あと5時間後に地球が滅びるとしたら、俺はここにいたいね。
どうして葬儀場なんかに?
成仏しそうな感じがするじゃないか。
辛気臭っ。それより、自分の好きなことをやったほうがいいんじゃないの?好きなアーティストの廃盤になったレコードを聴くとか。
いまどき、CDじゃなくて、レコードかよ。
そりゃ、レコードじゃなきゃダメよ。滅びるときには、滅びた音楽を聴く。これこそ、至福の極致じゃない。
「フィッシュストーリー」のように、か。
そうよ、伊坂幸太郎の小説を映画化した「フィッシュストーリー」のようによ。
「フィッシュストーリー」、思い出しても奇妙な映画だったな。5時間後に彗星が地球に衝突するなんていう設定から始まったから、SF映画かと思ったら、売れないパンクグループの話になったり、フェリーでコックをやってる正義の味方の話になったり、冴えない青年の冴えない話になったり、何の映画なんだか、最後までさっぱり落とし所が読めなかった。
たしかに、それぞれのエピソードがバラバラに進んで何の映画かと思っていたけど、最後にはちゃんと一本筋が通った話になってた。ああ、こういうことが言いたかったのかって、むしろ、新鮮な爽快感を感じたわ。
音楽は地球を救う、ってか。
世の中は、偶然という名の必然のつながりでできているってことよ。
時系列的に並べちゃうと、ずいぶんご都合主義の話じゃないかと思うんだけど、時系列をバラバラにしたぶん、後をひいて興味が持続する。
ひとつひとつの挿話はじっくりと丁寧に語られているから、印象が散漫になってしまうこともない。
売れなくて解散せざるを得ないパンクグループの挿話なんて、切ないほどの真情がひしひしと伝わってくる。
あり得ねえよなあ、とかグダグダ言いながら、いつか自分たちの歌が誰かに影響を与えることを夢見ている。
そしてそれが意外な形で実現しちゃう。
意外すぎなんだけど、世の中、たまにはそんなことがあってもいいなじゃない、っていうやさしい気分になっちゃう。
登場人物みんなに、ちゃんと血が通っているっていうことだろうな。彼らの歌も相当本格的だったし。
正義の味方に育てられた男の話なんていうのも、なにそれ、っていう話なんだけど、妙にしみじみしちゃう。
中村義洋監督、伊坂ワールドを上手に映画に置き換えたもんだ。
奇妙な話だけど、人間てささいなところでつながっているものなんだっていうのがひたひたと伝わってくる。
そして、なんといってもタイトルになっている「フィッシュストーリー」。
フィッシュストーリーって、ほら話っていう意味の英語なんだってね。知らなかったわ。
タイトルにふさわしいエピソードが展開するし、なおかつ、そのタイトルが映画全体に対する思いを密かに表わしている。
しょせん、映画なんてほら話に過ぎないけど、ひょっとしたらそれが世界を変えることもあるかもしれないよ、っていう目配せね。
あからさまではないけれど、映画ファンに勇気を与えるよな。
地に足の着いた出演者たちの中で、重要な登場人物の多部未華子だけが、ちょっと戯画化されたテレビ的な演技で惜しかったけどね。
でも、かわいいから許す。
うん、何でだかわからないけど、すべてを許したくなっちゃう映画だった。
映画は世界を救う、なんてね。あり得ねえよなあ。
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この関係が方程式になってしまいましたね。
小説と映画の幸福な関係を観たようで
いい気分でした。
中村監督の場合、ジェネラルもいい線行ってる
ような気がしたんですけどねえ。
多部未華子の登場は「ルート225」つながりかな。
あそこでも不思議ワールドの住人でした。
ありがとうございました♪
売る、宣伝する、ことを目的としているため
本来ある程度の制約はあるんですが
好きに書かせていただいてて(!)
ペパミン同様楽しんでいただけるとうれしいです。
誰だったかな~。
多部未華子ちゃんがおさるさんみたいだったって。
たしかに茶色い被り物してメットつけてたから
おでこまるだしでめっちゃかわいかったけど
サルはないよな~(笑)
もともとは短編小説なので
映画でここまでふくらませることができるとは
思ってませんでした。
ただ、中村監督×伊坂作品は
アヒルと鴨・・・で成功してるんで
安心して見れたというか面白かったです。
おんなじように原作をアレンジしても
どーしてコレとジェネラルはちゃうんかな~
こっちのほうが低予算みたいやのに(わわわわわ)