団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

デタラメ委員長がまたやった。

2011-04-30 22:15:14 | 日記

審議2時間で「妥当」判断 原子力安全委、学校基準で

 福島第1原発事故で、文部科学省から小中学校などの屋外活動を制限する基準値への助言を求められた国の原子力安全委員会(班目春樹委員長)が、正式な委員会を招集せず、助言要請から約2時間後には「妥当だ」との助言をまとめ、回答していたことが30日、関係者の話で分かった

 安全委事務局は「臨機応変の対応だった」と反論するが、正式な委員会が開かれなかったため議事録も作られておらず、助言までに至る議論の内容が確認できないことも判明。審議の検証ができなくなった異例の事態に「国の政策を追認しただけだ」と批判の声が上がっている。

 国は、目安を一般人の年間許容限度の20倍という高さの年間20ミリシーベルトとした根拠について国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に準拠したとしているが、子どもに高い放射線量の被ばくを認めることになるため、内外の専門家から批判が続出。29日、内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任する一因ともなった。

 関係者によると、文科省などが「年間の積算放射線量が20ミリシーベルトに達するかどうかを目安とし、毎時3・8マイクロシーベルトを学校での屋外活動の基準とする」との原案への助言を安全委に求めたのは19日午後2時ごろ。安全委側は正式な委員会を開かず「委員会内部で検討し」(関係者)、午後4時ごろに「妥当だ」と回答した。だが、議事録が残っていないため、安全委内部でどのような議論が行われたかは明らかではないという。

 安全委事務局は「9日ごろに文科省から相談したいとの依頼があり、委員らが複数回議論、その都度結果を文科省に口頭で連絡していた。正式な会議は開かなかったが、意思統一ができれば助言はできる」とコメント。「(検討時間の)妥当性については発言する立場にない」としている。

 基準の撤回を求めている環境保護団体、FoE(地球の友)ジャパンの満田夏花さんは「独立した規制機関であるはずの安全委が、ほとんど議論もせずに国の政策を追認したことは明らかだ」と指摘。「子どもの健康を守るという重要な責務も、社会への説明責任もまったく果たしていない」と批判している。

 

政権内部の混乱露呈=参与辞任、広がる波紋

 小佐古敏荘内閣官房参与が福島第1原発事故への政府の対応を批判して辞任したことは、首相にとって大きな痛手となった。首相が自ら任命したアドバイザーを十分に活用できず、政権内部の混乱も露呈した。野党からは、首相の「指導力の欠如」に批判が上がった。
 「決して場当たり的な対応はしていない」。首相は30日の衆院予算委員会で、小佐古氏が29日に辞任を表明した際、政府の対応を「場当たり的」と断じたことについてただされると、こう反論した。
 東日本大震災後、菅政権は対策本部や会議などを次々に設置、役割や性格が似通った組織が乱立状態となっている。首相も、東京電力や経済産業省原子力安全・保安院などへの不信感から、小佐古氏を含め原子力、放射線などの専門家6人を内閣官房参与に任命した。
 もともと、首相には「会議を開くばかりで、原発事故への対応は後手に回っている」との批判が絶えなかった。一時期とはいえ首相と身近に接した小佐古氏が「官邸はその場限りの対応を行い、事態収束を遅らせているように見える」と抗議の辞任に及んだことは、首相への厳しい見方が間違っていないことを裏付けた形だ。
 原発事故で収束の兆しが見えず、先行きへの不安が払拭(ふっしょく)されない中での小佐古氏の辞任。民主党の中堅議員は30日、「専門分野の権威だけに、政権に与える影響は小さくない」と語った。
 一方、自民党の総裁は同日の記者会見で「(小佐古氏の辞任は)首相の指導力の問題点を大きく浮き彫りにした」と指摘。公明党の幹事長も「政府の対応に大きな問題のあったことの象徴だ」と追随した。(2011/04/30-21:05)


