家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

国産材信仰+ ――あわや「総体ひのき造り」

2007年01月17日 | 我が家のスペシャルな事情
私は地産地消という考え方は好きだったので、できるだけ国産材、それも地元のものがいい、という志向はあった。雑誌の「チルチンびと」とかの影響も受けていたとも思う。
しかし、私以上に国産材にこだわっていたのが父。
山小屋づくりを経て地元の製材屋さんと知り合いになったことをきっかけに、父の国産材信仰は深まっていたのだ。

設計事務所から実施設計の最初の図面が出てきたとき、土台、大引、柱、内装材はヒノキ、スギ中心だったものの、根太、筋交い、垂木は米ツガ、梁は米マツ、そしてデッキ材は先日紹介したようにカナダ杉という案であった(ちなみに床材は「ナラ」)。
これを見た父がまず、「柱はスギではなくヒノキがいい」といいだし、「米ツガってなんだそりゃ?」「梁の米マツっていうのはヒノキにならないのか」「デッキ材もヒノキにしていいんじゃないか(※)」と語り始めた。
そのくらい父はヒノキへの信頼感が大きかった。
ただそれは実体験に即していたものの信仰に近く、他の材も広く研究した結果とはいえない意見だった。筋金入りのドメスティック人間の父には外国の材は得体の知れないものにしか映っていないようだった。

我が家の設計者は手刻みの仕口や継手を指定するくらいなので、建築家業界の中でも木材にかなりこだわる部類に属している。私もそれが気に入り、基本的な選択に間違いはないはずと信頼していた。あとは予算と好みの問題となる。

米ツガという材は私もあまりいい材には思わなかったのでヒノキへの転換に抵抗はなかった。
しかし、梁の米マツ、デッキ材のカナダ杉までヒノキ化するとなるとさすがに閉口した。
梁はねばりのある木がいい。国産材だったら地松だろう。ただし値段が高い(関連エントリ)。私は建築家の設計した別の家の設計図書を見たときに米マツの説明を受けていたし、地松は無理っぽいのでそれでいいや、と思っていた。デッキ材のカナダ杉は耐候性という面でヒノキと比べてもなんら劣るものではなく、値段も安いのでそこまで国産にこだわることはなかろうと割り切ることができた。
結局お金を出すのは私達夫婦なので、まだなにかものを言いたげな父を横目に、米マツ、カナダ杉を採用することで押し切った。

以前、「家ほめ」というエントリで、「牛ほめ」という古典落語に「総体ひのき造り」という家のほめ言葉があることを紹介したが、実は我が家は一歩違っていたらそれになっていたかもしれなかったのだ。


※父の作った山小屋のテラスは当然のごとくヒノキ。もっとも自家伐採したものなのでコストは安かったが。