盲目のマッサージ師が
美しい女性に手を引かれて、我が家のチャイムを鳴らした。
訪問治療の勧誘である。
腰の悪い風子ばあさんは関心をもって彼の話を聞いた。
検討して必要なときは、またお電話しますねと言い、
足もとの覚束ない彼を見送った。
彼は我が家のお向かいさんも勧誘すべく、チャイムを鳴らそうとしていた。
「あ、いまお留守ですよ」と教えてあげた。
ついでに、
「そちらは、整形外科のお医者さんのお宅です」
というと、
「あ、それはいかん……」
何が、いかんのか、わからないが、白衣のマッサージ師は退散した。
しかし、お向かいの整形外科の老先生も、
近ごろは、どうやら腰をいためておいでのようで、
車からの乗り降りの際など、かなり難渋しておられる。
あんがい、いかん、ことはないのかもしれない。
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