車椅子で卓球@渡邊剛

2013年より車椅子卓球をスタート。備忘録の意もこめてここにブログを綴ります。
内容は基本パラ卓球、時々食文化。

2022 フランスオープン!

2022年05月16日 21時41分22秒 | 日記
僕にとっては3年ぶりとなる国際大会、それも念願のフランス大会。

それに出場してきました。

結果は残念ながら予選敗退でした。

今年から新しく設けられたカテゴリーとなる男子ダブルスにも出場しましたが、そちらも予選敗退でした。

残念です。

すごく悔しいです。

言い訳をすれば、普段の力を出せないまま終わってしまったような感覚があります。

試合の動画を見たコーチも同じようなことを言ってくれました。

現地では日を追うごとに調子が悪くなっていくような感覚を覚えました。

でもそれが何故なのか、どこにその要因があるのか、それも自分自身で認識し、反省し、どのように修正し今後に活かしていくか、その道筋は見えているので、しっかり頑張っていきます。



現地ではフランス在住の複数の友人たちが応援に駆けつけてくれました。

更に、偶然ながら会場のすぐそばにパリ日本人学校があるのですが、そこにお嬢さんを通わせていた友人やそこの元教師を含めた関係者が知り合いに複数いたので、彼らが今回の大会のことを学校へ連絡してくれていて、学校側もそれはということで大会主催者と直接連絡を取り、全校生徒が招待される形で観戦というか応援に来てくれました。

もちろんみんな日の丸のプレートを手に。

でも裏面には一応トリコロールも(笑)

それは作成された先生方の気遣いでもあり、そうした思いが日本人の「和」の感覚というアイデンティティとして海外で生きているんだなと良い学びを得ました。

そんな生徒さん達が「ニッポン!」の元気な声援を会場に響かせてくれていて、その光景は実に心地よかったですし、励みになりました。

駆けつけてくれた僕の友人たちもいろいろな感想を聞かせてくれて、内容だけでなくその時間そのものが僕にとって何よりも嬉しい宝物になりました。



久々の海外。

今回最も懸念したのがコンディショニングです。

ただでさえ長時間のフライトとなるヨーロッパへの直行便でしたが、今のウクライナ情勢から航路が変更されていて更に長くなっていて、今回の時間は15時間でした。

当初の予定の16時間より1時間早まっての15時間です。

CAさんによると、もっとも長い時で17.5時間の時もあったそう。

とにかく、座りっぱなしの僕らには過酷な時間です。

想定はしていましたが、やはり体へのダメージは少なからずあり、僕はそれがフライトによるものではなく現地でのプレー時のものだとこれまで思っていましたが、今回それがフライトによるものだと気づけたので、それは良い学びとなりました。

ホテルの部屋の風呂は中々入るのが困難な作りで、入れなくはないと思いましたが、時間もかかるし怪我のリスクもあるので、結局僕は今回風呂に入らないという決断をし、滞在中一度も風呂に入らずに過ごしました(笑)

でも常にそれも想定していることなので、風呂に入るのと変わらないようなケアが出来る準備もしていて別段動じることもありませんでした。

ちなみに、チーム内の僕よりも障害の重いクラスの選手は主催者側の配慮で滞在先のホテルをもっと利用しやすいところに急遽変更となりました。



食事は、朝食はホテルで、お昼と夜は会場でというスタイルです。

朝食は毎朝パンとハムとチーズとゆで卵にヨーグルトとコーヒー、それとオレンジジュース。

現地の美食家の友人曰く、「あのスーパーで売ってる冷凍のパンだよ」というのですが、「でもあれが意外と美味いんだよね」とも言ってて、確かにその言葉に違いはなく、そのパン(クロワッサンとパン・オ・ショコラ)は本当に美味しかったのでした。

これぞフランスのクオリティ(笑)

会場で食べるランチとディナーは先述の美食家曰く「学食みたいな感じ」でしたが(笑)、前菜とメインの2Plats にデザートというスタイルで、前菜はほぼ毎回同じいくつかのメニューが並んでいて(お皿ではなく豆腐のパックのような四角い容器で提供される)、セロリ・ラブのマリネやキャロット・ラペにウフマヨとか、野菜のテリーヌとかシャンピニオンのマリネとか、「ど」がつく定番メニューが並んでいたのは嬉しかったのでした。

