北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「法隆寺と聖徳太子~1400年の史実と信仰(東野治之著・岩波書店2023刊)」を読んだ。---------
東野治之(とうのはるゆき1946.12.20生れ)氏は、1969大阪市立大(文学部)卒/1971同大学院(文学研究科/国史学専攻)修士課程修了。1970より奈文研(文部技官)/奈良大学助教授。1982阪大(教養部)助教授/1994同(文学部)教授。1999奈良大学(文学部/文化財学科)教授/2017同定年退職/同名誉教授。1993“日本古代木簡の研究”で東大より博士(文学)取得。---------
この本「法隆寺と聖徳太子」の目次は次の通り。“法隆寺の創建/復興と其の時代(飛鳥時代の法隆寺/創建から焼失復興まで/法隆寺の資財帳をどう読むか/金堂壁画/外国文化の受容と画師たち/白鳳文化と亡命百済人/古代天皇諡号を巡って)”、“聖徳太子信仰の展開(奈良時代の法隆寺と太子信仰/磯長墓/太子は何処に葬られたのか/南無仏舎利伝承の成立)”、“法隆寺研究の周辺(壁画撮影の先駆者/田中松太郎/正木直彦が贈った百済の石燈籠/古代寺院の僧房と僧侶の持戒生活/片岡王寺と百済系氏族)”----------
この本「法隆寺と聖徳太子」の内容紹介文は次の通り。世界遺産/法隆寺とその創建者である聖徳太子を巡っては/1400年に及ぶ歴史の中で様々な評価がなされてきた。最新の研究成果に基づいて/確かに言えることは何か。法隆寺の形成過程や其の歴史的価値を明らかにし/法隆寺を核に聖徳太子の人物像が展開流布していった状況を探る論考を集成する。法隆寺と聖徳太子を理解するための原点となる一冊。---------
東野治之氏は、蘇我王朝を亡きものとした天智天武朝の歴史書の記紀をベースとして/後年の歴史上に/創りだされた偉人であることを/明言してはいない。しかし/一生を通じて/自身の信ずる処を/書簡にしておきたいと思われたのだ。