奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その639)

2018-05-25 08:15:00 | 奈良・不比等
「大量生産品のデザイン論~経済と文化を分けない思考(佐藤卓著・PHP新書2018刊)」を読んだ。佐藤卓(さとうたく1955生れ)氏は東京藝大(デザイン科)卒・同大学院修了にて、電通に務めた後、独立している。グラフィックデザイナーとして活躍し、「ロッテキシリトールガム」「明治おいしい牛乳」「ニッカピュアモルト」などのパッケージデザインを手掛けてきた。-----
父親(東京美術学校図按科に現役合格)と父子二代に亘ってのグラフィックデザイナーだが、佐藤卓氏はお茶の水美術学院に高校3年から2年通って1浪して東京藝大に進んでいる。趣味はロック音楽とサーフィンだそうであり、学生時代はロックを仕事にしたかったそうである。-----
藝大で学んでも、顔の見える画家や音楽家を志望する人がいる半面、顔の見えない工業デザイナーの道を歩む人もいる。この辺りの鬱屈(うっくつ)を、長々と書き連ねているのがこの「大量生産品のデザイン論」であり、顔が見えても見えなくてもどちらも感性を操って形にする仕事である点において、何ら違いは無い。------
佐藤卓氏においても言葉を操る藝術である文藝には通じて居られないので、一回り先輩の真壁智治(まかべともはる1943生れ・武蔵野美大建築学科卒/東京藝大大学院修了)氏が、各章の纏(まと)めと巻末に長めの解説文を入れている。それでもデザイン論として論理があるかと云えば見当らないような不思議な内容となっている。グラフィックデザイナーの仕事は完成した工業製品の形の中にデザイナーの介在が微塵も感じられない状態が理想であるとも述べている。これは顔の見える画家や音楽家に対する羨ましさの裏返しでもあるようであり、可哀(かわい)そうな気もしたのであった。-----
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