奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その684)

2018-07-09 08:15:00 | 奈良・不比等
「ジョン・ロック~神と人間との間(加藤節著・岩波新書2018刊)」を走り読みした。加藤節(かとうたかし1944生れ)氏は、東大(法学部)卒にて、政治学史・政治哲学を専攻し、現在は成蹊大学名誉教授である。----
「ジョン・ロック」では、イギリスの有名な思想家であるジョン・ロック(1632~1704)について大学の教養課程の教科書的に纏めてくれている。日本ではフランスの思想家ルソー(1712~1778)を知っている人は多いが、ロックは名前くらいしか知らない。フランスでは革命を経て共和制を敷いているが、イギリスでは王政を立憲君主制として今も残している。どちらの国もカトリックから脱して政治を行うことを目指して、イギリス国教会を樹立したり、激しい宗教改革を進めたり、神から自由になるために、個々の人間の権利を政治思想的に考え出しそれぞれに定めて来ている。-----
一神教の制約の無い日本人が西洋の思想を学ぶ際には、どうしても神の理解が大切となるが、誰しももう一つ分かり難いことだろう。ジョン・ロックが何故有名かというと、思想哲学界で初めて神様に頼らなくても政治をすることは出来ると説いたことであると云う。日本人にすれば飛鳥奈良の古代から当たり前のことなのだが、西洋では意外と遅くまで否今でもキリスト教の影響を脱し切れているかどうかは怪しい面もあるようだ。-----
戦後の歴史教育で歴史的発展は人物中心で教えなくなって久しいが、思想にしても哲学にしても天才的な人物の著作が出回って社会的影響を拡大することによって様々な社会的変革が為されるのである。最も、日本では世界的な思想家や哲学者が生れて居なくて何時も借り物で遣って来た国であるから分からないのだろうが、歴史的発展は時代時代の天才がそのブレイクスルーを為したのであり、人間だれも同じ力量を示す訳ではないのである。能力には生れ付きの格差があるという事実を否定することは決してできない。----
幕末の尊皇攘夷を煽(あお)った国学の流行などを見れば、時代を動かす力がそういう人物と書物にあることが分かるだろう。
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