場面もあり、セットを取りきれなかったのはすごく残念ですが以前とは違った内容でのプレーが出来たこと、自分でもそれを確認でき、そして明確な反省点を得られたことは大きな収穫でした。

他の2試合は1勝1敗。

1勝もなんだかなぁ・・・という内容で納得のいくものではありませんでした。

1敗は尚のことそうで、なんで負けちゃったかなぁ、なんであんなミスしちゃったかなぁ、という内容。
今まで何をやってきたんだ?と自問自答するような内容と結果でした。

冷静に考えるとやはり集中しきれていなかったというか、モチベーションを含むメンタルだなと反省。

そういう部分もきちんとセルフ・コントロールしていかなければどういう試合でも、どのような試合会場でもベストのパフォーマンスを発揮することは出来ないわけですから、これからは気を引き締め直して頑張っていくつもりです。



イタリアと福岡遠征が僕の中ではひとくくりだったのですが、結果はともかくとして一応トラブルもなく無事に終えられたことで、これでようやく次に向けてスタート出来ます。

イタリアでの収穫を糧に、何をどのようにすべきかはイメージ出来ているので、それをコーチともども確認し、実行していきます。

同じ失敗と同じ反省をしない。

僕が遊んでいる間にやつらは汗を流している。

よし、頑張ります!

イタリア大会初出場

2017年03月07日 23時51分12秒 | 日記
ヨーロッパのオープン戦としては規模のより大きなイタリア大会に出場してきました。

ヨーロッパのトップ選手、というのは同時に世界のトップ選手でもあるのですが、そうした猛者が多く出場するであろうと思い、未だ一度もこの目で見たことのないそのプレーを見るべく、体感すべく、イタリアへ赴きました。

ある意味予想以上のエントリーで、これはかなりすごい、思っていた以上に勉強になった、収穫の多かった大会となりました。



ただし結果は予選リーグ敗退。

4人グループで1勝2敗。

ランキング順に僕は4人中3番め。

格上二人に勝てませんでした。

予選の組み合わせは予想通りのもので、自分なりとはいえ対策も練っていたのにこの結果。

格下の相手も思っていた以上に強くかろうじての逆転、まさに辛勝。

世界のトップを未だ理解していない僕はイタリア前にこれまでの取り組みから「よし、いけるぞ」と過信していました。

でもいざ行ってみると、目の当たりにするとそのレベルの高さに驚嘆。

僕自身は決して調子が悪かったわけではない。

それでも敵わなかった。



一番印象的だったのは1試合目の1本目。

相手はグループトップの選手。

僕のサーブから。

一番自信を持っているサーブを出し、それが予想通りのところへ返ってくる。

それを僕が得意のパターンへ持っていくべくリターンし、相手は僕の思惑通りに返球してくる。

そしてそれを僕がバチン!と打つ。

僕が最も得意とするパターンの1つでした。

最近国内の試合ではこの展開で完全に打ちぬく、ノータッチで抜けることがほとんどで、そこからラリーとなった展開は記憶にありません。

でも彼はブロックして返してきた。

そして早い展開のラリーが数本続いたのち僕のボールがオーバーし失点。

「これが世界なんだ」

と思い知らされた1本目でした。

他の試合でも「こういうボールをここへ送ればだいたいこっちへ返ってくる」といった国内におけるセオリー的な読み、待ちが出来ない展開が続きました。

決めたつもりが返ってくる。すごく難しいボールではなくても一発では抜けない。簡単には点を取らせてくれない。

回転の変化でミスを誘うなんてことが思いのほか通用しない。

それだけ彼らは引き出しを多く持っている、技術レベルが高い。

これは間違いなくヨーロッパのトップ選手達は僕よりも1段も2段も上を行っていることを意味します。

正直愕然としました。



でも、だからといって心が折れたわけではありません。

むしろ嬉しかった。

今すぐに彼らに勝利することは難しいかもしれない。

でもこれまで知らないまま、ある意味暗中模索のように取り組んできたことが、今後は指針を設けより具体的に取り組むことが出来るようになったわけです。

また負けはしましたが僕にはそのレベルの相手に通用する技術が多数あることも判明。

何が足りなくて何を磨いていけばいいのか、それが明確になったことが何よりの収穫であり、ある意味勝敗よりも価値のある結果だったと実感しています。

自分で言うのもなんですが、成長速度を加速させる自信があります。



なので、帰国翌日から早速練習。

今後は今回のような海外の大会で勝利を重ねていけるように、そこに焦点を当ててしっかり取り組んでいこうと思います。

国内の車椅子卓球と海外のそれとではかなり趣の異なる旨を痛感。

それはちらほら聞いてはいましたが、さほど意識することもなく自身の技術向上に集中していました。

でもそれをついに理解できた感があります。

海外へ行くにはまず国内で勝たなければ意味が無い。

2足の草鞋とまではいわないけれど、国内で勝つ卓球と海外で勝てる卓球、この二つにある意味同時進行で取り組んでいかなればいけないので、いずれも手を抜くことなくしっかりやっていくつもりです。



また今回の大会ではこれまで以上に多くの選手達とコミュニケーションを取ることが出来ました。

イコール、それだけより多くの情報を得られたということ。

プロとしてやっている選手もいる、国家の援助を受けて頑張っている選手もいる、日本チーム同様に渡航費も含め全て自己負担で頑張っている選手もいる。

彼らが何をどのように頑張っているのか、試合の合間だけでなく同じ宿舎の同じ食堂で共に食事をし、コーヒーを飲み、プライベートも含め互いを取り巻く環境なども語り合う中で得られたものも多々あります。

今回の出場経験同様にこれが今後の僕の大きな財産となり、それも一つの糧として、今後益々効率よく取り組んでいこうと思います。



松岡修造氏が「世界世界って、『世界』って言葉を簡単に口にするな!」と子供たちを一喝したことは有名ですが、今回がまさにそれを痛感する大会でした。

そこで勝つためには何をどうする?

そんなことは誰にもわからない。

何が正しくて何が間違っているのか、正しい答えは誰にも分からないしどれが正解なのかも誰に分からない。

「絶対」は存在しないということ。

でも「これ!」と決めて頑張っていかなければならない。

闇雲に猪突猛進でもなく途中で軌道修正出来るだけの余裕も持ち合わせなければならない。



幸い僕には支えてくださる方々や応援してくれる方々がいてくれる。

でもその方々の為に頑張るつもりはない。

あくまでも自分自身の為に頑張る。

その結果がお世話になる方々への恩返しとなる。

それで良いと思っている。



理屈はいらない。

イタリアで見たヨーロッパの連中に勝てるようになる。

そのために頑張る。

あと見ていないのはヨーロッパの最高峰の選手、そして中国。

新たな気持ちで新年度を迎えられる。