福島第1原発事故は二重の人災だった

2011-04-29 14:07:02 | 日記

福島第1原子力発電所の事故で頻発したのが「想定外」という言葉だ。だが、国会の場では5年以上前から、地震や津波で電源が供給できなくなり、最悪の場合は炉心溶融にまでつながるリスクが指摘されていた。

   なぜ、事前の警告が生かされないまま、事故に至ってしまったのか。今後、原発は全廃すべきなのか。京都大学工学部原子核工学科の出身で、国会で原発問題を積極的に取り上げてきた日本共産党の吉井英勝衆院議員(近畿比例)に聞いた。

――東日本大震災は「地震、津波、原発」の「三重災害」だと言われています。そのうち、原発事故は「完全に人災」だと主張しています。その理由を聞かせください。

吉井 地震と津波は自然現象ですが、原発がどうなるかについては、2004年のスマトラ沖地震後の大津波を踏まえて、05~06年頃から、問題意識を持っていました。

制御棒が地震で傷むと全部が中に入りきれない可能性

原発のリスクを国会で繰り返し指摘してきた吉井英勝衆院議員
原発のリスクを国会で繰り返し指摘してきた吉井英勝衆院議員

――地震と津波が起こったら、どんな点がリスクだと考えていたのでしょうか。

吉井 原発は異常があると、制御棒が炉心の中に入って原子炉が止まるという形になっています。制御棒の中に地震で傷んだものがあると全部が中に入りきれず、1本ぐらいは8~9割入ったところで止まっているかも知れません。そうすると、部分的に臨界状態が残っている可能性があります。
   仮にこの可能性を除外して、100%制御棒が入りきって止まったとしても、核燃料棒からは熱が出続けています。その熱を、機器冷却系という系統で冷却しつづけないことには、原発の圧力容器の中の温度も圧力も高くなりすぎる。これを避けるためには、確実に機器冷却系を生かして、冷やし続けないといけない。この機能が失われると、大変なことになります。

――国会でどのような点を追及したのでしょうか。

吉井 日本は地震国なので、最初に大地震について問題にしました。新潟の柏崎刈羽原発も2007年の新潟県中越沖地震で大変な被害を受けています。地震発生時に、機器が健全な形で存在しうるかどうかという点が、大きい。しかし同時に、仮に健全で、(原子炉の)停止がうまくいったとしても、冷却しないといけない。そのためには、冷却系のポンプが働かないといけない。ポンプが動くためには、誰がどう考えても電源が必要です。

引き波が来ると海面が取水口より低くなる危険

吉井 過去の地震では、鉄塔が倒壊しました。今回の地震でも倒壊しています。これは、原発を冷やす外部電源が使えないということ。以前から問題意識を持っていました。
   外部電源が使えなくなった際には、内部電源と呼ばれるディーゼル発電機が作動することになっているのですが、これも破損のリスクがあります。通常の検査でも、油漏れなどの問題が結構あります。ディーゼル発電機がダメになったり、バッテリーがショートしたり。回復したとしてもバッテリーは7~8時間しかもちません。このように、内部電源も外部電源も損なわれる可能性を、ずっと指摘してきたんです。
   10年5月の衆院経済産業委員会では、内部電源も外部電源も失われた時に機器冷却系が働かなくなり、まさに今回起こったような炉心溶融が起こるリスクを指摘していました。

――津波についてはいかがでしょうか。

吉井 1896年の明治三陸地震では、「押し波」が38メートルにも達しました。津波があると、かなり大きな押し波が来る。これは誰でも知っていることです。意外と知られていないのが「引き波」です。1950年のチリ津波の時には、24時間後に、最初は引き波、それから押し波が来ました。引き波では、沖合300メートルぐらいまで陸地に変わってしまうことがあります。
   原発では、冷却のための海水を取り入れる取水口を水面から4~6メートル下に設置しているのですが、引き波が来ると海面が取水口より低くなってしまう。いくらポンプを回しても、海水を取り入れることができず、冷やすことができなくなります。
   この押し波と引き波の問題については、05年に質問主意書を出しましたし、06年3月には衆院予算委員会でも取り上げています。「何か起こった時の対策を取らないと大変だ」と、ずっと訴えてきたのですが、政府は「いやぁ、日本の原発は大丈夫なんです」一点張りだ。

