打楽器奏者の加藤訓子(かとう・くにこ)さんのソロ・リサイタル「スティール・ドラム・ワークス」。スティール・ドラムとはドラム缶のことだ。ピアノ線を張ったり、ビスを打ったり、水を張ったりしたドラム缶がいくつも並んでいる。銀色のメタリックな光沢が美しい。
1曲目はデヴィド・ラングDavid Langの「アンヴィル・コーラス」。昔、鍛冶屋はさまざまなメロディーに合わせて槌をふるっていた。現代では忘れられたそのエコーをイメージした曲。右手と左手と足(ペダル)が、てんでん、ばらばらに拍を刻む。気迫のこもったショットとドラム缶の鮮やかな音色が息をのむほどだ。
2曲目は自作の「プラネット・アース」。副題は「スティール・ドラムによるサウンド・インスタレーション」。ドラム缶をはじめ、舞台に所狭く並べられた打楽器を使って、加藤さんのイマジネーションを繰り広げる曲。地の底のひびきから宇宙の果ての無音まで、あるいは流浪の民の歌まで、ありとあらゆる音の展示。
3曲目のスティーヴ・ライヒの「エレクトリック・カウンターポイント」から4曲目のバッハの「マタイ受難曲」のコラール、そして5曲目のスティーヴ・ライヒの「ヴァーモント・カウンターポイント」までは一連のコンセプトに基づく選曲。
「エレクトリック・カウンターポイント」は、もとは電気ギターとテープのための音楽だが、加藤さんが打楽器とテープのために編曲した。第1部はスティールパンで演奏。明るくクリアーな音がさく裂し、美しいことこの上ない。第2部はヴィブラフォン、第3部はマリンバ。なるほど、音階をもった打楽器となると、こういう選択になるのかもしれない。音色としては、漸次柔らかくなるので、第3部が妙に柔和だった。
「マタイ受難曲」のコラールはマリンバ用に編曲。スティーヴ・ライヒの次に置かれても違和感がない。「ヴァーモント・カウンターポイント」はヴィブラフォン用に編曲。これまた鮮やかな演奏だった。
最後は会場の手拍子に合わせて「ボレロ」。アンコールが1曲。ヴィブラフォンで演奏されたこの曲も美しかった。なんという曲名だろう。
会場は横浜の赤レンガ倉庫一号館。1913年(大正2年)に完成したが、関東大震災で半壊。その後再建されて、日本の貿易を支えた。今では役割を終え、2002年からは文化・商業施設として再生している。外壁の赤レンガが好ましい。
(2011.3.30.横浜赤レンガ倉庫一号館)
1曲目はデヴィド・ラングDavid Langの「アンヴィル・コーラス」。昔、鍛冶屋はさまざまなメロディーに合わせて槌をふるっていた。現代では忘れられたそのエコーをイメージした曲。右手と左手と足(ペダル)が、てんでん、ばらばらに拍を刻む。気迫のこもったショットとドラム缶の鮮やかな音色が息をのむほどだ。
2曲目は自作の「プラネット・アース」。副題は「スティール・ドラムによるサウンド・インスタレーション」。ドラム缶をはじめ、舞台に所狭く並べられた打楽器を使って、加藤さんのイマジネーションを繰り広げる曲。地の底のひびきから宇宙の果ての無音まで、あるいは流浪の民の歌まで、ありとあらゆる音の展示。
3曲目のスティーヴ・ライヒの「エレクトリック・カウンターポイント」から4曲目のバッハの「マタイ受難曲」のコラール、そして5曲目のスティーヴ・ライヒの「ヴァーモント・カウンターポイント」までは一連のコンセプトに基づく選曲。
「エレクトリック・カウンターポイント」は、もとは電気ギターとテープのための音楽だが、加藤さんが打楽器とテープのために編曲した。第1部はスティールパンで演奏。明るくクリアーな音がさく裂し、美しいことこの上ない。第2部はヴィブラフォン、第3部はマリンバ。なるほど、音階をもった打楽器となると、こういう選択になるのかもしれない。音色としては、漸次柔らかくなるので、第3部が妙に柔和だった。
「マタイ受難曲」のコラールはマリンバ用に編曲。スティーヴ・ライヒの次に置かれても違和感がない。「ヴァーモント・カウンターポイント」はヴィブラフォン用に編曲。これまた鮮やかな演奏だった。
最後は会場の手拍子に合わせて「ボレロ」。アンコールが1曲。ヴィブラフォンで演奏されたこの曲も美しかった。なんという曲名だろう。
会場は横浜の赤レンガ倉庫一号館。1913年(大正2年)に完成したが、関東大震災で半壊。その後再建されて、日本の貿易を支えた。今では役割を終え、2002年からは文化・商業施設として再生している。外壁の赤レンガが好ましい。
(2011.3.30.横浜赤レンガ倉庫一号館)