Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラファエロ展

2013年04月19日 | 美術
 ラファエロ展に行ってきた。混雑必至。いつもは比較的空いている金曜日の夜間開館時間に行くのだが、この先しばらくは金曜日に予定が入っているので、混雑覚悟で平日の午後に行ってみた。そうしたら案外楽に観られた。ことに4時半過ぎには空いてきたので、ゆっくり観ることができた(閉館は5時半)。

 昨年、ラファエロ展が開かれることを知ったときには驚いた。これはすごいことになる、と。よく世界の美術館から借りられるな、と。と同時に、人々が殺到するだろうな、とも思った。思えばこの一年間混雑におびえていたわけだ。我ながら笑止千万、案ずるより産むがやすしだ。

 もちろんラファエロの大作は来ていない。いや、来るわけがない。でも、今まで画集で観てきた主要な作品が何点か来ている。その実物に接するありがたい機会だ。

 その意味では、一番おもしろかったのは「聖セバスティアヌス」(1501-1502頃。ベルガモ、アカデミア・カッラーラ絵画館)だ。ラファエロ(1483-1520)の若いころの作品。画集で観た記憶はあるが、そんなに印象的ではなかった。でも、これがおもしろかった。いつまで観ていても飽きなかった。なにがおもしろかったのだろう。解説パネルにもあったが、仕上げのよさや明暗のうまさが、実物だとよくわかるからだろう。画集ではもっと平板になってしまう。
↓「聖セバスティアヌス」
http://www.wga.hu/html/r/raphael/1early/01sebast.html

 なつかしい作品もあった。「無口な女」(1505-1507。ウルビーノ、マルケ州国立美術館)だ。何年も前にペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルに行ったとき、日中はなにもすることがないので、ウルビーノに行った。バスで簡単に行けた。目的はピエロ・デラ・フランチェスカを観るためだ(そして大いに感動した)。そこにこの作品もあった。ラファエロらしくない硬い表情だなと思った。
↓「無口な女」
http://www.wga.hu/html/r/raphael/2firenze/2/36lamuta.html

 でも、二度目となる今回は、あまり硬い感じはしなかった。むしろ親しみさえ感じた。首の飾り紐の影が映っていることなど、今回初めて気が付いた。感心して観ているうちに、髪の毛が褪色しているらしいことに気が付いた。

 そういえば、チラシに使われている「大公の聖母」(1505-1506。フィレンツェ、パラティーノ美術館)の左手の袖口も、なんだか妙だなと思ったら、褪色しているようだった。といっても、この作品、聖母の優美さや幼子イエスの表情は、ラファエロの神髄の一端を伝えるものだ。
↓「大公の聖母」
http://www.wga.hu/html/r/raphael/2firenze/1/22grand.html
(2013.4.18.国立西洋美術館)

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