昨日の続き、美容院のアシスタントのことである。
「放射能って、こわいんですかァ~」
「嘘ッオ~」
「福井と福島、どっちに原発あるんですかァ?」
たまりかねた風子ばあさんは寝たふりをした。
そのせいかどうか、しばらくしたら、
心きいたふうのアシスタントが代わりにやってきた。
余計なことは言わず、
ケープをかけるのも、液を塗るのもてきぱきと手ぎわよい。
やれやれ……。
やがて、シャンプー台に案内されることになった。
立ち上がろうとした風子ばあさんに、彼女は、言った。
「おトイレは大丈夫ですか?」
むむむ!
それって、若い客には言わないセリフだよね。
まだ、もらしたりしないからご心配なく、
行きたいときは勝手に行くわ、と思ったが、
「ありがとう、大丈夫よ」
と、しおらしく答えたのだから、齢をとるのは哀しい。
心きくのも、きかぬのも、過ぎたるは及ばざるごとし。
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