車椅子で卓球@渡邊剛

2013年より車椅子卓球をスタート。備忘録の意もこめてここにブログを綴ります。
内容は基本パラ卓球、時々食文化。

ローカル大会で自分確認

2017年09月18日 10時09分07秒 | 日記
福島で開催された障害者卓球大会に行ってきました。

車椅子選手のエントリー数が予想以上に多くて、それでも予想していた方々の不参加も多くて、競技人口が増えていると思えると、車椅子卓球そのものに関心がもたれている、認知度が、人気が増しているんだろうなと感じました。



普段車椅子同士で練習することが全くと言っていいほどない僕ですから、自分自身の活動が間違っていないか、修正の必要はないのか、それを確認することが第一の目的です。

「この選手は出てくるだろうから、その人と試合をしてその内容で自分を確認」

というのがこの試合の僕の真の狙い(笑)

結果は後からついてくるもの。

それは二の次で良い。

でも今回はお目当ての選手のエントリーが思っていたよりも少なかったので、その点はちょっと残念でした。



で、試合の結果。



準々決勝敗退、ベスト8でした。

予選リーグはクラスは違うけどストイックに急成長を遂げている選手で、これまでの大会でも予想を覆すような勝利をあげている方と同じブロックでした。

「マジか!?」

と驚きましたが、でもそこで落ち着いて挑むことが出来たのでその点は良かったと思います。

試合の内容も技術的な反省点は多々ありますが、終始冷静に取り組めたのでその点も我ながら良かったなと。

もう一人、初めてお見受けする地元チームの女性の方でしたが、冷静に落ち着いてプレーできていた自分が今までにない感じで「うん、それで良い」と確認しながら試合をやることが出来ました。



このお二人に勝って予選リーグは1位通過。

そして決勝トーナメントは1回戦シード同士の対戦で2回戦という形。

相手は予選で当たった方が「あの人が体調不良の時でないと勝てない」と言いきっていた方。

確かにすごい実力者で、先日別の大会でもものすごい試合を見ていたので組み合わせを知った時には正直「マジか!?」とさらに驚きました、というかビビりました。

結果的には自分のペースで試合を運ぶことが出来、もちろん技術面での反省点は多々ありますが、終始落ち着いてプレーできたのが良かったのだと思います。



その方にも勝利出来て、そして3回戦。準々決勝。

日本の車椅子卓球界トップに鎮座する、それこそ超重鎮です。

クラスは僕とは異なりますが、それはもはや関係ない。

正直国内の試合においてはクラスを言い訳にしていたのではいかんなと考えるようになってきました。

余談になりますが、僕は個人的に海外の卓球と国内のそれとでは違いを感じています。

国内の場合は競技人口もあってのことでしょう、クラスによるプレイ・スタイルの明確な違いが無く、あくまでも「車椅子卓球」というひとくくりになっている現実があると思います。

だからクラスや身体の状態を言い訳にするのではなく、「車椅子卓球の中で俺が!」の精神でなければならないと考えていて、だからこそ国内の試合においてはクラスは関係なく、なんなら健常者が車椅子に座ったとしても、「それでも僕が勝つ!」というつもりで取り組まなきゃいかんなと思っています。



で、その試合。

僕にとっては越えなければならないハードルのひとつなので、正面から胸を張って挑ませてもらいました。

序盤は優勢に立ち、リードして追いつかれてを繰り返しましたが1セット目は僕が勝利。

正直「よし!いける!」と思いました。

でもそれ自体が今までに無かったことなので、そこでちょっと焦りや力みが生じたところがあったと今更ながらに思います。

2セット目からは要所要所でミスが生じ、結果的には1-3で敗退。

悔しい結果に終わりました。

ミスしたのはなぜか?

ミスが生じるようになったのはなぜか?

同じミスを繰り返したのはなぜか?

