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家電が驚くべき進化を遂げる! シャープの「生物模倣技術」とは?

2014-03-31 15:18:46 | 日記


家電が驚くべき進化を遂げる! シャープの「生物模倣技術」とは?


海を渡り数千キロも旅をする蝶「アサギマダラ」の、羽根の“くびれ”と羽ばたく時の“うねり”を応用。自然のそよ風のようなムラの少ないなめらかな風を届ける


 「生物模倣技術」という言葉をご存知だろうか? 自然界に生息する生き物の機能や仕組みを参考にして、新たな技術の開発や性能向上に結びつける技術のことだ。そしてここ数年、「生物模倣技術」を家電分野に積極的に取り入れているのがシャープである。

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 シャープは、「イルカ」「アホウドリ」「トンボ」「ネコ」「アサギマダラ(蝶)」といった動物や昆虫を参考にした製品を送り出している。今回は、そのキーパーソンであるシャープ、ネイチャーテクノロジー推進プロジェクトチームのチーフ、大塚雅生氏に「生物模倣技術」を取り入れるきっかけから成果まで詳しく聞いた。

 シャープの研究員である大塚雅生氏は、元々専門分野であった「航空工学」を使って、エアコンのファンの送風効率をそれまでの倍以上に引き上げた人物として、シャープ内でも一目置かれる存在であった。だが、そんな彼は2007年にロングパネルを採用し、空気の流れを効率化すると同時に大幅な省エネ化を実現したものの、一人もがき苦しんでいたという。大塚氏は、当時のことをこう振り返る。

 「NASAの技術などを使った翼型の知識などを参考に、すでに最大限の成果を出した後だけに、もはや1%効率を高めることも困難というぐらい限界を感じていました。土日も休みなく、いくら考えても、どうにもならなかったですね」

 そんな時、彼は現実逃避と癒しを求め、水族館のイルカを見に行こうとした。しかし、一応は勤務中。結局、足を向けたのは水生生物の学会だった。

 「上司などにも“次はどうすんねん?” と迫られていましたけど、正直もうネタ切れでした。だから、とにかく発想の転換を図りたいと上司に伝え、今までさんざん空気について学んだので、これからは水だとか、これまで機械を研究したから、これからは生物だとか苦し紛れに言って。勤務中だけど、とにかく会社から逃げたかったので、インターネットで“イルカ 学会”とか検索して……」

 ただ、わらをもつかむ思いで偶然出席した生物学会でのやりとりが、まさに目からウロコの連続だったと大塚氏。それはどういうことか?

 「それまで航空工学で学んだ常識を覆されるような学説が、さまざまな学者から仮説として語られていたんです。例えば、イルカの表面のしわは水との摩擦抵抗を下げるために、水の流れに垂直に入っているとか。どう考えても水の流れと平行に入っているほうがいいって考えるのが普通じゃないですか。さらに、イルカは水のなかで瞬間的に時速50キロで泳げるのに、そこに必要なはずの筋力量の1/7しか持ってないこととか。この仕組みは未だに解明されておらず、『グレイのパラドックス』と呼ばれています」。

 突破口を求めて、その翌年も同じ生物学会にも参加する。そこで語られていたのが、今度はアホウドリやトンボの生物だった。「ここでも完全に航空工学の常識を否定され、NASAの翼型よりも高効率な飛び方をするアホウドリのことが、まことしやかに語られていました。さらにトンボの翼断面がギザギザになることで、空気との摩擦抵抗が少ないことも知りました」。

 ただ、これらの情報をいきなり上司に進言することはできなかった。なぜなら、その学会でも語られていた内容は、真実ではあるものの、まだ解明できてないものがほとんどだったからだ。学者たちが口々に「この仮説でないと、辻褄が合わない」とか「解明できていないけど、こうならないとおかしい」とか言い合っている状態である。

 「上司にアホウドリを真似てプロペラを作ります! なんて言ったら、『お前がアホやろっ!』みたいなこと言われそうな雰囲気でしたし」(笑)。

 だが、大塚氏は「真実はここにある」と考え、とりあえず、見よう見まねでアホウドリの羽根の形を応用したプロペラファンを作ってみることにする。「どんなに鈍臭いプロトタイプになったとしても、もし本当に学会でいわれていることが真実であるなら、確実に1割~2割は風量がアップすると思いました」。

