江別創造舎

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番外編!ドイツを思い、日本を愛した佐野えんね女史

2009年06月08日 | 番外編
 このたび、自然を愛し、故郷ドイツを思い、日本を愛した青い目の日本人佐野えんね女史をご紹介いたします!

 第一次大戦後新しくできたベルリンのヘラスベルク古書籍商会に務めていた女史は、入手困難な学術書を揃え、学者に供する仕事をなさっていらっしゃいました。
 ある日、その古書籍商会を訪れた日本の学者らしいお客様に招待され、1933年女史が33歳の時に、日独文化研究所ドイツ語講師として2年間契約で来日されました。翌年1934年佐野一彦氏とご結婚し、2年間の予定であった日本の生活が一変し生涯日本人として過ごされました。

 佐野えんね女史は、1945年岐阜県美濃加茂市に疎開され、1948年より岐阜大学をはじめ、中部地区の大学にてドイツ語教師となり、1967年愛知大学教授をご退官なさいました。

 佐野えんね女史が1988年に著された「日本に住むと日本のくらし」より、一節をご紹介します!

返事ーハイとイイエ
 日本にはハイとイイエという返事があります。これは英語のイエスです。けれども、ハイとイエスは違うのです。イエスは「私は同じ意見です」という意味です。ハイは、人の言ったことに対して、「それは聞きました、それが分かりました」という返事で、私の意見はそこに表れていないのです。(中略)向こう(ドイツ)では、「私の考えは・・・」ということがとても強い。個人を大事にして、自分の考えの中に居るのです。
 一人ひとり違う意見を持ち、自分の考えの中に居てものを考えていると、いろいろな工夫が出てくるという良い点がありますが、皆が一緒に一つの道を歩くことはなかなかできません。(中略)
 私は日本人の「私はこう思いますが、他の人の考えもそばにあっていいのです」という考えの中に入りたいと思い、「そうですね」と言えるようになれたら、と思ってきました。

 新しい芽
 私が日本に入れていただいてからもう一世紀の半分以上になっております。随分世界中なんでも変わりました。だんだんアメリカにも、ヨーロッパにも、日本の中にも、一つの新しい動きが出てくるようです。それは、時代を考え直す、何か新しい新芽の出るような、動きです。(中略)
 日本人には哲学はいらない。自然に教えてもらった、いろいろな知恵がありますから。日本は、その知恵で文化を育ててきた立派な国です。いま、その知恵を忘れて、少し荒っぽい国になりかけましたね。私は、惜しい惜しいと思います。
 自然の声を聞く日本人の耳は、細かかったはずですけれども、進んでいるヨーロッパを追いかけるうちに、その耳がちょっと遠くなってしまったのではないか。今、考え直す空気の中で、日本人もどういうことが進んでいるのか、と考えているのではないかと思います。

書籍のご紹介!
佐野えんね著「日本に住むと日本のくらし」樹心社,1988年.
 同書は、日本図書館協会選定図書および全国学校図書館協議会選定図書です。
 

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2 コメント

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メッセージを胸に (江別座)
2009-07-06 00:58:41
 いつもメッセージを心に留めておきたいと思います。そして、多くの方に伝えていきたいと思います。
 
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青い眼の日本人 (巽 五郎)
2009-07-05 21:53:18
 エンネおばあちゃん、、出会いは 東海TVの早朝の五分位の映像です。畑を耕して いらっしゃいました。記憶です。
 数年後に新聞に度々 載られドイツ人で あられることを知りました。彼女のメッセージ、未だに我々日本人に 届いていませんね。残念です。
 自分も もう一度 彼女のメッセージ、噛みしめたいとおもいます。
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