風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

アシスタント その二

2011-05-23 14:31:23 | 仕事
 
   昨日の続き、美容院のアシスタントのことである。

  「放射能って、こわいんですかァ~」
  「嘘ッオ~」
  「福井と福島、どっちに原発あるんですかァ?」

   たまりかねた風子ばあさんは寝たふりをした。

   そのせいかどうか、しばらくしたら、
  心きいたふうのアシスタントが代わりにやってきた。

   余計なことは言わず、
  ケープをかけるのも、液を塗るのもてきぱきと手ぎわよい。
   やれやれ……。

  やがて、シャンプー台に案内されることになった。
 立ち上がろうとした風子ばあさんに、彼女は、言った。

 「おトイレは大丈夫ですか?」

  むむむ! 
 それって、若い客には言わないセリフだよね。

  まだ、もらしたりしないからご心配なく、
  行きたいときは勝手に行くわ、と思ったが、
 「ありがとう、大丈夫よ」
  と、しおらしく答えたのだから、齢をとるのは哀しい。

  心きくのも、きかぬのも、過ぎたるは及ばざるごとし。

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