 すると、驚くべき結果がすぐに出た。

 いままでどれだけ「航空工学」を応用しても、風効率を1%上げるのに何カ月も掛かっていたものが、アホウドリの羽根を真似て作ったプロトタイプは、いきなり20%も効率を高めることに成功したのだ。

 「最初は測定ミスかと思いました。しかし、何度測定しても結果は同じ。驚きました。周囲からは、『デビルウイングか?』とか『エイヒレっぽいと』か言われましたけど」

 ここから、シャープの「生物模倣技術」の応用がスタートする。

 まず最初に着手したのが、プロトタイプの羽根をさらに改良し、エアコンの室外機用の羽根を開発すること。鳥の翼の平面形を応用したプロペラファンだ。鳥の中でもっとも滑空力が高く、数万キロも飛び続け、高効率な翼を持つアホウドリと、陸上のきわめて強い乱気流のなかでも安定して飛ぶことができるイヌワシの羽根形状を応用した。

 「アホウドリの細く鋭い翼平面形状とイヌワシの先端が分かれた翼平面形状を組み合わせ、さらにほとんどの鳥にある親指のなごり、小翼羽を作ることで、空気の渦を発生させます。従来の翼では剥離領域となっていた中心部まで剥離を抑え、効率を上げることに成功しました。結果、従来のファンより120~130%高効率化することに成功し、さらに1.5~2Bbの低騒音化、20~50%省資源化などに成功しました」

 「生物模倣技術」により、非常に精度の高い室外機用の羽根が生み出された。さらにこれにより消費電力も20%ほどカットできたという。

 このプロペラファンは、2008年発売のエアコンに初めて採用された。ただ、この時はまだ世間に「生物模倣技術」の存在は公表しなかったという。それが日の目をみたのは、2010年発表のエアコン室内機にトンボの羽根の断面形を応用した時だ。

 「従来使っていた航空工学を応用したシンプルな曲線のファンブレードを、トンボの翼の断面形を応用した不規則にギザギザとなっているファンブレードに変更しました。これは航空機型のものに対し、トンボのギザギザの羽根の方が周りに渦のが形成され、翼面の摩擦抵抗が小さくなるというところからの応用になります」。

 これによりエアコンの低騒音化と高効率化に成功。従来の室内機用シロッコファンと比較して、3~5dBの低騒音化、30%もの風の高効率化、さらに10%の省エネ化を実現する。

 エアコンの成功により、弾みがついた。次はいよいよ、大塚氏が最初の学会で話を聴き、その「生物模倣技術」に取り組むきっかけとなったイルカの技術を応用することを決意する。イルカは水の生き物ということで、大塚氏が選んだ家電は洗濯機だった。

 「縦型洗濯機の底で回転するパルセータの表面に、イルカの表皮を波長対振幅の数値に合わせて溝筋をつけました。イルカの表皮はしわとしわの間に渦が形成され、ベアリングの役割を果たし、摩擦抵抗を低減するといわれてますが、その仕組みを応用した形です。さらに、これを挟むように四つ葉のクローバー形状にも溝筋を作りつけました。ドルフィンスキャンパルセータと名付けたこの仕組みによって、水の摩擦抵抗を低減。モーターの負荷も軽減しています。また、パルセータの裏側には、イルカの尾びれのような三日月翼を4方向X状に配置することで、裏側に入り込んだ水を大幅に掻き出すことで洗浄力を向上しています。これを『ドルフィンクキック水流』と名付けました」。

 これによってどう変わったか? 従来方式の洗濯機と比較し、洗浄力で15%アップ、洗浄ムラを30%ダウン、さらに水量を15%、洗剤量を50%、消費電力量や時間短縮を18%それぞれ低減したという。

 こうした成果により、大塚氏にとって「生物模倣技術」を取り入れることが、自信から確信へと変わったという。その後、サイクロン掃除機用のゴミ圧縮ブレードにネコ科動物のザラついた舌構造を応用したりするなど、大きな成果を出し続けた大塚氏。