反省はつきません。

逆に技術面では良い部分も多々ありました。

「大丈夫、身についてる」と思うシーンも多々あり、これは普段の取り組み、まさにコーチのご指導の恩恵であり、それを実感できたのは一番の収穫ともいえます。



今大会を通じて、「よし!」と思える内容であったことは何よりも自信になりました。

特にメンタルの部分で自分自身の取り組みがプラスになったことを実感できたのは大きな収穫です。

メンタル・トレーナーなどプロの指導を受けたことはありませんが、それを受けている選手の話を聞く、選手のプレーを見る、それに関わる方のアドバイスを聞く、本を読むなどし、自分なりに見よう見まねでやっていることが実を結んでいたこと、これが一番の「よし!」かもしれません。

足りない部分も多々あります。

補わなければならないものは多くあるけど、不安が残るものでなかったのが何よりも嬉しい。

いずれにせよ、それら全てが過信とならないように、これからも真摯に取り組んでいくつもりです。



卓球を勉強する。

すればするほど頭でっかちになっていく。

でも謙虚でいなければならないとも思う。

頭でっかちになって人の試合を見る。

すると今まで以上にいろいろと良く見えるものがあります。

「あぁそういうことか」

と結論付けることが出来るんですね。

それが正しいのかどうかは分からない。

プロやトップ選手の方がもっともっと細かな単位で見ることが出来るわけだし。

でも自分の中で理解できる幅が確実に広がっているのも実感できました。

そこで気をつけるべきはやはり「謙虚さ」だと思います。

飲み屋で野球を出来もしないおじさんがプロ野球を語るのと同じように、人のプレーを偉そうに語っちゃうのはよろしくない。

冷静に分析するのと上から目線で語るのは同じではないと思うので、そこは謙虚に、でも自信を持って分析し学んで行こうとも思います。



さぁまだまだ険しい坂道は長い。

頑張って上り続けます!

ジャパン・パラ・バドミントン国際大会2017 観戦!

2017年09月10日 20時11分27秒 | 日記
日本で初めての開催ということで、その盛り上がりは残念ながらそこまでは浸透せずに内輪的なものだったのかもしれないけれど、でも障害者スポーツに関わる身としてはもの凄く興味あったし、代表選手には友人知人もいるのでその応援もあって行ってみた。



まず一言、すごかった。



会場の盛り上がりもそうだし、ギャラリーの多さにも驚かされた。

そして何よりも凄かったのは選手のそのプレー。

車椅子選手のプレーのもの凄いこと!

もう素早く動き回る動き回る!

あれはもう完全にフィジカルの集大成。

車椅子のバドミントンはコートが半分になるから、じゃぁどんな感じなんだろう?と思っていたけど、その動きたるやとんでもない速度で、車椅子の上での身体の動きの大きさ、そして打った後の動作、チェアスキルももの凄いものだし、その動きの機敏さ、鋭さ、もう見ていて実に凄く、面白く、楽しく、興奮を覚えるものだった。

シングルスが半面なのに対してダブルスは全面になるから、2人の選手の動きようがまたもの凄くて、その動きを見て狙いどころを定めるとか、そういう駆け引きも良く分かるので実に面白い!

さらには立位の選手なんてテレビで見る一般のバドミントン選手のような強く激しいプレーだし、正直、こんなに面白い、楽しめるものだとは思ってもみなかった。僕はバドミントンをなめていた。



あれはとんでもない競技です。

ある意味障害者スポーツの典型、極み、花形であると言えます。

なによりもまず見ていて素直に楽しめる。

その面白さをシンプルに理解できるから誰でも観戦を楽しめる。

それはおそらくテニスも同様のところでしょう。

卓球界のレジェンドである荻村伊知郎氏が卓球とテニスの違いを著書の中で書いておられたけれど、バドミントンもまさにそれだと思いました。

見る側からして競技がシンプルなんですね。

だからそのシンプルな範囲内でいかに自分が強くあるか、その為には己を鍛え上げなければならない。

シャトルの速度をより速いものにするために、ショットの正確さを増すために、より速く動けるようにするためにと、そのわずかな差を生み出すためのトレーニングを日々積み重ねていかなければならない。

