車椅子で卓球@渡邊剛

2013年より車椅子卓球をスタート。備忘録の意もこめてここにブログを綴ります。
内容は基本パラ卓球、時々食文化。

ダブルス・ウィーク

2022年09月27日 21時09分24秒 | 日記
フィンランドから帰国したその週末から2週にわたってダブルスの試合に出場しました。

ですので、帰国翌日からいつも通りの練習です。

本来であれば、長距離の移動で座ったままのお尻のケアとか時差ボケも含めコンディションを整える時間を取るのですが、今回は敢えてそうしませんでした。

そうしなくても大丈夫なようにと工夫をしたのが功を奏した点もあります。

でも、たまたまのラッキーというのが大部分かもしれません(笑)

何故そうしたかったかというのは、帰国後一発目の試合が車椅子同士ではなかったから。

週末のその試合は対戦相手が車椅子とは限らない。

健常者、立位、知的障害の選手など様々なタイプの選手のボールを受けることになることが考えられました。

もちろん人によりますが、僕の場合車椅子同士のボールと健常者のボールとでは感覚的に異なるので、その調整をする必要があった訳です。

その試合、江戸川区主催の秋季卓球大会で、去年までは区内在住在勤の健常者のみで開催されていたこの大会を、今年からは障害者のクラス「パラ卓球の部」を設け、その内容は障害を持つ選手と健常者のペア、または障害者同士のペアでのエントリーが可能というもので(しかもこのクラスのみオープン参加)、車椅子、立位、知的障害、またはその他の障害も広く受け入れ、更にはペアを組む健常者も一緒になって、区分を設けることなくみんな一緒に戦う、プレーをする、卓球というスポーツを楽しもうという、ダイバージェントかつインクルーシブな主旨の大会なのでした。

トータル9チームがエントリー。

2つのブロックに分かれてのリーグ戦で競います。

優勝チームには商品として商品券が渡されました。

レベルは様々でしたが、ほとんどが障害者と健常者のペア。

車椅子のペアは4チーム。

うち1チームは車椅子同士のペアです。

他には身体障害立位の選手と知的障害の選手達。

結構な熱い試合が繰り返されましたし、リーグ戦だけでなくおまけでトーナメントもさせてもらえたので試合数も多く実に楽しい一日となりました。

で、僕の結果は、コーチ(健常者)と組んで挑みましたが、立位と健常者のペアにフルセットで負けリーグ2位。

トーナメントではもう一つのグループの1位だった立位・健常者ペアに、ここでもフルセットの大接戦で敗れました。

負けはすごく悔しいですけど、でもそれ以上にすごく楽しかった。

あんな感覚で試合を楽しめたのは初めてだったかもしれません。

敗因は、僕の健常者・立位対策がなってなかったから。

そこで得た反省を今密かに練習中です(笑)



そして次の週末は、今度はパラの国際大会で今年から採用されたクラス分けに則ったダブルスの試合に。

こっちはガチの車椅子試合です。

それぞれの選手のクラス、1~5の数字を合計して、4以下と8以下の2つのクラスに分けられるというもの。

例えば、4以下のクラスはクラス2と2の選手のペア、あるいは1と3のペアとなります。

もちろん1と2,1と1も可能ですが、クラスの違いは身体能力の違いであり数字が低いほど不利になるので、2と2、1と3に比べると不利になります。

ですので、合計数はMAXに近い方がより有利になると言えるでしょう。

それが今年から採用されたダブルスのルールです。

ちなみにクラス3の僕のパートナーはクラス4。

8以下でのエントリーです。



予選リーグから決勝トーナメントへの形も国際大会と同じ運び。

3つのブロックでそれぞれのリーグ戦となりました。

で、僕らのAブロックは鬼ブロック(笑)で、僕らは3チーム中2位。

トーナメントには2位で上がってCブロック1位に勝利し準々決勝を通過。

次はBブロックの1位に勝って準決勝を通過。

そして決勝戦は予選で負けた相手。

出だしは良かった。

けど途中で逆転される展開が続く。

予選もそうだったけど、まぁこちらの凡ミスが敗因。

タラレバは無い。

けど、それは猛反省のポイントであり、今後しっかり修正していきたい。

1-3で敗退。

という訳で準優勝でした。



ついでを言えば、車椅子ダブルスの試合の翌日は同じ会場で協会主催の練習会に参加。

それに参加した車椅子選手は若手が大半だったので(しかも半数は僕の関わる車椅子教室のメンバー)、自分の練習ではなく僕はアドバイスする側の立場としての参加。

でもそれが結果的に自分へのプラスにもなったし、彼らのモチベーションを少しでも上向きに出来れば、何かしらのプラスに出来れば僕も嬉しい。

そこは元サービスマンとしての血が騒ぐ瞬間でした(笑)



