僕はデニーズで時間を潰しておりました。
昼時でしたから、とても混んでいて店内はカオス化しています。
僕の左隣には仕事中の若者がスーツで二名。
僕の右にはおじさんが一人。
そのおじさんが、テーブルにセットされたナプキンとかスティックシュガーを着席の際にバッグをぶつけて派手に机から落とし、僕たちの方へバサーッと散らばって来ました。
「うわ!すみません!」
とおじさんは慌てます。
「平気の平左でござるよ。」
と笑いながら一緒に拾っていると、左の若者達は何事もなかったようにテーブルのボタンを押しました。
店内は混んでいたし、そんなハプニングもあったりと店員さんは対応に追われます。
なかなか若者達の席へ来れない店員さん。
床の散らばってしまったセットを拾う僕と、数名の店員さんとおじさん。
その店員さんに、
「すみません。注文。」
と若者が呼びかけます。
「少々お待ちください。申し訳ございません!」
と店員さんは言う。
それしか言えない「立場」だから。
程なくして注文を取りに来た店員さんに、
「日替り。」
とだけ言う若者に腹が立った。
「君達ね、言い方ってあるぞ?状況を見たら、分かるではないか。思いやりのない淋しい人間だな。立場を利用した、小さな人間だな。君達は何一ついけない事はしてないが、だからと言っていいってものでもない。重ねて言うが、悪いことはしていない。でも、言い方や態度ってあるんだと思う。卑怯者。」
そう言うと、無視!
予想してたけど頭さ来る。
そして、スッと二人で出て行ってしまった。
喧嘩を売るのは得意な方だ。
「おっと、逃げるのか。」
そう言いたかったけど、言わないでおじさんを見て笑った。
世の中はどうなっているのだろう。
彼等はスティックシュガーを踏み歩き、床は砂糖だらけでアリさん大喜び!
「ありがとうございました、すみませんでしたね。お仕事ですか?違うのかな?かっこいいツナギですね。バイクに乗るのですか?」
おじさんは照れ臭そうな困ったような顔でそう言うと、名刺をくれた。
偉い人やんけ!!!!!!!!
それではさようなら、と僕も講演会に移動しなくてはならないので名刺をお渡しし去ろうとしました。
「かっこいい名刺ですね。今度、連絡してもいいですか?この名刺をデザインした人を紹介して欲しいです。僕の会社の名刺はご覧の通りで、面白味がないもので。」
「構いませんが、僕は宮城から来ております。そして、デザインは自分でしています。そのような仕事です。」
「今はメールもあるし、宮城は近いじゃありませんか。いずれ、連絡致します。ありがとうね。」
素敵な人だったなぁと思う。
そして、デニーズ。
お会計で伝票を出すと店長さんが出てきてくださり、
「ご馳走させてください。お手伝いありがとうございました。」
だって。
世の中、いい感じ。
先程とは雨晴ほど感情が違います。
外で待ち合わせをして学院に向かったのですが、
「色々あって、ジュースをご馳走になっちゃったよ。」
と言うと笑ってた。
「ケンカ?」
僕はそんなイメージかなぁ??
講演会はミッションスクールのチャペルということもあって、なんだか厳粛で、話がお祈りのように拡がる気がした。
礼拝や音楽を聴いたりする場所でもあるのだろう。
いつもより静かに話しても、本当に綺麗に言葉が拡がる。
今回の企画をしてくれたのはアイコさん。
カムロっていうメガネ屋さんを経営しています。
ちなみに僕はカムロの役員になっています。
目、超いいんだけどね。
メガネ、買ってちょ。
校長先生も、担当の先生も、卒業生のアイコさんのお友達も、皆さんいい感じの人が多かった。
何て言うのだ?
品がある。
そう思います。
想像力の先には思いやりがあり、それがブームではない文化となった時、こんな校風になるのだと思います。
講演をしながら、僕は成長させて頂いている。
泣いている子がたくさんいて、ごめんねと思いながらも特別ではない、大事な話をしに来たんだと僕も僕なりに頑張っています。
ちょうど14:46という時間を迎えながら、たくさんの未来の話をしたつもりです。
誰も眠らず、誰も他所を向かず。
僕の講演が終わると、先生と生徒の皆さんでお祈りをしてくれました。
禅のために。
すごく励みになりました。
お祈りの言葉も素敵で、感激しました。
普通ないじゃんか。
すごく良かった。
青空応援団も負けちゃいられねぇ!
終了後は、パネルの前に生徒がごった返していました。
校長室で校長先生と思いやりと校風について長々と話し合う。
ちなみに校長。
三時に自身の取材のお約束を忘れて僕との話しに夢中になり、事務室からの怒りの電話が鳴り響いてお開きとなりました。
取材中の校長。
「スコップ団!」
という放課後の生徒からの野次っぽい声援を背中に受け、
「素敵なお話しをありがとうございました。帰って家族にありがとうを伝えたいと思います。」
とお辞儀をする子も。
立派過ぎて、雑草のように荒くれて育った僕はタジタジになりました。
僕がカモガヤだとしたら、彼女達はスミレのようだ。
僕がオオイヌノフグリならば、彼女達はガーベラ。
そんな差があるわい。
彼女達が紅茶を飲んでる時、僕は筆洗の筆を洗った水をカフェオレとして喜んで飲んで具合悪くすらならない。
そんな差があるわい。
もういいか。
平家は一度滅びましたが、黒板に名前が書かれておる。
復興しておりますぞ、清盛さま~!
ははは。冗談である。
見える?
変な名前が。
卒業生の皆さんと。
どうもありがとうございました。
夜は懇親会でした。
先生が感想文をドサっと持ってきて下さいました。
「私達が救えなかった子が一人。心配ですが常に見ている訳にもいかない子が一人。平さんはその子を救ってくださいました。」
と涙を添えて。
来た甲斐がありました。
でも、これは本当のことなんですが彼女達の中に未来の僕の娘がいたのかもしれません。
だからきっと、僕は自分の為に、息子の為に来ただけなんだと思います。
その日まで、さようなら。
何か一つでも、僕たちスコップ団の言葉が君の道しるべとなりますように。
アーメン。