後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔294〕好きな役者さんでした。三浦春馬さんの逝去を悼みます。

2020年08月16日 | 追悼文
  若い役者さんで良いなと思う人はそう多くはいませんが、三浦春馬さんは何か気になる存在でした。
 最初に彼の名を知ったのはTBS系テレビ『私を離さないで』でした。ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロ原作の作品です。珍しくテレビドラマを見ようと思ったのはカズオ・イシグロの話が脚本研究・森の会で話題になったからです。
 出席者のHさんが、ノーベル賞を取るなら村上春樹よりカズオ・イシグロが相応しいと言いました。会ではそれから何回かHさんによるカズオ・イシグロ作品の報告が続きましたが、周知のように彼女の予言は当たることになります。
 そんなおり、テレビで『私を離さないで』が放送されたのでした。主演は綾瀬はるかですが、初見の三浦春馬も重要な役を与えられていました。透明感漂う押さえた演技で、惹かれるものがありました。臓器提供を宿命づけられたクローン人間を妖しく演じていました。

■『私を離さないで』カズオ・イシグロ(ウィキペディア)
 2016年1月15日から3月18日まで、TBSテレビ系「金曜ドラマ」枠にてテレビドラマ化された。主演は綾瀬はるか。脚本は森下佳子。
 原作のイギリスから、舞台を日本に移して翻案。主人公は「恭子」、ヘールシャムは「陽光学苑」などに置き換えている。物語は恭子が過去に遡って語るモノローグ(=信頼できない語り手)によって進行し、第1話 - 第3話を「第1章:陽光学苑編」、第4話 - 第6話を「第2章:コテージ編」、第7話以降を「最終章:希望編」としている。


 三浦春馬に「再会」したのはドイツに向かうJALの飛行機でのことでした。日本中国合作映画『真夜中の五分前』が上映されていたのです。こちらも感情を押さえた演技で存在感がたっぷりでした。とりわけ中国語が堪能なのには舌を巻きました。相当中国語を勉強したようです。この映画がアジアで評価され三浦ファンがアジアに多いと聞きました。彼の死を惜しむ声は日本だけではありませんでした。

■日本中国合作映画(ウィキペディア)
『真夜中の五分前』(まよなかのごふんまえ)は、2014年の日本・中国合作映画。原作は本多孝好の小説『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow(side-A・side-B)』(新潮文庫刊)。


  昨日、2020年8月15日、日本敗戦の日に放送されたのがNHK『太陽の子』でした。主演は柳楽優弥ですが、三浦春馬は彼の弟役での熱演でした。大海原に向かって自殺を計るシーンは今までの穏やかなイメージを変えるものでした。そして、特攻を志願して帰らぬ人となるのでした。
 この作品を完成させてからこの世に別れを告げるつもりだったのでしょうか。ここでの演技とダブらせてみてしまうのです。

■NHK「太陽の子」(ウィキペディア)
 『太陽の子』(たいようのこ、英語: GIFT OF FIRE)は、「国際共同制作 特集ドラマ」としてNHK総合、NHK BS4K、NHK BS8Kで終戦75周年となる2020年8月15日土曜日の19時30分から20時50分に放送された日本のテレビドラマ。第二次世界大戦下の日本で原子爆弾の開発に携わった科学者の苦悩と青春を史実をもとにフィクションとして描いた群像劇。第二次世界大戦末期に京都大学で行われた核分裂エネルギーを用いた新型爆弾の開発(F研究)において、爆弾開発の研究に没頭する1人の若手研究者が戦争という時代の波に翻弄されていく姿を史実に基づいて描く、若者の戦争における悲劇の物語[1]。黒崎博作・演出。主演は柳楽優弥。


 あまりに若すぎる30歳での自死でした。
 貴方より2倍以上生きた年寄りが、貴方の死を息子のように悼んでいます。合掌

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