中野笑理子のブログ

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

吉朝さんを想うチャルメラ

2019年02月06日 | 日記
ここ数日どこからともなく、夜になるとチャルメラの音が聞こえてきます。
今夜も来るかな~と思っていると、遠くから小さく、そしてだんだん大きく聞こえてくる懐かしいような少しもの悲しいようなチャルメラの音。
夜回りのラーメンを食べたことはないのですが、そんなチャルメラの音に今は亡き桂吉朝さんの「かぜうどん」のマクラを思い出しました。

米朝師匠のお宅での内弟子時代、とにかくお腹が空いたそうです。
三度の食事はちゃんと頂いていてもお腹が空くので、ちょっと用事で外出した時にコロッケなど買って公園で食べたりしていたのですが、何故かすぐに奥様にバレたそうです。
ある夜、外から聞こえてくるチャルメラの音にいてもたってもいられずに走って買いに出た吉朝さん。
お金を払って発泡スチロールのお椀に入ったラーメンと割りばしを手渡され、さぁ食べようとすると車で来ていたラーメン屋はもう用はないとばかりにすぐに発進してしまい、暗闇の中でひとりポツンと取り残されて非常に心細かったとのこと。
食べ終わるまで世間話などしながらそこにいてくれると思っていたのに、夜道にひとり取り残された吉朝さんは熱々のラーメンを持って呆然と立ち尽くしたそうです。

そろそろチャルメラの音が聞こえてくる時間、私も吉朝さんのように熱々のラーメンを持って夜道に佇んでみようかしら。

一度だけご一緒させていただいた時の貴重な1枚であります。