家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「住宅サイト」と盗作とリテラシー

2006年11月18日 | 家について思ったことなど
このブログの更新が滞っていた間、ちょっと考えさせられる「事件」があった。

私がよく巡回しているあるブログ(時事ネタ中心で住宅系ではない)がある。そこに、自ブログネタの盗作について怒りの記事が掲載された。
当初、ブログ主の温情で盗作者の情報ははっきり書いてなかったのだが、通告への対応の悪さに怒ったブログ主が徐々に盗作者の情報を明らかにした。それをもとにググると盗作者のサイトが分かった。

それはある工務店のサイトだった。そこに工務店主のブログがあり、他人のブログネタを何本もコピペして、さも自分の書いたもののように掲載していたようだ。
さきのブログ主の記事は切り口が面白く、それを使えば自分を大きく見せられるとでも思ったか…。

以前、私は、工務店社長のブログをどんどん活用したほうがいい、というようなエントリを書いた。
施主にとってはそのブログが工務店主の人柄や実力を知る一つのツールになりうるのでマッチングで不幸なことになりにくいというのが理由だ。
そのエントリでもリスクを示してはおいたが、実際このような盗作がまかり通っているとなると、施主サイドは重々注意しなければならない。盗作によって、人柄や実力が粉飾されていることになるからだ。
博学でもないのに博学のように見せる、善人でもないのに善人のように見せる、ネットの世界ではそんなことは簡単だ。数年前までは住宅業界かいわいでは工務店のネット活用力が乏しかったので逆にそんな「悪事」も目立たなかったが、猫も杓子もネットという時代になり、悪いヤツらに気をつけなければならなくなったわけだ。

私があえてここで言いたいことは「それでも施主はブログを活用しよう」ということ。そしてリテラシー能力を磨こう(関連エントリ→LINK)、ということも強調したい。
今回のように平気で盗作するような工務店主はそもそも人間として信用できない。盗作しているかどうかが分かればタチの悪い工務店を検討対象からはずす材料になる。
ではどのように盗作有無を判断するかだが、それこそネットの力を使うといい。文章に出てくる独特のフレーズを2、3選んでググったり(※1)、ブログ検索ツール(gooのものは左にある)を使ったりするのだ。それでネット上からの盗作はかなりの確率で判明するだろう。
もっと確実なのは、コメントやトラックバックで「やりとり」をすることだ。もし盗作だったら、やりとりをしているうちに必ずボロが出てくるはずだからだ。
ブログは双方向のコミュニケーションツールだ。相手の真贋、優劣、善悪を見極めようと思ったらコミュニケーションしてみるのが一番だ。
コミュニケーションはもちろん実際に会って話をするのがいいのだが、いきなり対面すると口八丁手八丁でまるめこまれるリスクや、相性が合わずに無駄足というのも気になる。対面する前にろくでもない業者を除外するのにブログを使ったコミュニケーションは使える。
そして、ブログでのやりとりは記録に残るということも重要だ。実際に会ってから言っていることが違っていた場合、記録と照らし合わせることもできるのである。

さて、くだんの工務店のサイト。実はもうブログは無くなっている。
そこでひとつわかる。ブログを開設していない工務店があったら、もしかしたら何か不都合なことがあるのではないかと疑ってみてもいいということが。
今回の例のような「事件」があったのかもしれないし、お客をカモだと思っているのでお客と真摯なやりとりをできない工務店なのかもしれない。もちろん、単にネットに疎いだけだったり、文章を書くのが苦手というだけだったり、無法者に荒らされた経験があったりしてブログを開設していないまじめな工務店も多いと思われるのでそれだけでは判断できないけれど…。

工務店はうそいつわりのないオリジナルな記事をブログに書いて、クライアント候補と真摯なやりとりをする、そしてその記録が積み重なっていけば、その工務店の信用度は高まるはず(※2)。これからの賢い施主予備軍はそうした情報を活用していくだろう。

ブログ以外の情報・コンテンツも注意したい。
美辞麗句などいくらでも書けるし、ネットにころがってもいる。ブログに限らずいろいろなコンテンツを偽装したり盗作したりできてしまうのである。くだんの工務店のサイトもいいことが書いてある。無垢材、自然素材、欠陥住宅撲滅(←このキーワードだけは現在消えた。盗作された側のブログで話題になったからだろう)……。
だけど、盗作が一つでも見つかれば、他に書いてあることも信用できなくなる。この際言ってしまうが、私はくだんの工務店のサイトにもう一つ明らかな盗作コンテンツを発見している。それは私が注目している別の工務店のサイトにあるコンテンツをパクって違う名前を付けて提供しているものだ。盗作された側の工務店主にとってはとても大事なコンテンツであることが想像できるだけに、安易で厚顔なパクリに腹が立つ。


ネットを活用する工務店は増えてきている。いい傾向ではあるが、一方で盗作・粉飾した内容が書いてあるサイトも出てきている。うかつに信じ込んではいけない。ただ、リテラシーを意識して情報に接すれば逆によろしくない業者をあぶりだしてリスク回避することだってできるのだ。
 ちなみに、今回は工務店ブログのことをたまたま書いたが、設計事務所やハウスメーカーのブログにも応用できることはいわずもがなである。(関連エントリ→LINK)。


※1このエントリで言えば、「それでも施主はブログを活用しよう」「くだんの工務店のサイト」などは独特のフレーズになるはず。
※2 ただし、実態は商品宣伝である「やらせ口コミブログ」問題のごとく、手の込んだ「やらせやりとり記録」なんていうのもきっと登場してくることにご注意。観察を続けることが大事。