「想定外」という言葉を使う人は、原発の素人

――その結果、今回のような事故につながってしまった。

吉井 冷却できず温度がどんどん上がり、液面が下がる。そして炉心が露出する。冷やされずに溶けてしまう。いわゆる「空だき状態」で、「メルトダウン」「バーンアウト」といった言い方もします。そういう状況になるリスクを指摘してきたんです。でも、10年5月時点での政府側の答弁は「論理的にはあり得るが、現実的にはない」というものでした。
   これまで、「原発は大丈夫」だとされていた根拠は、「そもそも日本の原発はバックアップシステムを持っているんだ」という点です。「多重防護、深層防護で、何重にも安全装置を置いています」というのが売り文句だった。仮に外部・内部ともに電源が使えなくても、バッテリーを使って7~8時間で立ち直れるという発想でした。「同じ原発の敷地内に、電源装置を複数設けてあるので、1か所が使えなくなっても他から融通するから大丈夫」という説明もされていました。ところが、今回の津波では、これらがみんなダメになってしまった。しかし、こんなことは分かりきった話で、私はそれを指摘していたに過ぎません。

――「想定外」という言葉が多く登場しているような印象を受けます。

吉井 「想定外」という言葉を使う人は、原発の素人ばかりです。プロで「想定外」という人はいません。07年に柏崎刈羽原発が地震で被害を受けた時も、東京電力の人が「想定外」という言葉を使いました。これを受けて、日本共産党の雑誌「前衛」07年11月号に「『想定外』という言葉は許されない」と寄稿したのですが、同じことが繰り返されてしまいました。私は「こういうことがあってはいけない」ということで、ずっと取り組んできたのですが、残念ながら、こんな事態になってしまいました。

11日22時ぐらいからきわめて厳しい状況になるのは分かっていたはず

――政府側は、これまでずっと「安全です」と言い続けてきた訳ですが、質問された内容と答弁の内容が、必ずしもかみ合っていないという印象を受けます。なぜだと思いますか。「質問された内容を分かっていない」のでしょうか。それとも「分かっているが、問題と向き合いたくない」のでしょうか。

吉井 元々原子力工学なりを学んで、原子力を分かった上で官僚や政治家になった人と、そうでない人の2種類があります。政治家の場合は後者が大半なのです。質問する側も、良く分からずに質問しています。そうなると、答弁する側も困らない。私が質問に立つ時、答弁する人が文系のエリート官僚の人が多い。答弁する人も良く分かっていないので、作文された文章を読んでいるだけです。ちょっと突っ込むと、すぐ答えられなくなってしまう。

――では、作文を書く人は、どう考えているのでしょうか。

吉井 2種類あると思っています。ひとつが、「分かっている」人の中でも、「本当に分かっている人」と、「かなり分かっているが、『原発利益共同体』に与(くみ)する人」。前者のタイプは、「本当のことを分かっていても、それを答弁書に書くと飛ばされる」から書けない。後者は、「やがて官僚(としてのキャリア)が終わった時には天下りできる」ということで、原発利益共同体の一員としての発想で動いてしまう。
   そうすると、後者は、「日本の原発は安全」「他国と比べても水質管理が優れている」「事故は起こりえない」「万が一事故が起こっても、防護装置が何重にもある」。こういった作文を続けるうちに、「原発安全教」の信者みたいになってしまったんですね。かつてのオウム真理教の信者と同じで、すっかり信じ込んでいる人も多いですね。

――4月11日に都内で開かれたシンポジウムでは、「今回の原発事故は『二重の人災』」とも言っていました。一つ目は、「事前の警告にもかかわらず、対策が行われなかった」という点だと思うのですが、もう一つは何でしょうか。

