ケーキなら、俺のおすすめはここだ。パリのトップ・パティスリー「patisserie Sadaharu AOKI paris」の有楽町店。2001年にパリ六区にオープンして以来、パティシエ 青木定治の斬新な感性が地元パリッ子に評判を呼んで、日本にも初出店した店だ。
ふーん・・・。
あれ?「ストロベリーショートケイクス」を観て、おいしいケーキが食べたくなったって言ったのはお前だぜ。
うん。東京で暮しているとたとえばケーキでも一流品が簡単に手に入るんだね。だから、田舎の人は錯覚しちゃうんだ、東京に出て来れば、もしかしたら自分のほしいものが何でも手に入るんじゃないかって。
そんなもんか?
あなたは東京生まれだからわからないのよ。
俺は横浜生まれだぜ。
似たようなもんだわ、大都会って意味では。私は田舎生まれだからよくわかるのよね。東京に出てきた独身女性の幻想と挫折。
え、「ストロベリーショートケイクス」ってそういう映画だったの?
そうよ。東京に憧れて出てきた女性たちが、恋に傷つき、自分を追い込み、結局東京を離れ、田舎に戻って癒されるって物語。
ああ、そういう映画だったのか。
それじゃあ、あなたはいままでどんな映画だと思ってたの?
俺か?俺は「嫌われ松子の一生」のおしゃれ版。
え?なに、それ。
ファースト・シーンなんてまさにそれじゃん。恋に破れた池脇千鶴が最低の別れ方をして、それでも懲りずにノウテンキに「恋がしたいなあ」なんて、三十年後は嫌われ松子になること間違いない。中越典子だって同じようなもんだ。男に振られたのがわかってるのに相手に「おしまいにしよう」と言われるまで追っかけまわして。お前は嫌われ松子の二代目か。ああ、嫌われ松子症候群の女たち・・・。
なにそれ、嫌われ松子症候群て。
だから、どうしようもない男たちにつかまって逃げられてそれでも懲りずに同じことを繰り返す独身女性をそう呼ぶんだ。
いつから?
いまから。
あなた、そういう風に独身女性をバカにするからいつまでたっても独り者なのよ。
おいおい、いまは映画の話をしてるんだぜ。
だから、中越典子の相手の男が東京人ていうのが象徴的なのよね。
ああ、たしかに「あなた、東京?」って聞くセリフがあったな。どこの出身だって関係ないじゃないかと思ったけど、あれは田舎の人間の東京に対するコンプレックスだったのか。
タイトルロールの背景が東京の風景だったのが象徴的じゃない。女性たちはみんな東京に押しつぶされてるの。
ほっとするのは、月に向って「ここにいるよ」って言うときくらいだもんな。
中国から出稼ぎに来ているおにいちゃんと会話するときとかね。
彼女たちの住んでいる空間が妙におしゃれだから気になっていたんだが、そういう空間に押しつぶされていく女性たちの物語だったのか。
意識するとしないにかかわらずね。
東京には何でもある。でも、愛がない、ってやつだな。パステル調の映像が心地よくて、内容の割りに気分よく見てしまったけど、地方出身者には案外身につまされる映画なんだな。
「ストロベリーショートケイクス」を見てケーキが食べたくなったって私が言った意味がわかった?
ああ。田舎で売ってるような、いわゆる普通のショートケーキが食いたいってことだろ。
おしゃれなケーキもいいけれど、それに押しつぶされちゃかなわないってこと。
じゃあ、きょうはこの店のケーキはパスするか。
いや、せっかく来たんだからやっぱり食べていこう。
そういう節操のないところが、嫌われ松子だちゅうの。
ふたりが乗ったのは、都バス<都05系統>
晴海埠頭⇒ほっとプラザはるみ入口⇒ホテルマリナーズコート東京前⇒晴海三丁目⇒勝どき駅前⇒勝どき橋南詰⇒築地六丁目⇒築地三丁目⇒築地銀座四丁目⇒有楽町駅前⇒東京国際フォーラム前⇒東京駅丸の内南口
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嫌われ松子症候群という言葉もおもしろいです。
またいつでも遊びに来てください。お待ちしています。
こちらもTBを返そうと思ったのですが、何度やっても反映できません(同じgooなのに・・・・泣)。
本作の私の感想はブログに書いたとおりですが、この監督の長篇デビュー作「風たちの午後」は傑作だったなぁと、今もつくづく思います。
それでは今後ともヨロシクお願いします。
TBできないなんてどうしてでしょうね。これにこりずに遊びにきてください。