漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

ここだけの秘密(4/19) 領民にとっては名君だった先代様

2008年11月09日 12時12分11秒 | 第11話/ここだけの秘密

Copyright © 2008 gmprogect All rights reserved.



「忠臣蔵」の吉良上野介さんじゃありませんが、先代のリチャード・ブリングストン伯爵は、
リック君の言っている通り、領民の生活に安定をもたらし、尊敬され、慕われた実に天晴れな名君でした。
領地が属する選挙区(英国で有権者が最も多かった。)内で勢力を広げていて、
ハリソンさんは「選挙運動せい!」とケツを引っぱたかれていました。

 先代伯爵は、当時盛んだった土地の囲い込みもしていましたが、耕作者との交渉も実に巧みで、
禍根を残す事もありませんでした。
新しい農業の方法もどんどん自ら勉強し、専門家からも知恵を仰ぎ、実践して相当な効果を上げていました。

 それらに対してハリソンさんは、ハリソンさんの心の優しさから来た物なのですが、自分なりの反対意見を持っていました。
でも、それを伯爵に通じる言葉へと変換して伝える事が不可能だったのです。
伯爵はハリソンさんの事を「言い訳ばかりしている、ぐずでウスノロで全く非効率的なヤツ。」だと完全に見下していました。



俺の会社にもいるぜ、大卒で同じ年なんだけど後から新卒入社して来た、
バリバリデキル系のヤツが。硬くて難しそうな言葉をスラスラ使って、声はハキハキ、
言葉遣いや礼儀や服装がきちんとしてて、会社の上からは相当買われているけど、
その完璧感が正直イラつく。

私の所にも東京の名門大卒25歳のイヤ~な感じの小娘役職者がいるわ。
「美女か野獣」で松嶋菜々子さんがやっていた役みたいな感じ。
成果主義だか何だか知らないけど、
たとえパートのオバちゃんでも、年上で昔からいる私の立場に少しは気を使ってほしいわ。
新聞とかにある、男の人が使う用語を得意に振り回して攻撃的な38歳の正社員の局もいるし。
ホントにナマイキで私の方が「ババァ」って言いたいくらい。

領民は先代伯爵のいい部分としか付き合わないで済んでいた。
伯爵もいい所だけ見せる工夫、自己宣伝が上手だったんじゃな。
そして、ハリソンを必要以上に悪く見せる魔力を持っていた。

ハリソンとジョージは苦労が耐えなかったって、
― 何か分るような気がするよな。俺もイヤ気がする。

前の伯爵様の奥さんはどんな人だったのかな?
玉の輿だっていうし、伯爵の事は好きだったの?

私の思うに、こんな風なダンナに圧倒されて、
「好きなんだかキライなんだかもう分らない状態」
だったんじゃないかと思うわ。



実は、真面目で努力家で優等生のがんばり屋さんも決して完全無敵ではありません。
天才の出現に怯え、存在を排除したいと心が乱れて来るのです。
来週は、ランズバーグ夫人が「ひとりタイタニック」しちゃってます。

〈次回の更新予定は11月15・16日〉





 



この記事についてブログを書く
« ここだけの秘密(3/19) そ... | TOP | ここだけの秘密(5/19) 長... »

Recent Entries | 第11話/ここだけの秘密