【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「花のあと」:勝どき橋南詰バス停付近の会話

2010-03-20 | ★業10系統(新橋~業平橋)

屋形船って、こんなところに停泊してるのね。
桜の季節になったら、この船に乗って隅田川巡りなんて、風流でいいな。
船こそ出てこないけど、桜の花見から始まる映画が、藤沢周平原作の「花のあと」。
北川景子が時代劇に初主演して、髪をうしろで結わえたりりしい剣豪姿まで披露してくれる。それだけでマルだな。
でも、恋心を抱いた男が陰謀に巻きこまれて自害したんで、許婚がありながら、彼のかたきを取るっていう話よ。なんか、動機が不純じゃない?
どうしてだよ。恋心を抱いた男って言ったって、いちど竹刀を交わしただけの仲だぜ。後ろめたいことなんか、何もないだろ。
いちど竹刀を交わしただけの男のために、命がけでかたきを討つっていう発想がわからないって言ってるのよ。
女にしては珍しいこと言うね。それだけ一途な恋に落ちたっていうことだよ。それに、許婚がいるっていったって、親が決めた縁談にすぎないからな。
その許婚にかたき討ちの協力を頼むんだからねえ。
他に方法がないんだから、仕方ないだろ。
この許婚がご飯ばっかり食べてる木偶の坊かと思ったら、結構いいやつでね。
一見頼りなさそうに見えて実は頼りがいのある男を甲本雅裕が好演している。もうけ役だな。
北川景子の気持ちを慮って、彼女をピンチが襲ってもかたきを討つまでは表に出ていかない。見ようによっては、腹の座った男よね。
そのかたき役を演じるのが歌舞伎の市川亀治郎。さすがに平成の顔つきじゃなくて、時代劇の顔つきをしている。立ち居振る舞いもまた、時代劇そのもの。彼のような役者と剣を交えるんだから、北川景子もたいしたもんだ。
でも、女にしては剣の達人という役柄なんだけど、北川景子だから強いというよりけなげな印象が先に立つ。
そこがいいんじゃないか。初々しくて応援したくなる。恋心を抱いた男を見上げる目つきなんて、辛抱たまらん。
オジン殺しね。
悪いか。
監督は、いじめを主題にした秀作「青い鳥」を撮った中西健二。私はこっちのほうを応援したいな。
たしかに、素直な作風で将来が楽しみな監督だ。
まあ、近頃になくすがすがしい気持ちになれた映画だったのはたしかだから、一応マルかな。
やったね、景子ちゃん。



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ふたりが乗ったのは、都バス<業10系統>
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