昭和の日に鉄道に乗って・・・② ~小湊鉄道&いすみ鉄道

2007-05-11 23:55:00 | 鉄道紀行&乗り物




上総中野駅で、いすみ鉄道のホームから小湊鉄道のホームを望む


 房総半島をなぞるように内房線&外房線で一周するのも楽しそうだが、小湊鉄道いすみ鉄道を乗り継ぎ房総半島を横断した勢いで銚子まで足を伸ばし、先日NHKの『小さな旅』でも取り上げられた銚子電鉄にも乗ってしまおうと考えた。道草することを前提に(五井の車両基地、粟又の滝=養老渓谷、犬吠埼など)、時刻表を何種類か作ってみたが、一番遅くなっても(日没前に銚子電鉄に乗ることが条件。もちろん、銚子電鉄から始めてもよい)22時には帰宅できることがわかった。一粒で二度おいしいグ○コみたいな旅だ。いや、一日で×3倍楽しい鉄道紀行かな!
 房総には、もうひとつ魅力的なローカル線=JR久里線があって、木更津と亀山湖のある上総亀山間を往復している。いわゆる盲腸線だが、バスを使えば上総亀山から安房鴨川に抜けられる。本当は鉄道で木更津~鴨川間を結びたかったのだろうが、その日を迎えることは決してないだろう。
 小湊鉄道といすみ鉄道も、夢破れた線路だった。小湊鉄道は五井~上総中野間を往復する私鉄だが、冠名が示すように本来の目的地は「安房小湊」だった。いすみ鉄道は大原~上総中野間を往復する第3セクター方式の鉄道だが、以前は国鉄に所属していて、木更津と大原を結ぶ予定だったことから、木原線と呼ばれていた。木原線は、戦争が起こったために工事中止を余儀なくされたが、戦後はマイカー時代を迎えて、工事再開どころか廃止対象路線になってしまった。両線とも、本来の目的は叶わなかったが、その代りに上総中野駅を介して、内房の五井(小湊線)と外房の大原(木原線)間が鉄道で結ばれた。
 よほどの鉄道マニア以外は、五井から内房線を、大原から外房線をそれぞれ利用することが多く、滅多に両線を乗り継ぐことはないかもしれないが、五井と大原が結ばれている利便性のおかげで、廃線になるはずだった木原線がいすみ鉄道として残ることができたのではないだろうか?
 現在、いすみ鉄道は二度目の存続の危機を迎えている。何でも今年の8月に「存続か廃止か」結論が出るそうだ。でも、29日の朝の段階では、そうした事情を何も知らなかった。房総半島の内陸部を横断する鉄道を赤字を理由に失ってはいけないと思う。民間がやらないことをやるのが行政なのだから。鉄道は公共の福祉ともいえる乗物で、国民全員の財産だ。


線路を跨いで小湊鉄道からいすみ鉄道に乗り継ぐ人々。

 
 6時56分〈五井〉に着いた。跨線橋を渡って小湊鉄道のホームに降りると、二両編成の上り列車がホームに滑り込んで来た。乗客が降りると、反対側から一両の起動車が停まっている二両にゆっくりと近づいていく。女性車掌の合図に従って、静かにドッキング。連結はスムーズだったが、押されて車両全体がほんの少しだけ動いた。「慣性の法則」だ。数式を覚えるのは苦手だけど、こうして見ると楽しいものだ。
 ディーゼル・エンジンが暖気運転を開始した。「ぶるるんっ」とアクセルを吹かすと、車体上部にある排気口から黒い煙を吐いた。クジラが潮を噴き上げているみたいで、思わず頬がゆるんでしまった。三本の黒い煙はその後すぐに透明になったが、ディーゼル・エンジン独特の排気臭があたりに漂い始めた。
 車内からもう一人、女性車掌が降りてきて、連結箇所とエンジンルームあたりを覗きこんで、何か言っている。共に20代前半の若い女の子だ。二人はにこやかに挨拶を交わし、ホーム先端にある乗務員室へ並んで歩いていった。
「あんなに若い女の子たちが楽しそうに勤務しているなんて・・・小湊鉄道の未来は明るいのかも?」
 勝手な思いが頭をよぎった。

 JRの運賃を清算して、「小湊鉄道&いすみ鉄道片道乗車券」を購入した(1600円と割得)。五井に戻ってくることはできない片道切符だが、その代り何度途中下車しようと自由だ。
 発車まで45分ほど時間がある。この間に五井機関区に展示されている1号&2号機関車(大正13年=1924年に輸入されたC型機関車2両と、より古いB型機関車=1896年生まれ)や、キハ5800起動車を見たかったのだが、見学は9時からと言われて断念する。
 暇つぶしも兼ねて、車両基地の車両を眺めたり、車内を観察している間に7時52分の発車時刻が近づいてくる。最初はまばらだった乗客もほぼ満員だ。半分以上が養老渓谷に行く人だろう。私の隣に座ったおじい&孫(小学生)は、20kmのコースを歩く予定だという。おじいは40kmコースを歩くこともあるそうだ。地図を読んでいる二人を見ていたら、『老人と海』の老漁師と彼を慕う少年を思い出した。


連結されるキハ202(1961年生まれ)



発車まで50分。高校生はその間予習をしていた。

朝7時。車両基地で出番を待つキハたち。
この日は205(1964)&214(1977)&202に乗った


 ぐずぐずしているわりに続きます。退屈させたらなさい

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