 だが、失敗は発明の母とでもいうべきか。それまでの成功体験を応用したことで、とんでもない失敗作(プロトタイプ)を作ったこともある。

 「実は扇風機です。回転する羽根ということで、すでにエアコンの室外機用にアホウドリで成功していた自分は、それをそのまま扇風機に応用しようとしました。それで省エネ性が高く、回転効率の良いプロトタイプを作って意気揚々と商品開発の会議に持ち込んだところ、まさに総スカン状態。理由は明白でした。エアコンの室外機の風は人に直接当てるものではありません。その風は雑なもので、快適性とはほど遠い風を吹かせていたのです」(大塚氏)。

 この経験をもとに、まさに原点に戻ったという大塚氏。あらためて優しい風を生み出す蝶であるアサギマダラを見つけ、その羽根の仕組みを応用する。

 「アサギマダラって聞き慣れない蝶の名前だと思いますが、この蝶はあまり細かく羽ばたかずに、ひらひらと滑空するだけで、海を渡って2000キロも飛んでしまうといわれています。この飛翔能力のメカニズムは、例によって解明されていないのですが、この“あまり羽ばたかずひらひら”という飛翔方法を、圧力変動や風速ムラを生じないところから、快適性の高い扇風機のファンブレードに応用しました。翼1枚1枚を蝶の羽根の形に似せて、翼を中央で大きくねじって折り曲げ、翼の根元と外周部の角度をわざと食い違わせ、風にうねりを与えました。また、蝶の羽根特有の“中央のくびれ”を採用することで、7枚でありながら14枚分の圧力変動を生み出し、それを7枚連ねて回転させることで、風速ムラを完全除去、これによりムラのない滑らかな風を生み出すことに成功しました」。

 ここまで大自然に学べ! を合い言葉に「生物模倣技術」を応用し続ける大塚氏だが、1つ疑問が残る。なぜ「航空工学」で達成できずに、「生物模倣技術」の応用でこれらを達成できたのだろうか? それについて大塚氏はこう答える。

 「これは流体力学において、粘性をもつ流体のふるまいを特徴づけるレイノルズ数(下記)に関係があります。簡単に言えば、このレイノルズ数により、航空工学で導き出されるさまざまな数字は、航空機や宇宙ロケットなど大きな物体を動かすのに使われるものには有効でしたが、小さい家電などに応用する場合、あるレベルを超えると、その効果が出にくくなっています。逆に『生物模倣技術』で登場するような生物などの仕組みは、航空機などに比べて家電にサイズ感が近いため、効果が出やすかったということでしょう」。

 2014年1月現在、22品目をに17種類の動植物の技術を応用し、「生物模倣技術」製品を出し続けるシャープと大塚氏。だが、その勢いはまだまだ止まらない。この春、さらに新たな“隠し動物”を引っさげ、今までにないジャンルの製品を出す予定ということだ。

 「これからも“大自然に学べ”で、あっと驚く生き物の技術を応用して、どんどんいい製品を作っていければと思います。自然は無限の可能性を秘めてますから」(大塚氏)。

●レイノルズ数とは?

典型的な流速U、流体中の物体の大きさL、粘性率η、密度ρを用いると、無次元量の数R=ρUL/ηが導かれる。このRをレイノルズ数といい、Rを同じくする流体は物体周囲で同じような(相似関係にある)流れとなる。これをレイノルズの相似則、または流れの相似則といい、飛行機や自動車の小さな模型を用いた風洞実験などに利用されるものだという。
ITmedia LifeStyle 2月19日(水)18時14分配信




ドラマ「リーダーズ」の西国銀行=住友銀行

2014-03-31 12:11:14 | 日記
<終戦と財閥解体-大阪銀行> この時代、後々に残る痛恨事として、トヨタ自動車との関係がある。戦後の1950年、ドッジ・ラインに伴うデフレにより、トヨタ自動車は経営危機に陥った。トヨタの倒産は東海地方の経済に危機的状況をもたらすと判断した日本銀行名古屋支店長・高梨壮夫(のちに日銀理事)の斡旋により、実質的創業者の豊田喜一郎は社長を辞任し、帝国銀行(のちの三井銀行)・東海銀行を中心とする銀行団の緊急融資の条件として、販売強化のためにトヨタ自動車販売株式会社が設立される再建策が決定された。

