Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ノルマンディー展

2014年09月18日 | 美術
 損保ジャパン日本興亜美術館の「ノルマンディー展」。地味な展覧会なので、人が少なく、ゆったりした時間を過ごすことができた。

 事前にホームページを見たら、作品リストが載っていた。ブーダン(1824‐1898)の作品が多い。なるほど、ノルマンディーの画家というと、ブーダンになるのか、ならば、この機会にブーダンをしっかり見てこようと――。

 でも、実際には習作や未完の作品(らしきもの)も多く、まとまった手応えは得られなかった。その中ではチラシに使われている「ル・アーヴル、ウール停泊地」(※1)が印象的だった。夕日に染まった透明な空。ターナー的だなと思った。ブーダンらしくない一瞬の空の表情だ。ブーダンはもっと安定した穏やかな空を描く画家ではなかったろうか。

 これと並ぶ作品がもう1点あるとよかったが、残念ながら、他の作品は(わたしには)力不足と感じられた。せめて国立西洋美術館の「トゥルーヴィルの浜辺」(※2)でも出展されていれば、本展はもっと引き締まった構成になったかもしれない。

 わたしにとって最大の目玉は、意外なところにあった。ヴァロットン(1865‐1925)だ。今ちょうど三菱一号館美術館でやっているヴァロットン。その個性的な作品を知ったばかりの画家だ。本展では2作品が来ている。その中の「オンフルールの眺め、夏の朝」に強烈な印象を受けた。すっかり明けきった朝の空に、何本もの樹木が曲がりくねった曲線を描いて伸びている。鮮烈な緑が目を射る。

 画像を紹介したいのだが、収蔵館(ボーヴェ、オワーズ美術館)のデータベースには登録されていなかった。他館で似たテーマの作品を見つけたが、それでは意味がないだろう。残念ながら――。

 最近展覧会を見た画家としては、デュフィ(1877‐1953)の作品も多数来ていた。デュフィらしさを楽しめる作品が何点かあった。

 でも、むしろ、未知の画家の作品で、おっと思うものがあった。1点はウジェーヌ・イザベイEugene Isabey(1803‐1886)の「トゥルーヴィルのレ・ゼコーレ」。強烈な夕日に目がくらむような作品だ。もう1点はシャルル・フルションCharles Freshon(1856‐1929)の「一日の終わり」。この世ならぬ一瞬の光。いずれも画像が見つからないので、ご紹介できないが。
(2014.9.17.損保ジャパン日本興亜美術館)

(※1)「ル・アーヴル、ウール停泊地」(本展のホームページ)
http://www.sjnk-museum.org/program/current/2139.html

(※2)「トゥルーヴィルの浜辺」
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Boudin_Beach_of_Trouville.jpg

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