吉井 3月11日14時46分に地震が起きて、1時間後には全交流電源が喪失という報告が東電から政府に来ています。ディーゼル発電機が破損したことも分かった。バッテリーが7~8時間しかもたないことも分かった。そう考えると、3月11日の22時ぐらいを境にして、きわめて厳しい状況になるということが分かっていた訳です。
   22時までに自衛隊のヘリコプターを借りて大型のバッテリーを現地に持って行けるかどうか検討したようですが、これがダメだったようで、東北電力から比較的小さな電源車を持ってきたものの、接続がうまくいかないという問題がありました。色々な問題があって、22時を過ぎてしまった。
   そうなると、冷却機能が働かない訳ですから、どんどん温度が上がって沸騰状態になり、蒸気圧が高まっていく。内圧が高まり、液面が下がる。当然、炉心が出てくる。非常に厳しい時間帯だということは、プロはみんな分かっていました。
   4月14日の衆院消費者問題特別委員会に、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長に来てもらって質問したら、「厳しい事態になると思ったのは、その日の真夜中だったと思います」などと答弁しています。「『極めて危険な状態だ』と総理に言ったのは何時だ」と聞くと、「(午後)8時か9時頃から、少なくとも海江田経産大臣にお伝えしています。深夜1時~2時には、総理を含めてご理解いただいている」と答えました。

「ベント」と水投入早くすべきだった

吉井 ですから、進言する時期は遅すぎたにせよ、班目委員長から「このままいけば、炉心溶融になる」と聞かされて、菅首相は「厳しい」という認識を持ったと思います。

――では、炉心溶融にならないためには、何をすべきだったのでしょうか。

吉井 大きく二つあります。ひとつが、高くなりすぎた圧力を、原子炉内部の水蒸気を抜いて下げること。いわゆる「ベント」です。もうひとつが、真水を投入することです。緊急炉心冷却装置(ECCS)は働かなかったようですが、他のラインがいくつかあるので、まず真水を入れる。真水がなければ海水をぶちこんででも、とにかく冷やす。炉心を絶対表に出さず、時間をかけて温度を下げ続ける。これしかありません。
   この一番厳しい判断を東電にやらせないといけないし、東電がやらなければ、命令してでもやらせないといけない。後に命令していますが、本当は、22時までにここまでやらなければなりませんでした。
   班目委員長が「厳しい事態」だと言った20時~21時からの10数時間、本当に危ない状態が続きました。つまり、翌3月12日朝にかけてです。そのときに菅首相は朝の6時から対策本部を空けて、班目委員長を連れて原発の視察に行ってしまいました。そのときは、本当は、東京電力に「ベントをやれ」と言わないといけなかった。
   その一番厳しい時期にいなかったというのは、やはり「もう一つの人災」ですね。予防措置をとらなかった人災と、津波をかぶって深刻な事態になった時に打つべき手を打たなかった人災。この2つだと思います。

―――現時点で東電が行っている対策は、どのように評価していますか。特に「低レベル」の放射性物質を含んだ汚染水を投棄していることは、やむを得ないことなのでしょうか。

吉井 冷やすには、今の方法しかありません。炉心がまだ出ているので、炉心が完全に浸かるようにするのは基本。汚染水については、「低レベル汚染水」と言っていますが、本当に低レベルなのか分からないんです。(トレンチに流れている高濃度汚染水に比べて)「相対的に低い」に過ぎないのはもちろんですし、放射性ヨウ素の場合は半減期が8日で、時間とともに線量が落ちていくのは当たり前。しかし、ストロンチウムやセシウムといった核分裂によって生じた、半減期が長いものを流されたら大変です。
   そもそも、各種情報をきちんと公開することが第一です。第二に、どんなことがあっても、発電所内にプール状のものをつくるなどして、敷地内にとどめないといけません。仮に「低レベル」だとされている汚染水だとしても、半減期が長く、線量の高いストロンチウムやセシウムが海洋投棄されれば、ロンドン条約や原子炉規制法違反です。環境破壊で国際的にも大問題になります。それはやりきらないといけない。あとは時間との勝負ですね。早く原子炉を100度以下にして、常温状態に持って行くことに全力を注いで欲しいと思います。