しかし、当時、帝銀・東海と共に主力銀行の一つであった住友銀行(当時は大阪銀行)は、「機屋[2]に貸せても、鍛冶屋には貸せない」とにべもなく峻拒、貸出金の回収に走り取引を打ち切った。当時、トヨタとの取引銀行は都市銀行・地方銀行含め25行あったが、取引を断絶したのは住銀のみである[3]。この交渉過程での心労がたたったのか、豊田は1952年3月に急逝した。

その後、朝鮮戦争勃発による特需景気をきっかけに、トヨタ自動車は順調に経営再建を果たし日本を代表する製造業となった。再建策をまとめた高梨は後に日銀理事を経て、トヨタの強い推薦で日本自動車連盟初代会長に招かれた。また、帝銀の支援をきっかけにトヨタは三井グループ入りすることになる(もっとも、豊田家と三井家は経営危機以前より縁戚関係にあった)。反面、取引を断絶した住銀に対しては、石田退三や歴代のトヨタ社長が取引再開を許さず、加えて名古屋を中心とする東海経済界では「住銀はいざとなったら頼りにならない」との風評が広がり、同地で住銀が苦戦する遠因となった。

なおトヨタの経営危機から15年後の1965年、当時業界6位で経営危機に瀕していたプリンス自動車に対して、同社のメインバンクである住銀の頭取・堀田庄三は専務・小川邦彦をプリンス自動車社長に派遣し、トヨタへの救済合併と取引再開を画策した。しかし、当時のトヨタ会長・石田退三は「鍛冶屋の私どもでは不都合でしょうから」とこれを拒否している。15年前の経営危機の際、喜一郎が緊急融資に駆けずり回る中、「機屋に貸せても、鍛冶屋には貸せない」と言い放ったのが、他ならぬ当時の住銀名古屋支店長・小川であり、融資担当常務・堀田であった(プリンス自動車は1966年、日産自動車に吸収された)。

トヨタ自動車と住友銀行との取引再開が本格化するのは、三井銀行の後身さくら銀行との合併により三井住友銀行(存続会社は住銀)が発足してからである。

住友銀行Wikipedia 抜粋

ネットで「レンコンが花粉症に効く」説 医師がその真偽解説

2014-03-30 19:50:31 | 日記


 マスクをして花粉対策用眼鏡をかけて、それでも止まらないくしゃみ、鼻水、目のかゆみ。そんな花粉に悩めるかたに朗報が。実は今「花粉症に効く」と話題になっている食品がある。

 それは「れんこん」。ネット上には、「れんこんを食べて症状が緩和された」という意見が数多く寄せられ、なかには「まったく症状が出なくなった」という人もいるほど。

 食事療法に詳しい埼玉医科大学の和合治久教授は、れんこんの効果を次のように解説する。

「これまで、身近な食材で花粉症などのアレルギー反応を抑えられないか研究してきました。そして数ある野菜の中で、れんこんの効果が高いとわかったのです。

 620人を対象にした実験で、れんこんの成分をお茶やみそ汁に入れて摂取してもらったところ、3か月間でなんと81%の人に花粉症の症状の改善が見られました。

 れんこんには、アレルギーの原因物質『アレルゲン』に特異的に反応する『IgE抗体』を抑制する働きがある『タンニン』などのポリフェノールが多く含まれています。それに花粉症を抑える効果があるんです」

 1日40g、輪切りで3つほど食べ続けると、約2週間で効果が表れ始めるという。

 和合教授のおすすめは、ポタージュスープにして飲むこと。れんこんの成分を小腸からダイレクトに吸収できるという。

 さらに、れんこん単独ではなく、組み合わせて食べることで効果を高められるという。

「腸内環境が崩れていると、花粉症などのアレルギー反応が大きく出るといわれています。ヨーグルトなど、乳酸菌の含まれる食べ物と一緒に摂取すると、劇的な改善作用があると、最近の研究でわかってきたんです」(前出・和合教授)

 れんこんの効果は、食べるだけにとどまらない。なんと塗っても効くのだ。

「れんこんに含まれる粘り成分『ムチン』には、粘膜の炎症を抑える効果があります。れんこんを皮ごとすりおろしてガーゼなどで濾し、その搾り汁を綿棒などで鼻の内側に直接塗れば、鼻づまりの解消につながります」(前出・和合教授)


