東京工業大学の三上幸一教授らの研究グループは、医薬品材料として利用が期待される化合物「オキセテン」について、人体への毒性がないなど特定の性質を持つ構造のものだけを作り分ける不斉合成(用語参照)に成功した。
合成にはパラジウム触媒を使った。オキセテンは単体で取り出すことが難しく、不安定な化合物として知られる。効率よく合成できる触媒反応を用いてオキセテンの不斉合成に成功したのは初めて。
エイズ治療薬や抗がん剤など、新しい医薬品の開発や既存の医薬品の効率的な合成技術の開発につながる。
オキセテンは炭素原子三つと酸素原子一つが環状につながった構造を持つ化合物の総称。環状構造を持っていると、そこへさまざまな物質を付けて化合物を作れる。
これまでもオキセテンの合成が試みられてきたが、合成できても室温で置いておくと数時間で環状構造が壊れてしまうなど、不安定だった。オキセテンを単体で取り出すことも難しかった。
計画停電は、東電の責任というより、「政治主導」を演出したい菅政権が引き起こした。計画停電は13日午後6時半から東電により発表予定だったが、首相が直接国民に呼びかける体裁を取りたいがために、首相らの会見後の午後8時20分にずれ込んだ。そのため鉄道会社などは対応の時間がとれず、翌朝のダイヤ混乱につながった。
さらに、14日の午前6時20分から3時間ごとに実施するとしていた停電に実際に踏み切ったのが午後だったことが混乱に拍車をかけた。初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏が危機管理の観点から“無計画”な計画停電を批判する。
「オーダー(命令)→カウンターオーダー(取り消し)→ディスオーダー(混乱)という、危機管理上あってはならないことをしています。停電すると一度決めたからには、何があってもやり切ることが重要です」
そもそも電力の供給不足は国が責任を持って対応する必要がある。第1次オイルショック時は電気事業法に基づいて産業界の電力使用制限を行なった。しかし、今回は国の規制ではなく東電という民間企業に対応を任せた。絵に描いたような責任逃れである。菅政権の危機管理の欠陥は自衛隊の投入手法にもあった。
「危機に直面した際にタブーとされるのが“兵力の逐次投入”です。菅首相は自衛隊の投入を、2万→5万→10万人と増やした。兵力を小出しにするのは投入効果を薄める。そんな基本さえも知らなかったのです」(佐々氏)
現場の迷惑も考えずに被災地の視察に訪れたように、菅政権の「政治主導」はパフォーマンスに尽きる。未曾有の天災とともに、無能の人災も降りかかる国民の不幸――。
※週刊ポスト2011年4月11日号 (NEWSポストセブン)