7月22日(月)の昼にシアター・オーブで「王様と私」を観る。2015年にリンカーンセンターで再演されて評判が良かった作品の引っ越し公演。日本人の渡辺謙が王様役をやったのが評判だったが、それ以上に歌姫ケリー・オハラがアンナ役をやっているので、見逃せない公演だと思った。基本的にはイギリスでの公演時のプロダクションのようだが、ケリー・オハラが出ているのだからありがたい。
ケリー・オハラは「ジキルとハイド」の続演中の途中からルーシー役を演じたが、やはり注目を浴びたのは2005年の「広場の光」で主演してからだろう。「パジャマ・ゲーム」「南太平洋」この「王様と私」、そして「キス・ミー・ケイト」と古い作品の再演の主役が続くが、歌唱力がある歌姫なので貴重な存在だ。新作では「マジソン郡の橋」の主役も演じているが、素晴らしい声なのでメトロポリタンオペラにも出演している。2014年には1「メリーウィドウ」のヴァレンシエンヌ役で出たし、昨年は「コジ・ファン・トゥッテ」のデスピーナも歌っている。そんなケリー・オハラが、「王様と私」のアンナを歌うのだから見逃す手はない。
月曜の昼の公演だが、劇場は満席でほとんどは中年のマダムで埋まっていた。男性は数えるほどしかいない。夜の公演をカップルで見たい演目だが残念な限り。
「王様と私」は1951年の初演だから、もう70年近く前の作品なので、今見て古臭いかというと、まったく古臭さは感じさせない作品だ。そうした意味ではミュージカルのマスターピースといえるかも知れない。それでも上演時間は1幕85分で2幕は70分だから、現在のミュージカルと比べると20分ぐらい長いかも知れない。それでも長く感じさせないのは、演出のバートレット・;シャーの力量だろう。
オリジナルでは凝った舞台装置で、転換に時間がかかったが、今回のプロダクションではほとんど暗転もなく場面転換の音楽部分は踊りを挿入してスピーディーにまとめている。踊りもジェローム・ロビンスのオリジナルを尊重して、それを踏襲している。そうした意味では再演としてはとても良くできた作品だ。ただ、アンナが子供たちと親しくなる場面の「ゲティング・ノウ・ユウ」のダンス場面で、子供たちがアンナの膨らんだスカートを模して踊る振付が省かれていて、好きな振付だけにちょっと残念だった。
ケリー・オハラのはもちろん素晴らしいが、日本人にとっては渡辺謙が主演しているのもうれしい。しかし、渡辺謙の演技はちょっとコミカル過ぎたかも知れない。もちろん、素敵な個性を持っているのだが、もう少し威厳を持った王様像を作っても良かったかも知れない。
全体的に大いに楽しめる舞台ではあったが、出演者の人数がこの演目にしては少なく、踊りが少し貧弱だったかも知れない。また、オケの弦楽器が少なくて、ほとんど弦楽器の音が聞こえないのも寂しい。最近は弦楽器があまり使われなくなったが、昔の作品なのだからきちんと弦楽器を入れてほしい。調べてみるとリンカーンセンターの公演では弦楽器は10人ぐらい(これでも初演時の2/3ぐらいだろう)だが、シアターオーブはぐっと少なかったのではないだろうか。
もっとも、今年のトニー賞の中継で観た「オクラホマ」などは、劇場がサークル・イン・ザ・スクエアだったこともあるのだろうが、伴奏が完全にカントリー音楽調となっていて唖然とした。だんだんと時代により人々の趣味も変わっていくのは当然だが、古典的な作品の音楽のサウンドは変えずに楽しみたいものだ。
帰りにスーパーを覗くと、小ぶりのワカサギが出ていたので、これをフリットにして夕食にした。
ケリー・オハラは「ジキルとハイド」の続演中の途中からルーシー役を演じたが、やはり注目を浴びたのは2005年の「広場の光」で主演してからだろう。「パジャマ・ゲーム」「南太平洋」この「王様と私」、そして「キス・ミー・ケイト」と古い作品の再演の主役が続くが、歌唱力がある歌姫なので貴重な存在だ。新作では「マジソン郡の橋」の主役も演じているが、素晴らしい声なのでメトロポリタンオペラにも出演している。2014年には1「メリーウィドウ」のヴァレンシエンヌ役で出たし、昨年は「コジ・ファン・トゥッテ」のデスピーナも歌っている。そんなケリー・オハラが、「王様と私」のアンナを歌うのだから見逃す手はない。
月曜の昼の公演だが、劇場は満席でほとんどは中年のマダムで埋まっていた。男性は数えるほどしかいない。夜の公演をカップルで見たい演目だが残念な限り。
「王様と私」は1951年の初演だから、もう70年近く前の作品なので、今見て古臭いかというと、まったく古臭さは感じさせない作品だ。そうした意味ではミュージカルのマスターピースといえるかも知れない。それでも上演時間は1幕85分で2幕は70分だから、現在のミュージカルと比べると20分ぐらい長いかも知れない。それでも長く感じさせないのは、演出のバートレット・;シャーの力量だろう。
オリジナルでは凝った舞台装置で、転換に時間がかかったが、今回のプロダクションではほとんど暗転もなく場面転換の音楽部分は踊りを挿入してスピーディーにまとめている。踊りもジェローム・ロビンスのオリジナルを尊重して、それを踏襲している。そうした意味では再演としてはとても良くできた作品だ。ただ、アンナが子供たちと親しくなる場面の「ゲティング・ノウ・ユウ」のダンス場面で、子供たちがアンナの膨らんだスカートを模して踊る振付が省かれていて、好きな振付だけにちょっと残念だった。
ケリー・オハラのはもちろん素晴らしいが、日本人にとっては渡辺謙が主演しているのもうれしい。しかし、渡辺謙の演技はちょっとコミカル過ぎたかも知れない。もちろん、素敵な個性を持っているのだが、もう少し威厳を持った王様像を作っても良かったかも知れない。
全体的に大いに楽しめる舞台ではあったが、出演者の人数がこの演目にしては少なく、踊りが少し貧弱だったかも知れない。また、オケの弦楽器が少なくて、ほとんど弦楽器の音が聞こえないのも寂しい。最近は弦楽器があまり使われなくなったが、昔の作品なのだからきちんと弦楽器を入れてほしい。調べてみるとリンカーンセンターの公演では弦楽器は10人ぐらい(これでも初演時の2/3ぐらいだろう)だが、シアターオーブはぐっと少なかったのではないだろうか。
もっとも、今年のトニー賞の中継で観た「オクラホマ」などは、劇場がサークル・イン・ザ・スクエアだったこともあるのだろうが、伴奏が完全にカントリー音楽調となっていて唖然とした。だんだんと時代により人々の趣味も変わっていくのは当然だが、古典的な作品の音楽のサウンドは変えずに楽しみたいものだ。
帰りにスーパーを覗くと、小ぶりのワカサギが出ていたので、これをフリットにして夕食にした。