しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
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朝の露 ルツ記3章 <夜の会見>

2020-03-19 | ルツ記

tulip

「彼は言った。『あなたはだれだ。』彼女は言った。『私はあなたのはしためルツです。あなたの覆いを、あなたのはしための上に広げてください。あなたは買い戻しの権利のある親類です。』」(ルツ記3:9新改訳) 

「覆いを私の上に広げてください」とは、自分を妻にしてください、との意味である。次節からわかるが、ルツはボアズより相当年下で、彼の娘のように若かったことが想像できる。それにもかかわらず、彼女が自ら結婚を願い出たのは、姑ナオミを敬愛し、亡き舅(しゅうと)エリメレクの家をどうしても再興したいとの思いからで、浮薄な男女間の愛情などではなかった。▼暗い畑で男性に近づき、その裾をめくって伏す行為は、一歩間違えば大変な結果になる。しかしナオミもルツも、イスラエルを導かれる真の神を仰ぎ、すべてをゆだねて行動したのであった。そしてボアズもまたその誠意を正しく受け止め理解し、神の導きを信じて行動すべく決心したのである。すべてを支配し、見通しておられる神の恵みの栄光が、ルツ記には輝いている。◆この章で印象深いのは、ナオミという女性のもつ思慮深さ、ルツに対する助言の適切さであろう。謙遜とは、いたずらに引っ込み思案になることではない。それは信仰によって果敢かつ大胆に行動することも意味する。ナオミはボアズの信仰と気質を見抜き、神の保護を信じてルツに大胆きわまりない行動をとらせた。それはモーセ律法に則(のっと)った権利だったから当然といえば当然だが、モアブ人で貧しきナオミの嫁にすぎないルツをボアズに近づかせるには、夜間秘密裡に出会わせるのが一番と思ったのである。◆ここでもルツの従順が光を放っている。「ルツはしゅうとめに言った。『私におっしゃることはみないたします』」(5)と。イエス・キリストは人となって地上に来られたとき、御聖霊の命じるとおりに行動された。御聖霊はヨルダンから上がられた御子にとどまり、ただちに荒野に連れて行き、主を必要な試練に会わせたもうた。ゲッセマネにも導き、十字架の道を示し、御子は苦祷の後にゴルゴタに従容と進まれた。すべては第三位の神の命じるままに行動されたといえる。その結果、あがないが完成し、ペンテコステとなり、御霊はすべての信仰者のうちに内住し、全時代全地域から主のはなよめが選ばれるという福音の時代がもたらされた。なんと賢く、無限の洞察力に満ちたお方であろうか。じつにナオミはそのお方を示すひな型として、摂理のうちに行動したのであった。