かなり前から、ピザ窯を作りたいと思っていた。
そう思いはじめて、かれこれ10年くらいは経つだろうか。
そんなに長いこと考えていながら作っていないのは私の実行力のなさを表しているのだけれども、山小屋のセルフビルドだって着想から20年以上経ってから具体化し始めたわけで、ピザ窯だっていつかは現実化する確信のようなものはある。
実は、ここ1年くらいの間で2つほど、ピザ窯の具体例を見させてもらっている。
ちょっとした仕事に絡んで、たまたま知遇を得たお二方のもので、それぞれは知り合いではないが、ピザ窯は2つとも手作りである。この時期、たまたまそうした人を2人も知ることができたのは何かのめぐり合わせかもしれないと思っている。
ひとつは若手のくだもの農家Mさんが経営するみかん狩り園に設置されたもの。耐火レンガをアーチ状に組んであってシンプルですっきりしている。みかん狩りにきたお客さんが自分たちでピザを作って焼けるというサービスになっている。焚き木はみかんの老木とか、枝木を使うので効率的だ。
もうひとつは、ピザ窯というより、オーブンという位置づけらしいが、耐火煉瓦を積み上げただけといっていい、とてもワイルドな窯だ。こちらは、さまざまな創作活動をするグループが持ち主で、手作りの小屋(といってもけっこう大きい)の中に設置されている。
活動に絡んで、外国人もよく訪問するらしく、このオーブンを見た中央アジアの方や南欧の方が、ぜひ自国の料理を作らせてほしい、といってここで何回も本場の外国料理がふるまわれているそう。
2つの窯を見たせいで、自分もやっぱり作りたい、とあらためて思いを強める結果となった。
一方、ピザ窯の設置場所をどうするかについては、ずっと考えあぐねていた。ピザを焼くときのことを考えて、山小屋の建屋のすぐ近くにしたいと思っていたが、動線上、いい場所がなかなかみつからなかったのだ。
それがここへきてすんなり決まった。
父が、実のならなくなった柿の木を伐採することにしたのだ。そのあとがピザ窯をつくるのには最良の位置にあると気づいた私は、そこが別の用途に使われないよう、ピザ釜設置場所とすることを家族に宣言した。
さらに熱を高めることもあった。「
ドゥーパ」という日曜大工雑誌があるが、その最新号の特集が「ピザ窯の作り方」。なんと作り方の動画が収録されたDVDまでついている。
早速購入して見ると、土台の作り方から、耐火レンガの組み方、コテの使い方までかなり親切な解説になっている。今、創作意欲が刺激されている最中なのである。
もっとも、ドゥーパにはいろいろなピザ窯が紹介されていて、今度は逆にどんな窯にしようかあれこれ考えてしまうモードに入ってしまってもいる。
いつになるかは宣言できないが、ピザ窯計画が具体化し始めるのはそう遠くないだろう。