純情きらり~純情きらり度チェック(21週までの総括)

2006-08-27 22:43:45 | 連続テレビ小説

 「純 情」=純粋で邪心のない心。世慣れしていず、素直なさま。
 「きらり」=瞬間的に光り輝くさま
ということで、登場人物の「純情きらり」度(以下「純きら度」)を調べてみましょう。

1.有森家
〈源一郎〉=80点。ジャズと鉱石を愛し、妻の死後は男手一人で四人の子供をそれぞれ個性を尊重しながら大らかに育てるも、子供達の些細な変化も見逃さない観察力と的確な判断を下す姿は正に「理想」の父親。自分の趣味や子供たちを大切する反面、金儲けや出世には全く興味がない。「純きら度」100%。帝大を卒業している秀才なのにどうして〈まさ〉との結婚を徳治朗に反対されたのかよくわからずマイナス5点、早すぎた死でマイナス15点。

〈磯〉=90点。居候同然で有森家に住みこんだ人間スピーカー。洋裁の腕前はピカイチでモダンガールを自称していたが、考え方は意外と常識があるというか、実に古風で、和之に対しても自我を抑える美徳の持ち主。源一郎の死後は、涙もろく世話好きな性格を遺憾なく発揮して「お助けおばさん」となった。浪人中の桜子のピアノのレッスン代を肩代わりするなど、「純きら度」100%。マイナス10点は早とちり(斉藤先生の帽子事件とか・・・)&おしゃべり(かねのマロニエ荘襲来のきっかけを作った・・・)のせい。

〈笛子〉=10点。長女の彼女は自由に育てられたが、母の死後は女学校に進むかたわら幼い妹弟の面倒もこなしてきた。そのため、口うるさく保守的過ぎるきらいがあるが、それもこれも愛情のなせる業で、「有森家」の下宿人になった斉藤先生に対する乙女チックな態度や、憎まれ役を買って出ても浪人中の桜子に厳しく接するなど、「純きら度」100%。恋愛経験がなかったせいか、結婚後は亭主にぞっこんとなり、その意味では「純きら度」100%だが、子供をないがしろにしているのでマイナス90点。

〈杏子)=60点。彼女は完璧だ。妹のために望まない相手と結婚し、人助けをして「特高」に逮捕され、産婆&看護婦として人に尽くし、戦災孤児も引取った。この調子で子供たちを引き取っていくと、マザー・テレサになってしまいそう・・・そんな彼女が、何でこんなに点数が低いのか説明しようがないのだけど、どうしてなんでしょう。教えてほしいくらいです。来週はいよいよ・・・

〈桜子〉=3点。ヒロインでありながら題名とのギャップを最後まで埋めることができなかった(って、まだ終わっていません!)。女学校時代に下宿人の斉藤先生に「初恋」した頃の彼女は「純情」そのものでウルトラ可愛いかったが、「婚約解消後」の立ち直りの速さが題名にそぐわないと早くも一部視聴者の反感を買った。その後、達彦に愛されて「純きら度」がうなぎのぼりに上昇したが、キヨシに対する小悪魔的態度など、「魔性の女」にいつでも変身できる才能を併せ持っていたのも事実。達彦出征後かねと暮らした一年余で「純きら度」もピークに達したが、かねの死を境に「女心と秋の空」の迷走状態に陥り、ついに連ドラ史上最もバッシングされるヒロインになってしまった。でも、誰が「マクダラのマリア」を責められるというのか? 達彦が還ってくれば、「待ち続けられなかった」自分を責めることになるのは必至でしょう。自業自得と言うには気の毒すぎるよね。「原案」のように××する噂も聞こえてくる今日この頃、映画「嫌われ松子の一生」が大好きな私は、「嫌われ桜子さんの一生」も愛せると思う。悪いのは桜子ではなくて題名なのだ。

〈勇太郎〉85点。末っ子の悲しさか、今まで殆どエピソードがない。もてそうなのに、恋人は「物理の教科書」。唯一の見せ場が出征の日だけでは・・・。もしかしたら八重さんが好きなのか?と視聴者を期待させたが、この先サプライズは多分ないでしょう。家族を想う気持ちや他人を気にかける優しさを人一倍持つ勇太郎君に、もっと出番を!

〈徳治朗〉65点。NHKはこういう役柄を大事にする筈なのに、他のエピソードが多すぎて、勇太郎同様殆ど出番がなかった。なまはげじいさんの「きらり」が、桜子の初めての演奏会と、桜子を岡崎に連れ戻すためにマロニエ荘を襲撃したことだけだったのが残念で仕方がない。価格統制で「山長」が危機に陥ったとき、もう少し活躍させてあげたかった。

2.松井家
〈拓司〉93点。大きな体に似合わず、かねの「コバンザメ度」95%だった拓司が、ゲジゲジ眉毛が達彦さんとは似ても似つかないのに「カエルの子はカエル度」100%に。店を継がせたい一心のかねに対して、好きな道を行くようこっそり応援、ここぞというときに達彦の援護射撃をした。表向きはかねの影に隠れていたが「山長」の屋台骨だったことも判明し、万が一達彦が音楽の道に挫折したときに、店を継いでも困らぬよう長年書き綴った味噌ノート「山長覚書」を職人頭仙吉に託すなど、店と息子への深い愛情を示した。大好きでした。マイナス7点は「梅やっこ」。

