東京工業大学の三上幸一教授らの研究グループは、医薬品材料として利用が期待される化合物「オキセテン」について、人体への毒性がないなど特定の性質を持つ構造のものだけを作り分ける不斉合成(用語参照)に成功した。
合成にはパラジウム触媒を使った。オキセテンは単体で取り出すことが難しく、不安定な化合物として知られる。効率よく合成できる触媒反応を用いてオキセテンの不斉合成に成功したのは初めて。
エイズ治療薬や抗がん剤など、新しい医薬品の開発や既存の医薬品の効率的な合成技術の開発につながる。
オキセテンは炭素原子三つと酸素原子一つが環状につながった構造を持つ化合物の総称。環状構造を持っていると、そこへさまざまな物質を付けて化合物を作れる。
これまでもオキセテンの合成が試みられてきたが、合成できても室温で置いておくと数時間で環状構造が壊れてしまうなど、不安定だった。オキセテンを単体で取り出すことも難しかった。
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