帰国直後のダブルス・ウィークを無事に終えられたので良かったです。

コンディションも全く問題なく過ごせている。

トレーニングも問題なく行えている。

ただ、デスクワークが忙しかったりもする。

講演に向けた準備などある意味イレギュラーな作業の時間もあったりするので、ちょっとバタバタした慌ただしい時間の流れになっている。

そんな毎日を自分でマネージメントしコンディショニングを行っていくのは・・・

意外と楽しい(笑)

「あぁ、俺やってるし!」

という自分に酔いしれるひと時を得られるから(笑)

これが長く続くとストレスになるだろうけど、ゴールが決まっていて、見えていて、それまでにどうするかとか何をするかを考えて、アクションを取ってというのは、多忙だった飲食時代を思い出すものでもあり、何か充実感を覚えるところでもあります。

そもそも飲食業というのはひとつの案件のスパンが短い。

予約を受けてから準備をし当日を迎えて滞りなく演出と進行をしてクリアとなる。

結婚披露宴とか大きなパーティーでもない限り、そのスパンは数日から数週間程度に過ぎない。

だからそれには慣れている。

その感覚を久々に楽しむ。

忙しい、慌ただしい時間は確かにストレスにはなる。

けれど、同じものでも角度を変えてみれば全く異なる形に見える。

色も異なるかもしれない。

物理的なものだけでなく、全ての事案に対しても要はその人の見方、捉え方で千変万化するということなのでしょう。

苦境を苦境と捉えるのか、違う何かと捉えるのか。

全ては自分次第。

それが結果的に道を分けていき、誇れる自分になるのか、こんなはずじゃなかったと後悔を生むのか、大きな差を生む。

良い精神状態だ(笑)



さぁ、これからは自分の為に追い込む。

やり過ぎは禁物。

でも甘えたくはない。

適度に追い込んでいきたい。

しっかり積み重ねていきたい。

さぁ、明日もしっかり頑張っていこう!

久々のメダル獲得!

2022年09月15日 22時31分27秒 | 日記
フィンランド大会に行ってきました。

シングルスと男子ダブルス4にエントリー。

シングルスでは銅メダルを獲得することが出来ました。

ダブルスは初めてのパートナーと初めてのクラスでのエントリー。

トーナメントは無く5チームでのリーグ戦となったのですが、接戦をものに出来ず全敗の5位となりました。

シングルスでは予想していた組み合わせが外れ、7年ぶりの対戦となる格上と、新人を含む未知の選手2人の計3人との予選リーグとなりました。

初戦はその未知の選手でした。

ランキング的には格下になるのですが、もちろん気を抜くことなど出来ません。

相手の弱点を見抜けたとしても、偶然やアンラッキーなどたまたまの一本で流れが大きく変わるのが卓球の常。

案の定、出だしは優位に進めたものの、途中からポンポンと点数を奪われ気が付けば6-9の追い込まれる展開に。

ここでセットを奪われて、そのままの流れで負けてしまうのが僕の負けパターン。

でも今回はそこから逆転し11-9で第一セットを奪うことが出来ました。

後の2セットは終始自分のペースで運び、結果は3-0での勝利。



今大会、この初戦の1セット目が大きかったように思います。

その後の新人との対戦も終始自分のペースで運べたのは、初戦のこの1セット目の勝ちがあったから。

それは技術やフィジカルではなく、思考と感情のコントロールが出来ていたからだと思います。

まさにトレーニングの効果でしょう。

自分で言うのもなんだけど(笑)



以前、あるコーチから「格下には絶対負けないでしょ」と言われたことがあります。

そんなことは無いのだけれど、ただ、その時何故そのコーチがそう言ったのか、それがずっと気になっていました。

最近そう言われた理由が少しずつ自分で理解出来てきたようにも思いますが、今回はまさにそれを象徴するような結果だったと言えます。

自分で言うのもなんだけど(笑)



でも逆に、予選での格上の選手への対応は今一つでした。

それは負けた準決勝戦にも同様のことが言えます。

「向かっていく」時にどうあるべきなのか、どうするべきなのか、それをちょっと判断ミス、選択ミスをした感があります。



ただ、自己評価では悪くも無かった。

身体の大きさや腕の長さに違いはあったとしても、そこで差を感じることは無い。

フィジカルと技術、それは間違いなく通用するし、勝っている点も多々ある。

ただ、ちょっとボタンを掛け違えちゃった。

だから負けた。



逆に掛け違えずに成功したのが準々決勝。

7月のタイでも同じ準々決勝で対戦し負けた相手でした。

お互いに直近の対戦経験もあったので、彼が僕に対して高い警戒感を持っているのは明らかでした。

だからチャンスと思っていましたが、それで力んでしまっていたのか1セット目こそダメダメで、相手に余裕を与えるような負け方をしました。

がしかし、2セット目からも焦ることなく自分のプレーを徹底させた結果、流れはずっと自分にあり、相手の焦りなど心理面も手に取るように分かるので、終始有利に、ある意味思い通りに試合を進めることが出来、結果3-1で勝ったのでした。

