江別創造舎

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大麻13遺跡の石器

2009年09月07日 | 歴史・文化
 大麻13遺跡は、大麻100番地付近に所在する縄文時代早期の遺跡です。

 道道三番通の改良工事に伴い、平成元年5月から10月にかけ発掘調査が行なわれました。発掘調査により38,000点に及ぶ土器・石器などの遺物を得、11軒の住居跡を含む122基の遺構を検出しました。出土した遺物は縄文時代前・中期の遺物を含みますが、その大半は縄文時代早期のものでした。

 発掘調査も終盤にさしかかり、見落とした遺構がないか調査区を精査していたところ、黄褐色粘土層中より発見されたものです。最初に石器を発見したあたりを中心にさらに周囲を慎重に掘り進めたところ、約30センチメートルの範囲から合計15点の石器類を検出しました。

 一般に江別市の縄文時代の遺跡では、土器や石器などの遺物は、表土直下の黒色腐植土から出土し、それより下層の粘土層からは出土することはありませんでした。したがって、縄文時代の遺物包含層より下位の粘土層から得られたこれらの石器類は、少なくとも縄文時代早期に先行する時代の所産と考えられます。
 得られた石器類の内3点は、ややずんぐりとした幅広の木葉形をした両面加工の石器でした。先頭部は、石槍などの一般的な尖頭器にみられるような鋭角的な尖頭部を示さないが、側縁部に入念な剥離調整がみられました。もう1点は、背面に主剥離面を残した片面加工の石器で、左側縁部に剥離調整が施されていました。この他は黒耀石の剥片(フレイク)でした。

 対比する資料が少ないため、石器の形態からこれらの石器の属する時代を特定することは難しい。周囲の土層との比較、あるいは断面の観察からピットなどは認められず縄文時代の遺構に伴うものとは考えにくい。したがって、石器の出土した層準を素直に認めれば、これらの石器は縄文時代早期に先行する時代、すなわち急石器時代終末期と考えられています。

(参考)
当ブログ2009年6月27日(土)「ロンドン大英博物館展覧会ー江別市有形指定文化財大麻3遺跡土偶出品」
当ブログ2009年3月28日(土)「縄文時代の土器」
当ブログ2009年3月28日(土)「縄文の土器ロビー展示のご案内」
当ブログ2008年9月16日(火)「江別兵村の風土と文化」
当ブログ2008年6月 2日(月)「国指定史跡江別古墳群」
当ブログ2008年5月30日(金)「擦文土器」
当ブログ2008年5月29日(木)「江別文化」
当ブログ2008年5月27日(火)「江別市指定文化財江別式土器」

註:江別市総務部「新江別市史」20-22頁.
写真:大麻13遺跡出土の石器
 同上書写真1-2「大麻13遺跡出土の石器」を複写掲載いたしております。
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