〈かね〉98点。山長の女将として亭主を完全に尻に敷き、盲目的な愛情を一人息子の達彦に注ぐ。ヒロインの天敵で本来は「憎まれ役」の筈だが、幼馴染の磯との口喧嘩の楽しさや「話せばわかる」的な筋の通ったところが好感を持たれ、特に二度にわたる「達彦奪還」作戦は視聴者に大きく支持された。桜子を達彦の婚約者として認めてからは「いいお義母さん度」も急上昇。肩掛けを返せ返さないで「号泣度」も200%に。私もかねさん、大好きでした。

〈達彦〉100点。子供時代は聡明なお坊ちゃんに過ぎなかったが、八高に通う頃には味噌屋の貴公子として女学生の憧れの的に。ピアノに対する一途な気持ちと桜子への恋心は、正しく題名に相応しいもので、桜子が心配で大八車を引いてマロニエ荘に移り住むようになってからは完全に主役交代、「純きら度」は、ダンスホールに押しかけ120%、切符代の立て替え135%、斉藤先生に逢うため下駄履きで駆け出す桜子を見送る姿150%、「君は俺の気持ちを全然わかっとらん」300%、初めての連弾&ダンス120%、拓司の味噌ノートを読んで涙する姿180%、結び文110%、夜の川原300%、手紙250%「音楽を忘れるな~」300%、遺書95%、味噌ノートへの書き込み100%、生霊姿85%と、やることなすこと全て「純きら度」が極めて高い。帰還後の一挙一動を全視聴者が見つめている。

〈キヨシ〉95点。キヨシがここに入るのは、「山長」が彼の家族みたいなものだから。幼い頃はいじめっ子の悪がきだったが、山長に入ってからは期待の若頭に成長する。桜子への想いにかけては達彦に一歩も劣らない。出征前に仙吉に言われた言葉を忘れずに帰国(の予定)。5点のマイナスは単にエピソードが少ないからで、心底「純きら」なサブ・キャラ。

3.マロニエ荘の住民(初期)
〈杉冬吾〉5点。点数が低いからといって、魅力がない訳ではない。清濁共に受け入れる懐の深さが素晴らしく、(画家であるから当然だが)観察力&洞察力に富む。何があろうと沈着冷静で本質を誤らない。含蓄のある津軽弁も魅力で、異性同性問わず慕われる人物だ。「東京大空襲」で唯一の弱点である「ぼんぼん」気質が露呈したが、しかるべき時が経てば元の冬吾に戻るだろう。女好きとのことだが、えり好みしないだけで、誰をも受け入れる。まあ、それが罪作りなのかもしれないけど・・・

〈八州治〉75点。軽薄そうに見えるが実は非常に「純きら度」の高い人物だ。「杏子」に気に入られたくて荷物持ちから子守りまで引き受けているが、来週彼女が突然結婚しても「祝福」しているあたりは(予告編から)「純きら度」150%。絵で食べていかれることを祈ってます。

〈八重〉80点。大らかな性格に冬吾と同じように育ちのよさが伺える。ヌードモデルも辞さないが、大地のようにどっしりとした母性とどこか垢抜けないところがルノワール的。20点のマイナスは恋人がモリタのせい。キヨシか勇太郎の嫁にしたかった。現在消息不明なのが気がかり。出産のために群馬の実家に戻っているといいのですが・・・

〈マリ〉70点。彼女の姿を最後に見たのが冬吾を連れ戻すために八州治と岡崎に来たときだから、早いものでもう3年になる。どこで何してるやら。毒舌家だけど、根は人一倍寂しがり屋。冬吾に片想いを続けていたなど、すれっからしのようで「純情度」は高い。

〈ハツ美〉50点。惚れっぽいのが玉に瑕だが、「純情度」はそれなりに高い。達彦さんに一目惚れし果敢にアプローチを試みるが、仲介を桜子に頼むなど詰めが甘いというか、人が読めないというか・・・お人好しなんですね。失恋ばかりしている?せいか、切りかえと立ち直りも人一倍速い。そう考えると、桜子さんをそんなに責めなくてもいいような気がするのですが・・・

4.その他
〈和之〉88点。和之クンの登場は磯叔母のためには良かったものの、おかげで勇太郎がわりを食った感じ。とっても「純」な性格の持ち主で絵の才能は磯譲り? 磯さん、良かったね、こんな良い子に育ってくれて。

〈イ・ビョンホン=鈴村〉15点。妻子が見舞いに来ないだけでこの世の終わりのような顔をしていたのに、妻子や父を空襲で失いながら杏子と幸でプラマイ・ゼロというのがいまいち気になります。三人でお幸せに・・・

〈河原〉0点。最高の憎まれ役だったのに、尻切れトンボな退場が何とも心残り。是非、もう一度お目にかかりたいのですが、ダメでしょうか・・・

〈マスター・ヒロ〉80点。コーヒー一筋のマスターは、いぶし銀のキャラクターの持ち主で、達彦や桜子にとってはなくてはならない存在だった。達彦の帰還で、もう一仕事することになるかもしれません。

〈西野先生〉85点。真面目すぎて面白みに欠けるが、いい人です。最後まで問題児だった桜子の面倒を見てくれて。ご結婚されているのでしょうか? 独身ならヒロさんなんかどうでしょう?

