Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

クラップ~最後のテープ

2014年06月02日 | 音楽
 サミュエル・ベケット(1906‐1989)の戯曲「クラップの最後のテープ」をオペラ化した作品があった!作曲はマルセル・ミハロヴィチ(1898‐1985)。Wikipediaで調べてみると、「ルーマニア生まれのフランスの作曲家」とある。「ジョルジェ・エネスクに才能を見いだされ、1919年よりパリに移住」した。ベケットとの交友でも知られているそうだ。奥様はピアニストのモニク・アース。あっ、そうか!と思った。LP時代にはよく名前を見かけた人だ。

 ともかく、そういうわけで、期待に胸を膨らませて聴きにいった。でも、さっぱり盛り上がらない。これはちょっと‥。

 なにが原因なのだろう。思うに、その音楽だ。戯曲は、69歳になったクラップが、長年の習慣により、一年の出来事をテープに吹き込もうとする話。その前に30年前のテープを聞いてみる。「なんて馬鹿なことを言ってるんだ」とかなんとか悪態をつく。

 一人芝居ではあるのだが、テープから流れる30年前の声と、今の声とが重層的に重なり合う。そういう構造だ。なので、芝居では面白いだろうが、このオペラで問題だと思った点は、テープから流れる声と今の声と、その両方の部分で、同じような音楽が付けられていることだ。変化に乏しい。もっと截然とした変化があってほしい。

 でも、どうも腑に落ちないので、帰宅してから、もう一度Wikipediaを覗いてみた。英語版にこのオペラの解説がある。事前に読んだのだが、よく覚えていなかった。あらためて読んでみて驚いた。2003年のプラハ公演の批評が載っていて、そのなかに「渦を巻くチェレスタ」とか「弱音器付きのトランペット」とかの言葉がある。そんな楽器はなかった。あったのは、ピアノ、クラリネット、ファゴットそしてパーカッション。パーカッションも、Wikipediaでは「巨大な打楽器群」という言葉があるが、それに相応しい編成とは思えなかった。

 音楽監督に某氏の名前がクレジットされているので、その人が小編成のアンサンブル用に編曲したのかもしれない。それはいいのだが、その旨を公演プログラムに明記してほしかった。

 なので、音楽について感じたことは、保留にしておきたい。この公演で判断することは危険だ。

 クラップを演じた大山大輔はミュージカルでも活躍している人のようだ。さすがにメークや演技は堂に入っていた。
(2014.6.1.あうるすぽっと)

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