   ―――今後の電力供給のあり方については、どのように考えていますか。原発は、全廃すべきなのでしょうか。それとも、原発の割合をある程度残して、火力・水力・太陽光などを組み合わせる「ベストミックス」の考え方を追求すべきなのでしょうか。

間伐材使った木質ペレットで冷暖房は動かせる

吉井 太陽が地球にもたらすエネルギーは、年間で4000ゼータジュールを超えるんです。今地球にある埋蔵ウランを数十年~100年かけて全部燃やしたとしても、得られるエネルギーは8ゼータジュール程度です。エネルギー量が全然違います。放射能汚染や環境に厳しい問題を持っている原発に頼るよりは、再生可能エネルギーの活用で、原発に頼らない方向に転換すべきだと考えています。
   高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)関係の事業費を全部足したら、5兆円ぐらいになります。これを全部再生可能エネルギーに投じていれば、全然違う形になっていたと思います。普及すればコストも下がる。やはり、そこに行くべきだと思います。
   分かりやすい例で言うと、1000平方キロメートルを太陽光発電所に変えた場合、メンテナンスのスペースを2割取ったとしても、年間1000億キロワット時の電力が生まれます。
   柏崎刈羽原発を1号機から7号機まで全部動かして作れる電力が、年間500億キロワット時。さらに、この表現を好まない方もいますが、1000平方キロメートルという面積は、在日米軍基地の面積とほぼ同じです。
   「原発はすごい、すごい」とみんな思っていますが、実はそう思わされているだけで、柏崎刈羽原発の2倍の電力が、在日米軍基地の面積でできる。平地に建設した場合は基礎工事などで費用がかさみますが、屋根に取り付けるのであれば、そうでもない。駐車場であれショッピングセンターであれ、何でもいいんです。日本の年間発電量が9000億キロワット時。9分の1は、これでまかなえるんです。原発に頼らずにやっていける道が具体的にイメージできるのではないでしょうか。
   太陽光以外にも、風力発電や、小水力発電、自然エネルギーには地熱発電もあります。間伐材でペレット燃料を作ることもできます。中東から油を買わなくても、木質ペレットで冷暖房は動かせます。農家の温室栽培も、ペレットボイラーを作ればやっていける。それが新しい産業を生み出し、地域経済をよみがえらせる力にもなります。エネルギーと環境を一体のものとして考えていくのが、これからの道だと思います。

―――「原発をなくしたら、火力発電を増やさないと電力需要をまかなえない。これでいいのか」という指摘もあります。

吉井 火力については、二酸化炭素の問題があります。やはり、再生可能エネルギーへの転換を図っていかないと、温暖化対策ができません。ドイツや北欧諸国が目指しているのが、まさにそれです。そのためには、大きなバッテリーや技術の開発を進める必要があります。要は「地産地消」のエネルギーですね。これで、電源や電圧を安定した状態で供給することができます。


吉井英勝さん プロフィール
よしい・ひでかつ 衆院議員、日本共産党環境・エネルギー・原発問題委員長。1942年生まれ。京大工学部原子核工学科卒。堺市議、大阪府議、参院議員を経て、90年衆院初当選。現在7期目。原発問題の専門家としても知られている。



ソニー、賠償2兆円超える可能性も 次期トップ争いに大きな影響

2011-04-28 22:57:06 | 日記

ソニーのゲーム機「プレイステーション3」(PS3)などに向けて展開するネットワークが不正侵入とみられるサイバー攻撃を受け、世界で最大7700万人分の個人情報が流出した問題は、同社の将来に大きな暗雲となって広がりそうだ。「史上最悪の情報流出」(ウォールストリート・ジャーナル紙)の代償は2兆円を超えるとの指摘もある。経営責任への追及も避けられず、同社は未曾有の危機に直面している。(夕刊フジ