メインはチキンが多かったですけど、シンプルに煮っぱなしのようなメニューは「らしさ」を感じるところもあり、また意外と多く出てたのが「スムール(クスクスとして食べられる粒上のパスタ)」で、主食は米かショートパスタかスムールか、みたいに並んでいたのもちょっと嬉しく思えましたし、学食らしさ(笑)を感じました。

ただし、それとは別に毎回パンも提供されます。

さすがフランス(笑)



現地のスタッフやボランティアの方々とのごく短いフランス語でのコミュニケーションも楽しめましたし、発音を褒めてももらえたのも嬉しかったですね。



でも一番印象深かったのは、やはりマスク無しでのコミュニケーション。

常にマスクをしているのは日本チームくらいでした。

特に欧米のチームはみんなマスクをしていない。

だから、相手の顔も表情もよく分るし、それで何の気兼ねも無くコミュニケーションを取っている。

それが実に懐かしく、それを特別なことのように感じている日本人の僕自身に、逆に違和感を覚えました。

マスク無しでコーヒーを片手に会話を楽しむ、時間を共有する。

早くまたそうした日常が戻ってくることを願います。



フランス。

実に多くの学びを得られました。

パラ卓球に関しても、認識がステップアップ出来た感があります。

そこには危機感も伴いますが、総合的に学びを得て、自分にとってより具体的な道程を見いだせたと思っています。

帰国後のコーチとのトレーニングでは早速修正と課題のメニューをスタートさせ、良い手ごたえを得ています。

自分で言うのもなんですが敢えて言わせていただけば、ポテンシャルはあるんです!(言っちゃったw)

それをどう引き出すか出さないか、引き出せるか出せないか、その問題。

今回は見事に引き出せなかった。

だからこそ、その修正に取り組む。

もう既に自覚できた上でスタートしているので、チェックの段階にまで進めている。

悔しさが楽しみを生んでいます。

雨降って地固まるってこういうことだな、と(笑)



そして、フランスという国にこれまでとは違う角度からじかに触れて、より大きな学びを得ることが出来ました。

結論からすると、「この国での生活に挑戦してみたい!」と思えたほどです。

今まで海外へ行ってそう思ったのは今回が初めてです。

それだけ思い入れが強くあり、あらためて魅力を感じたからでしょう。

現地の友人曰く、「良くも悪くもみんな自由」と言っていましたが、僕もまさにその通りだと思います。

だからみんな活発だし、自分をしっかり持っていて、それをアピール出来る。

アピールする人に囲まれているから、聞く力も備わっている。

会話という言葉のキャッチボール、その球は実に力強い真っ直ぐな剛速球を相手に向かって投げるんです。

だから、真剣に向き合って見つめ合っていないとボールをキャッチできない。

きっと変化球を投げる人は怪しまれるだろうし、フワッとした優しい球を投げてくる人に対しては自尊心を傷つけられたような印象を持ってそれ以上の関係を構築出来ないんじゃないかと思います。

人と人との距離感や向かい合う角度の正確さ、密度が濃い感覚を覚えます。

良い意味で人間臭い。

だから、人が生き生きして、良い意味で、街がザワザワしている。

帰国して空港に降り立った時、日本の穏やかな空気感、静けさに安心感よりもむしろ物足りなさを覚えましたが、そんな感覚も初めてでした。

様々な点で、多様な角度で、今回の海外遠征は僕にインパクトを与えてくれました。



今年10月に中国で開催予定だったアジアパラ大会は延期が発表されました。

今年の海外遠征もまだ不透明です。

どうなるかはっきりとはしませんが、それでも自分が見据えたターゲットは捉えたままで、それに向けてしっかり準備をし、己を磨いていこうと思っています。

負けたからこそ得られるものがある。

反省するからこそ学べるものがある。

確かにその通り。

でもそれは気休めとも取れるので、それで終わらせない為にも、しっかり頑張っていって、結果に結び付けていこうと思います。



フランス、やっぱりプライベートで行かなきゃならないな(笑)