この勝利は嬉しかった。

久々の格上への勝利とメダル獲得となったのですから。

でも、負けた試合は残念なものであり悔しいものです。

もっとこうしていれば良かったと反省点が複数見えます。

それが素晴らしい。

自分で言うのもなんだけど(笑)



今回は期間中コンディションも良く、帰国もスムーズに行えるようになったので、ストレスも無く移動を含め期間中の時間は実に穏やかで良い時間を過ごすことが出来ました。

その背景には遠征先がフィンランドだったというのもあるのかもしれません。

これはもちろん僕の個人的な意見であり、個人的な感覚ですが、初めて訪れた北欧フィンランド、その空気感が僕にはものすごく心地よかったからです。

その自然の美しさ。

空の色、緑の色、湖の色。

自然だけではありません。

その中に「共存」する人口建造物の自然との調和。

人間が自然と対応な立場で共存している様を目の当たりにしたような、ある意味衝撃を受けました。

「自然を大切に」というスタンスが上から目線ではなくあくまでも自然とイーブンの立場で実践されている。

それが要所要所で感じ取れる。

自然をさらに大きなスケールの環境として大切にしていこうという日常の取り組みがスタイルとして成立している。

自然に対してそんなスタンスだから、もちろん人に対しても同様にナチュラルかつジェントルでスマートに接することを基本としている。

それは道路を走る車の運転にも良く表れていると思いました。

それがものすごく心地よい。

そんな環境だから、滞在先の食事もまたすごく良かったのでした。

別段凄いものがあったわけではありません。

スタンダードなメニューが並ぶブッフェなのですが、その内容ひとつひとつがナチュラルで良かったんです。

一番最初に食べたゆで卵でそれを実感しました。

それは卵黄の色です。

今や日本の卵は鶏のエサにパプリカ色素を加えてオレンジに近いような、黄色味を濃くするようにしてあります。

その方がより栄養価が高いイメージ、より高級な印象を与えるから。

いやいや、パプリカ色素という添加物が加わっているだけですから(笑)

対して今回のフィンランドのゆで卵、僕が子供の頃食べたゆで卵と同じ淡い黄色をしていました。

あぁ、ナチュラルな色だと嬉しく思いました。

サラダの野菜たちもそうです。

フレッシュの野菜を厨房でカットしメランジェ(混ぜ合わせる)しているんだな、調理しているんだなっていうのが想像できます。

例えばサラダの具材のタンドリーチキンなどは仕入れてカットするだけなのかもしれない。

魚のフライなども同様かもしれない。

でもラグーなどは明らかにこの厨房で作っているものだなと思えたし、その作り手の顔が見えてくるような味わいで、効率を求めない、見栄も張らない、あくまでも自然なスタイルで「これが私たちよ」と言わんばかりに胸を張って料理を提供している。そうしたナチュラルなスタンスの厨房の在り方が想像できて、そこから生み出される料理が素晴らしいなと思えたのでした。

だから、朝のチーズやヨーグルトも、それに使うベリーのソースも「ナチュラル」なもので美味しかったし、ハムもコーヒーも毎朝同じものを美味しくいただきました。

パンは人によっては「パサパサで美味しくなかった」とも言ってましたが、そりゃぁ日本のパンとヨーロッパのパンとでは常識が違うので(気候の違いからか求める水分含有量が異なる)致し方ないでしょう。

僕はライ麦パンやチーズのパンなどを食べてましたが、いずれも美味しかったです。



そしてなによりもまず、水が美味しかった。

通常、大会ではミネラルウォーターが配られるのですが、今回は空のボトル(水筒)が配られ、「水道の水を飲んでください」というものでした。

最初は違和感を覚えましたが、飲んでみるとこれが実に美味い。

日本の水よりもずっと美味しい印象です。

この水の味わいもまたナチュラル。

自然との共存が成立しているからこその味わいなのかなぁと想像していました。

そんな環境だったから、より良いコンディションを維持できたのだと思います。

ムーミン誕生の理由が分かる気がします(笑)



余談ですが、今回は仲の良いイタリアの友人とも再会出来ました。

そして彼は僕のコーヒー好きを覚えてくれていて、僕の好きな彼の地元名産のコーヒー豆と、エスプレッソ抽出ポットをプレゼントしてくれたのでした。

あまりの感動に思わず「I Love you」と伝えておきました(笑)

側には彼の奥さんもいたのですが(笑)

そうした海外の選手達との交流もすごく楽しく嬉しいものです。

今回は新たな仲良しも出来たし、コロナが落ち着いてくればこれから先はこうした交流が更に増えていき、以前のように世界の距離と、人と人との距離がもっと縮まっていくことでしょう。



そして僕は次のポイントへ向かいます。

照準をしっかり合わせて、トレーニングを重ねていきます。

一攫千金を狙うのではなく、毎日コツコツと積み重ねていく。

積み上げたものが武器になるって歌詞の曲があったな。

日々の積み重ね、それしかないし、僕にはその方が性に合っている。

今はムーミン顔になっていてもいい(笑)、頑張っていこう。