風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

時ならぬ風子の読書週間

2012-03-03 11:44:33 | 読書
     一週間ほど外出を控えたのを機に「テイエンイの物語」を読み終えた。
       作者フランソワ・チェンは中国生まれのフランス国籍である。
   日中戦争から文化大革命までの時代を、黄河、長江、あるいはパリへ移動してセーヌ、
       大運河の流れにも似た奔流を生き抜いた三人の男女の物語は重い。
     それほど昔ではなく、それほど遠いところではない場所での物語である。
     人は生まれる場所を選べずに生まれてくる。ユーメイが私だったかもしれないし、
       テイエンイがあなただったかもしれない。

         休みが長かったので、もう一篇。
         日経小説大賞受賞作品「野いばら」
    アムステルダムの空港に降り立った主人公は遺伝子情報に携わる企業の社員……
       書きだしからは思いもかけない時代へと展開する歴史ロマン。

         最後に鳥影社発行の「季刊文科」
       地味な雑誌だが、創刊以来愛読している。
    奇妙キテレツな純文学受賞作を読み飽きたときなどに、
   季刊文科を手にすると、ほっとする。心にとどく文学作品に巡り合える。

      しかし、雑誌だから、読み落としてしまう稿もある。
    今ごろになって、昨年夏号の松本道介氏の「視点」(転機への予感)を読んだ。
    世間で呼ぶ少子高齢化は、人間生態系の崩壊ではないかと悲痛な思いを口にする。
      原子力は終わりもなければゼロもなく解決もない、この世のものでない。
   江戸時代、衣食住のすべては土に返して後世に害を残さなかったことを考えると、
      我々の世代は何たるザマか、と悲憤慷慨される。
           深い共感を覚える。
       慌ただしく過ごしていれば、読みそこなうところだった。
         風邪気味だった雨の一週間に感謝。

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