風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

ありふれた話

2012-02-24 10:05:20 | 思い出
            妹のリョウちゃんが、
        大阪の茨木市に住んでいたころのことである。

       東京の両親が、新婚まもないリョウちゃん宅を訪ねた。

     リョウちゃんは妊娠中だったが、せっかく来てくれたのだからと、
          両親を京都へと案内した。

       お腹の大きなリョウちゃんは、清水寺の下で待つことにして、
         父と母は二人で清水の舞台へと上がった。

       しばし見物のあと、下りてきたら、リョウちゃんの姿が見えない。
      むろん、あたりを探したり、戻ってみたり、と右往左往したのだろうが、
           結局、人ごみの中で、はぐれた。

  しばらく探したが、気分でも悪くなって帰ったのかもしれないということになって、
          両親は、茨木まで戻ってみると、
     アパートのドアはカギが閉まっていて、帰宅した様子はない。

       さては、まだどこかで待っているのだろうかと、
    父だけもう一度京都まで行って戻って、結局どこで再会出来たのかは、
     もう忘れたが、リョウちゃんは清水寺で4時間も待ったそうである。

            待つ方も大変だったろうが、
       京都と茨木を行ったり来たりの一日だった父は、
    リョウコが灯篭の影になんか座っていたから悪いと文句を言ったらしい。

     これもケイタイなんかなかった時代には、わりにありふれた話である。


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