〈薫子〉52点。女学生時代は「文学少女」で「純情度」は人一倍高かった。八高時代の達彦に「付け文」するが、それを桜子に託したのは大間違い。東京では立派な職業婦人になったが、アニメ声だけは直らなかった。

〈斉藤先生〉91点。ドラマに登場するなり、ヒロインと視聴者の心を鷲づかみにした好男子。短いながら数ある(ドジ)エピソードの中でも、勇太郎がいたずらで枕元に忍ばせたイモリをペットにしたことと、桜子の為に握ってあげた痛んだオニギリが忘れられない。風の又三郎のように現れて去っていった斉藤先生に、もう一度会いたいものです。期待していいかなあ?

〈西園寺先生+松尾〉二人合わせて平均75点。桜子に対するユニークなピアノレッスン(映画「ピアノ・レッスン」ではありません。あちらは・・・)が忘れられません(松尾の寝癖も)。満州に行かれましたが、引き上げには大変苦労することでしょう。早く先生のあの笑顔が見られる日が来ますように・・・

〈仙吉+野木山〉二人合わせて平均95点。役者がいいですよね。まず。出番は意外と少なかったけど、最強のサブキャラでした。

〈るり子〉30点。出演場面があまりに短く、「魔法使いサリー」ちゃんの憎まれ役の域を出ることができなかったのが心残り。もっと桜子と激突して欲しかった。

〈秋山〉90点。あまりにも音楽に対して「純きら度」が高すぎて、周囲に不義理をする。戦争中も、あれだけの仕事を桜子のところに持ってこれるなら、何もあそこまで落ちぶれなくても・・・

〈モリタ〉25点。存在感が殆どなかったが、小物発言で頭角を現す。無事に還ってきて八重さんを安心させてくれ~

〈たみ〉60点。彼女のエピソードが必要だったか疑問の残るところだが、達彦の好物「鹿の子寄せ」は結構重要なアイテムだし・・・。桜子の教育係も確かに必要でした。ギックリ腰にならなければ得点高かったのですが・・・

〈おふみ〉20点。実は桜子が味噌倉に落ちた頃から「山長」で働いていた?「キヨシにぞっこん」→「桜子にいじわる」は、おつぼね様の新入りいびりだったのですか? でも、意外と若いよね、彼女。その頃働いていたのは「おふみ」に良く似た人か、彼女のお姉さんだったのかもしれません。

〈タネ夫婦+太郎〉期待値も入れて75点。甲斐性なしのダメ亭主は問題外だが、タネが山長を切り盛りしてくれていると信じたい! 実際、頑張っているみたいね。

〈しま子〉100点。冬吾を♪追いかけて追いかけて雪国~♪「純きら」女性軍の中でかねと磯を別格とすると、実はトシ子が一番好きなキャラクター。

〈初代・杉加寿ちゃん)120点。大事な人を忘れていました。戦争中の重苦しい展開に息が詰まりそうになった私の唯一の楽しみが、加寿ちゃんの顔を見ること。冬吾さんのお膝がお気に入りでした。

とまあ、ざっと「純情きらり」21週を振り返ってみると、いろいろなことを思い出しますねえ~。残り5週でこのドラマともお別れかと思うと、急に秋風が吹いてきました。寂しいなあ~。来週からは、大らかな目でこれら愛すべき登場人物を見守りたいと思います。
(送り手には容赦しませんが・・・)

PS.この文章、最近の「純きら」を全く楽しめなくなった自分が「昔は良かった~」じゃないのですが、第1回目から思い出し思い出していたら、気持ちが「ふわ~」と軽くなったので、書いてみようと思った次第です。早速のコメント、ありがとうございました。桜子さんの点数が辛いというか低すぎるというご指摘はごもっともですが、他の人と比べて現時点(21週)の彼女を考えると、メリハリをつけた方が面白いかなあと思ったまでで、ただ「冬吾」への想いというのは、言い悪いではなく「純情」とは違うと・・・。「3」はミスターこと、永遠のカリスマ長嶋茂雄さんの背番号から借りてきた数字でした。ということで、私の中では既に許されていますよ~。そんでもって「純きら度」は乗車率みたいなものと考えて下さい。点数は100点が最高点になります(あくまでも「純きら度」の)。なぜ達彦さんとしま子が同じ満点なのかは異論はあるでしょうが、私の中では矛盾していません。あっ、加寿ちゃんの120点は「花丸」付きよ~ん。