中学生の頃、大佛次郎さんの「水晶山の少年」という小説を読んだのを思い出した。いろいろな書店のWEBサイトでこの本を探したが発見できなかった。最後の手段として国会図書館の蔵書検索を試みた。さすがに国会図書館である。1948年発行の同書が館内閲覧できると表示された。何とも嬉しい限りであった。うろ覚えの物語は次のようであった。山梨県塩山市の山奥に一人で住んでいた少年が嵐や大雨によって山崩れがあると、大地の中から水晶の塊が出てくる。水晶は朝日にキラキラと輝いていた。その光景に見とれていると生きていく力がわいてくる。しかし、大人たちはその水晶を掘り出して金儲けに供することを考えた。そこで少年は、山崩れのあったところへいち早く駆けつけて水晶を土の中に埋めてしまう。しばらくすると大人が少年を発見して水晶のあるところを聞き出そうとするが、少年は頑として水晶のあるところを教えないと頑張っているという話であったと思う。
山梨県の水晶産出はすでに絶えて久しいという。しかし山梨県は水晶の産地であったという理由かどうか不明であるが、今でも水晶の細工加工が盛んであるという。それに山梨大学に鉱物に関係する学科があり、人工色付き宝石やダイヤモンドの人工合成の研究が行われていた。
甲府の北西数キロメートルの所に昇仙峡という名所がある。多くの峡のつくところは水の風景がきれいなところであるが昇仙峡は岩が中心である。そこここに奇岩・変岩が形を変え、景観を変えて数キロメートルほども続いている。一度は行ってみる価値があると思うのである。写真は中学の同期会に参加した時写したものの一部である。