コート内で躍動する選手の動きやフィジカルを見て、そういう一面を垣間見た気がします。



対して卓球には「回転」という独特の要素が存在する。

だから同じように打ったボールにも違った変化があり、それはプレーヤー同士ではとても意味のある駆け引きとなるのだけど、見る側からすれば凄く分かりにくいもの。

またそうした駆け引きの上手さでフィジカルを補うことが出来るので、そういう点からも同じ車椅子競技として、また障害者競技としての違いを知ることが出来ました。



だからこそ、見る側からすると躍動感が全然違う。

その躍動感の有無が見る人の感動、興奮の強弱という差を生みだすのではないか。

そう考えさせられました。



じゃぁ車椅子卓球選手は躍動感が無いのか?



いやいや、そんなことはございませんよ。

海外のトップ選手はとんでもないレベルにあります。

僕と同じクラスの選手を思い出してみても、彼らもやはり躍動感は凄いレベルにある。

上のクラスの選手達ももっと凄いレベルにある。



じゃぁその躍動感はどのように作られるのか?生み出されるのか?



答えは人それぞれかもしれない。でも僕自身の考えは明確です。



僕は観戦しながら、日本選手を応援しながらその答えにすぐたどり着けました。



僕も躍動感ある車椅子卓球選手となれるよう、そう思ってもらえるようなプレーヤーになれるよう、日々取り組んでいこうと強く思います。



会場では友人である代表選手に会えて、彼はやはり世界の壁は高いと悔しがっていましたが、いろいろ細かな話を聞くと競技を超えて選手が抱える悩みとか問題点はどれも似ているのだなと思いました。

だからその話の続きは今度ワインでも飲みながらということに(笑)

また別の代表選手は偶然にも共通の知人がいて、その方のご紹介でいろいろお話を聞かせていただき、「まるで初めてじゃない感じだね」と言っていただけるような、そんな意気投合するような雰囲気だったので、その方とも「じゃぁ今度食事でも」となったのでした(笑)



こうして他競技の方々と触れあえて、いろいろと情報を交換、共有出来るというのはもの凄くありがたく、実に嬉しいものです。

僕が意識するのは他競技の方に「こいつもスポーツ選手だな」と認めてもらうこと。

肩書きではなく、まず見た目で「あ、こいつはやってるな」と思わせるオーラをまとっていなければならないということ。

競技によって必要とされるフィジカルは異なる。

結果的に体つきも異なる。

レスリングとマラソン選手では全然違う。

でもやってる選手は自分がやってるからこそ競技を超えてそれを見抜く目を持っている。

それが競技という厳しい世界で生きている選手達の目だと思う。

そういう世界に身を置く人は、そこで懸命に生き抜いている人は、そうした人を見抜く目を持っていると思う。

そういう人たちに認められる人間になりたい。

障害者選手もそうでなければいけない。

障害を言い訳にしないで懸命に、必死に取り組む。

今日お話ししたバドミントン選手達も、みなさんもの凄くポジティブで、努力や苦労をひけらかすのではなく、輝かしい目でしっかりと前を見据えている方々でした。



今日観戦したことで僕は多くの学びを得ました。

力を分けていただけたような感覚さえあります。

各国の代表選手が全力でプレーし、またそれをそのチームメイトが各国の言語で励まし、鼓舞し、応援しあう会場はまさに国際大会。

まるで自分の試合会場を思い出させる雰囲気で、入場無料であの空気を感じられたのはもの凄く幸運でもありました。

なにか心にパリッと折り目が付けられた感覚です。



その興奮を抱いたまま午後は練習を。

僕も負けちゃいられない。

しっかりと頑張っていきます。



パラ・バドミントン、本当に見ていて面白いです。

お勧めの種目です。