Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

権代敦彦のオペラ

2013年10月16日 | 音楽
 サントリー芸術財団の「作曲家の個展」、今年のテーマ作曲家は権代敦彦(1965‐)だった。

 権代敦彦にはかねてより注目していた。その作品を聴く機会は今まで2~3回しかなかったが、その都度惹きつけられた。他の作曲家の作品と並べて聴く機会があったときは、けっして口当たりがいい曲とはいえないのだが、自分なりの思考へのこだわりが感じられた。借り物ではすまさない意思があった。

 当日は4曲演奏された。そのどれもが初めて聴く曲だった。十分に消化できたとはいえないので、中途半端な感想を書くことは控えなければならない。それから数日たって、プログラムに掲載されていた作品リストを見て、アッと思ったことがあるので、そのことをご紹介したい。

 当日初演の最新作「デッド・エンド」が作品番号139、その前の作品番号138が池辺晋一郎の古稀を祝って書かれた「秋(とき)」(本年9月に初演された)、そして作品番号137がオペラ「桜の記憶」とあった。オペラ?これはなんだろう?と思った。

 インターネットで検索してみると、5月26日の産経ニュースに行き当った。「日本のシンドラー」とか「命のビザ」とかといわれる第二次世界大戦中の外交官、杉原千畝をテーマにした作品だった。当ニュースではオラトリオとなっているが、最終的にはオペラになったようだ。

 ご存知のかたも多いだろうが、杉原千畝のエピソードについては、すでに一柳慧がオペラ「愛の白夜」を書いている。その初演も再演も観たが、初演のときの感銘にくらべて、再演のときの感銘は薄かった。なぜだろう、指揮者がちがうからか、ならば作品の真価はどうなのだろうと思った。

 同じテーマのオペラができたとしたら、これは喜ばしいことだ。そもそも杉原千畝は日本人が世界史にかかわった希少な例なので、オペラのテーマにするにはもってこいだ。

 オペラ「桜の記憶」は来年1月に初演される。場所はリトアニアのカウナス。杉原千畝がそこの日本領事館に赴任し、日本からの訓令に背いて、約6,000人といわれるナチスからの避難民(その多くはユダヤ人だった)にビザを発給した場所だ。

 台本はリトアニアの詩人リミダス・スタンケヴィシウスという人。リトアニア語のオペラなのだろう。指揮が西本智美というのも興味を惹かれる。さて、どんな作品になるのか。
(2013.10.11.サントリーホール)

↓産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130526/ent13052609110006-n1.htm

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