<コメント>
3月7日、インドネシアで着陸に失敗し炎上したガルーダ機の事故原因は、やはり操縦ミスだった!
事故翌月の4月、ボイスレコーダーなどの解析が発表され、「事故の原因はコックピットの不注意のようだ。機長と副操縦士は、(速度をめぐり)口論になっていた」と発表されたものを裏付ける事となりました。
事故に至るまでの流れをかいつまんで記しますと・・・
・ランディング(着陸)のブリーフィング(機内打合せ)で機長が副操縦士に『計器着陸(ILS)』を行う事を告げる。
・空港の管制官から『ビジュアルアプローチ(目視での着陸)』の許可を得る。
・機長はILSでの進入を続行する。[管制官の指示を無視]
・滑走路まで10.1マイルあ(16.2キロメートル)で高度は1,427フィート(435メートル)、速度は283ノット(524キロメートル)だった。[異常な高速]
・副操縦士は高速度のためフラップを機長の指示通りに下げなかった。[下げる事が危険]
・地上接近警報装置(GPWS:ground proximity warning system)が15回作動。[フラップおよび着陸装置が着陸態勢にないにもかかわらず,絶対高度が異常に低くなったため作動したと思われる]
・フラップ5のまま適正着陸速度を87ノットオーバーした232ノット(430キロメートル)で滑走路に進入。
・副操縦士は機長にゴーアラウンド(着陸復行)と叫ぶ。
・強引に着陸し、滑走路をオーバーランし壁に激突炎上する。
着陸時に危険な状態が発生した際は、副操縦士が操縦を交代してゴーアラウンドを行うように規定されているが、その行動はとられていない。実際に、副操縦士が機長に代わりゴーアラウンドを行ったケースはあるのだろうか?(機長の体調不良などを除いた場合)
今回の事故は、明らかに異常な進入を認識していたにも関わらず、着陸を続行した事にあります。機長の心中を想像する事は難しいですが、着陸前になにが起こっていたのか?
自分の意志通りの着陸が変更されたイラ立ちか、副操縦士とウマが合わないストレスか・・・
機長の異常行動は、数十年前の羽田沖墜落事故が記憶にあります。最終進入中に逆噴射を作動させるなど、考えられない行動をとったのです。後に精神的な病で、異常行動を行ったとされていますが、半年に一度の検査時、メンタル部分のチェックをより強化し、心身ともに健全な状態で飛行できるよう最善を尽くして取り組んで頂きたい。
<関連ブログ>
[ガルーダ航空墜落事故]機長と副操縦士の口論が原因か?(2007-04-02)
[旅客機墜落]ガルーダ航空機着陸に失敗し炎上(2007-03-07)
【インドネシア】ガルーダ着陸失敗事故、機長ミスが原因 10月23日8時0分配信 NNA
国家交通委員会(KNKT)は22日、3月7日にジョクジャカルタ特別州アディスチプト空港で起きた国営ガルーダ航空機GA200便の着陸失敗・炎上事故の最終報告書を公表した。事故機は滑走路の進入速度を超えて着陸態勢を取り、対地接近警報装置(GPWS)の警報と副操縦士の警告を無視して、機長がゴーアラウンド(着陸やり直し)しなかった人為ミスを指摘している。
運輸省が公表した報告書によると、事故機の機長は当初、計器着陸装置(ILS)での着陸を行う方針を副操縦士に伝えていた。空港管制官が事故機に対してビジュアルアプローチによる着陸を許可したにもかかわらず、ILS着陸を続行し、管制官にも報告しなかった。着陸態勢は目視で飛行を継続することができる気象の状態(有視界気象状態)で行われたことも明らかになった。
滑走路から10.1マイルの地点での事故機の高度は1,427フィート、速度は283ノットだった。機体が滑走路に向けて急降下した結果、速度が上昇したことから、副操縦士は機長の指示通りにフラップの角度を下げなかった。滑走路に進入する際、航空機の高度が異常に下がり地上に接近していると警告するGPWSの警告音が15回作動し、副操縦士は機長にゴーアラウンドするよう求めている。
事故機は着陸態勢とはいえないフラップの角度を5度にしたまま滑走路に進入し、滑走路端を高度89フィート、速度232ノットで通過。機体が着陸した瞬間の速度は221ノットと、フラップ40度で適性とされる着陸速度を87ノット上回り、副操縦士は再び機長にゴーアラウンドするよう叫んだとされる。
機長は着陸態勢時、速度オーバーと急降下で不安定な進入となった場合にゴーアラウンドするという規定に従わなかったほか、GPWSの警報と副操縦士の指示を軽視して着陸しようと試みたと人為ミスを指摘。一方で副操縦士も、機長が再三にわたるGPWSの警報を無視した際に、操縦を交代する職務規定に違反したとした。
機体は滑走路を速度110ノットでオーバーランし、塀に激突した後、滑走路端から252メートル過ぎた地点の水田で停止。機体は、漏れた燃料が引火して炎上した。
事故では、乗員乗客140人のうち、乗客20人と客室乗務員1人が死亡、乗客11人と乗務員1人が重傷を負っている。同機に搭乗していた邦人2人も負傷した。
KNKTのタタン委員長は、事故機の機長と副操縦士名を公表しなかったが、ニュースサイト『デティックコム』はマルウォト・コマル機長と、ガガム・サマン・ロクマナ副操縦士と伝えている。
■訓練・監督も不十分
ガルーダ航空の基礎運航マニュアルには、危険な状態が発生した際に、副操縦士が操縦を交代してゴーアラウンドを行うよう明記されているが、安全運航を脅かす状態で重要な行動を取るシミュレーター訓練を副操縦士が受けた記録は残っていないとされた。
運輸省空運局によるガルーダ航空に対する検査・監督も、こうした安全面の欠陥を指摘できなかったとした。このほか空港の消防車と救急隊は事故現場まで到着できず、一部の消防車は適切な消火薬剤を搭載していなかったため、消火活動の遅れが効率的な乗客救助を妨げたとした。
国営空港運営アンカサ・プラIは、事故発生後、滑走路端から事故現場までの道路を整備するなど、緊急事態対策として航空安全面の欠陥を改善するための措置を取ったと評価している。
一方ガルーダ航空は事故後の4月2日付の通達で、不安定なアプローチが発生した場合にゴーアラウンドを行うよう副操縦士に指示するとともに、この際に操縦を交代した副操縦士に対して会社が罰則を科すことはないとする方針を明らかにしたと指摘した。
なおタタン委員長は、航空事故の調査は事故の再発防止のため行われるものとして、国際民間航空条約に従い、警察がKNKTによる報告書の内容を基に刑事訴追することはできないと述べている。
ユスマン運輸相も報告書が事故防止を目的としたものであり、ガルーダ航空を訴追するためではないとの認識を提示している。