中野笑理子のブログ

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無人電車

2017年03月16日 | 日記
朝、駅までの道では聞こえていた鳥の声や、車の走る音が、いつの間にか聞こえなくなっていた。
改札を入った時に何となく感じた違和感も、駅のホームに到着していた電車を見て慌てて走りだし駆け込み乗車したときには、すっかり忘れていた。
息を切らせて空席を探す間もなく、さっき感じた違和感が甦った。
車内はガラガラ、乗客は私ひとり。
そういえば電車の扉が閉まるプシューという音も、ウィーンという走り出す音も聞こえなかった。
けれど電車は走っていた。
隣の車両へ移動しても、乗客はひとりもいなかった。
そろそろ次の駅に着く頃なのに、電車は無音のまま走り続けている。
アナウンスも一度も流れていない。
窓の外に目を凝らしても、通過駅も一向に見えてこない。
いつもの景色と、晴れた青空が続いている。
とうとう先頭車両まで来てしまったけれど、乗客はいない。
運転手さんがいるはずだ。
運転室を覗いたけれど、ガラス窓の向こうは真っ暗で、計器の光も何も見えない。
止まって! 降ろして!
運転室の壁をガンガン叩いて叫んだけれど、電車は無音で走り続ける。
アッと思い出してスマホを取り出してみると、電波はちゃんと立っている。
ネットも繋がっている。
助かった!
電鉄会社のホームページから乗車駅の電話番号を探し、かけてみる。
話中で繋がらない。
夫の携帯にかけてみる。話中で繋がらない。
110番。話中。あり得ない。
LINEをしまくった。誰からもレスがない。ひとつも既読にならない。
時刻はもう夜なのに、窓の外は朝のまま電車は走り続けている。
ブログを更新してみようと思う。
もしこのブログがちゃんとアップされていたら、誰か私を助けて下さい。

ある朝の電車内。これがずっと続いていたら怖いなぁ、と思って書いてみました。