※女性セブン2014年4月10日号

装着型ロボット「HAL」を手がけるサイバーダイン

2014-03-27 22:23:01 | 日記
装着型ロボット「HAL」を手がけるサイバーダイン(茨城県つくば市、山海嘉之社長、029・855・3189)は26日、東京証券取引所マザーズに株式を上場した。同日東証で会見した山海社長は「2015年3月期には売上高が14年3月期比3―4倍の約14億―18億円になり、黒字化する見込みだ」と明らかにした。達成すれば、設立以来初の黒字となる。調達資金をHALの量産や試作品の製品化などに投じ、売り上げを拡大する。



 HALは体を動かそうとする時に発生する微弱な生体電位信号を皮膚表面で検出して、装着者の動作を支援する。国内では主に福祉用として、欧州では脳神経系疾患の患者向けにリハビリ治療を行う医療機器として展開している。

 国内でも現在、医療機器承認に向けた治験を進めており「年末、もしくは年明け頃の医薬品医療機器総合機構(PMDA)申請を視野に入れる」。米食品医薬品局(FDA)にも申請書類を提出し、日米欧で医療機器として事業展開できる体制を整える。また不整脈や動脈硬化、脱水症状を検知するようなデバイスの市場投入を目指す。

 公募価格3700円に対し初値は8510円。一時、ストップ高の1万10円を付けた。終値は9600円。



死海、死の淵に 生活用水くみ上げで水位低下、20年余で消滅か

2014-03-27 22:16:35 | 日記
世界中から観光客が集まる中東の塩水湖、死海の水位が年々低下している。このままでは2050年までに完全に干上がってしまうとの指摘もあり、死海を消滅から救おうと、紅海から水を運び込む巨大プロジェクトも動き始めた。(ヨルダン川西岸地区カリア 黒瀬悦成、写真も)

 エルサレムから東へ車で約1時間。ヨルダン渓谷にある死海の北端に位置するヨルダン川西岸地区のカリア湖水浴場は、海水よりも高い塩分濃度のために体が水面に浮くさまを楽しむ欧米などからの観光客らでにぎわっていた。彼らが不思議がったのが、水辺から何十メートルも離れた丘に柱の高さ5メートル以上の赤さびた桟橋が放置されていたことだ。

 「昔は、桟橋の所まで湖水があった。水が減って陸地がどんどん広がり、湖までの距離も遠くなる一方だ」。近くの土産物店で働く地元男性が嘆いた。

 イスラエル地質調査所によると、死海の水位はこの40年間、平均で1年に1メートルのペースで低下。2004年は海抜マイナス417メートルだったのが、14年には同428メートルとなっている。


最大の原因は、沿岸のイスラエルやヨルダンが1960年代以降、死海に通じるヨルダン川およびその支流から、飲料水や工業用水、農業用水として大量の水をくみ上げているためだ。

 死海は、ヨルダン川などから流れ込む水と、砂漠性の気候のために大気中に蒸発する湖水が絶妙なバランスを保ち、水位を安定させてきた。それがヨルダン川などからの大量取水のせいで湖水は蒸発する一方となり、年間約7億立方メートルの水が消失しているという。

 また、水位低下で地表に露出した、塩を多く含む沿岸部の地層が地下水に浸食され、地面が突然陥没する「シンクホール」と呼ばれる現象が湖近くのリゾート地で続発しており、このままでは観光産業も壊滅的打撃を受けかねない。

 イスラエル地質調査所のナダブ・レンスキー水天然資源局長は「死海の深さは290メートルあり、ただちに水がなくなることはない」と語るが、ヨルダンの環境団体は、「沿岸国の水需要は増え続けており、2050年には湖が消える恐れがある」と警鐘を鳴らす。

事態を受け、イスラエルとヨルダン両政府、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府は昨年12月、死海から約200キロ離れた紅海沿岸から海水をくみ上げ、ヨルダン領内に敷設するパイプラインを通じて死海に流し込む、約5億ドル規模の建設プロジェクトの合意文書に署名した。

 世界銀行が支援するこの計画は、「パレスチナ問題などで対立する3者の信頼醸成にも貢献する」(イスラエル政府関係者)との期待もある。だが、蒸発する湖水の量に見合う塩水の供給は困難とみられるほか、死海の成分を変えてしまうなど環境への影響も懸念され、抜本的な解決策は見つかっていないのが実情だ。