Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

トランペット協奏曲あれこれ

2020年06月24日 | 音楽
 オーケストラの演奏活動が再開している。わたしが定期会員になっている5つのオーケスの中では、今のところ一つのオーケストラが7月に定期演奏会を再開する見込みだ。

 2月下旬以降の4か月間に中止または延期になった演奏会には、2曲の珍しいトランペット協奏曲が含まれていた。一つは日本フィルの3月定期で予定されていたアレクサンドル・アルチュニアン(1920‐2012)のトランペット協奏曲、もう一つは読響の5月定期で予定されていたオスカー・ベーメ(1870‐1938)のトランペット協奏曲。ともに作曲家の名前も聞いたことがない曲なので、どんな曲か、NMLで聴いてみた。

 アルチュニアンの曲は楽しい曲だった。アルチュニアンはアルメニアの作曲家。アルメニアというとハチャトゥリアン(1903‐1978)を思い出すが、ハチャトゥリアンと似た民族性が感じられる。NMLで聴いたのは、フィリップ・スミス独奏、クルト・マズア指揮ニューヨーク・フィルの演奏で、スミスは同フィルの首席奏者のようだ。

 一方、オスカー・ベーメの曲はいかにもドイツ・ロマン派の曲。ドイツ・ロマン派のトランペット協奏曲というと、他にどんな曲があるか、見当がつかない。ベーメという人の生涯は興味深い。ドレスデン近郊に生まれ、ライプツィヒ音楽院でトランペットと作曲を学んだ後、ブダペスト歌劇場を経て、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場でトランペット奏者となった。ロシア革命の渦中で数奇な運命を辿った。NMLで聴いたのは、ジュリアーノ・ゾンマーハルダーの独奏、ハイコ=マティアス・フォルスター指揮ウェストファリア・ニューフィルハーモニア管の演奏。ゾンマーハルダ―は若手の名手のようだ。

 その他にもトランペット協奏曲をあれこれ聴いてみた。ハイドンの有名曲はいうまでもないが、それ以外にもおもしろい曲がいろいろあった。

 まずミエチスワフ・ヴァインベルク(1919‐1996)のトランペット協奏曲。全3楽章からなり、第1楽章と第2楽章は盟友ショスタコーヴィチを彷彿とさせる。一方、第3楽章は驚きの音楽だ。初めてこの曲を聴く人は唖然とするだろう。NMLで聴いたのは、チモフェイ・ドクシツェル独奏のメロディア盤だが、その後メロディア・レーベルはNMLから脱退した。

 もう1曲は細川俊夫(1955‐)のトランペット協奏曲「霧の中で」。わたしは2013年9月にイエルーン・ベルワルツの独奏、準・メルクル指揮東京フィルによる初演を聴いた。そのベルワルツがピアノ伴奏版で録音している。近年の細川俊夫の雄弁さがよくわかる曲だ。

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