 流出した情報は氏名、住所、メールアドレス、誕生日、パスワードなど。同社ではクレジットカードの番号や有効期限日が漏れた可能性も「排除できない」とし、クレジットカードの使用履歴について「定期的に確認してほしい」などと注意を呼びかけている。

 日本の登録者は約900万人で、日本企業の情報流出としては過去最大。賠償額も巨額になりそうだ。

 IT犯罪に詳しい紀藤正樹弁護士は、「損害賠償額は、漏れ出た情報の質によって変わる。住所や電話番号、カードナンバーといった基本情報だけなら1人あたり5000円から1万円程度だが、漏洩した内容に個人の名誉にかかわるような情報が含まれていれば、金額は跳ね上がる」と説明。「日本の美容関連企業のケースでは、1人あたり3万円の支払いを命じられた。これをソニーに当てはめれば2兆円を超える賠償がのしかかる可能性もある」と指摘する。

 被害者の中には米国人も多い。“訴訟国家”米国での訴えはさらに巨額になりそうな気がするが、「個人の情報漏洩に関する損害賠償請求は、米国ではあまり行われていない」と紀藤氏。ただ、仮に賠償を求められなくても、謝罪を含めた事後処理費用は、単純計算で登録者1人あたり「5000円は下らない」(IT関係者)。

 この金額をもとにした計算でも4000億円近くが“持ち出し”になる。

 また、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「オンラインの停止で、(利用者が)仮想通貨を使用したオンラインゲームのデータセーブに失敗した場合、損害を請求される恐れもある」といい、別の賠償を起こされる可能性もあるという。

 事業への影響も計り知れない。ゲーム機やテレビ、携帯端末などのハードをネットでつなぎ、映画や音楽、ゲームなどのコンテンツを配信するビジネスは、ソニーがいま最も力を入れている戦略だ。

 このビジネスを主導し、次期社長候補の筆頭に上りつめたのが平井一夫副社長(50)。同様の手法で先行する米アップルへの対抗策として、ネット戦略を拡大させようとした矢先に個人情報流出が起きた。消費者の信頼は大きく失墜し、事業プランの抜本的な見直しを迫られる。

さらに深刻なのは情報開示に対する同社の「姿勢」。同社はプレイステーション・ネットワークを21日から停止していたが、その理由を「システム障害」とだけ説明していた。27日になって情報流出を発表したのも、「26日に、アップルのiPad(アイパッド)に対抗するタブレット端末の新商品発表があった。その発表が終わるのを待っていたのではないか」(ITジャーナリスト)との声がある。ユーザーの安全より自社の都合を優先した、との見方だ。

 いずれにしても、「事態の収束が長引けば次期トップ争いに大きな影響が出てくる」(同)。ソニーはこの危機をどう乗り切るのか。


原発賠償、津波以前の地震で壊れていたことを隠している東電。

2011-04-28 22:35:18 | 日記

原発賠償、免責あり得る=報酬半減は「大変厳しい」―東電社長

時事通信 4月28日(木)16時41分配信

 東京電力の清水正孝社長は28日、福島第1原発事故の被害補償に関し、巨大災害の場合は電力会社の責任を免除する原子力損害賠償法の規定について「私どもとして、そういう理解があり得ると考えている」と述べ、東日本大震災による大津波が免責理由に該当する可能性があるとの認識を表明した。都内の本社で記者団に語った。

 また、役員報酬の50%カットを決めた東電の姿勢を海江田万里経済産業相が生ぬるいと批判したことに対し、「大変厳しい(リストラ策)と考えている」と反論。ただ、今後の対応は「未定」として、さらなる減額などに含みを持たせた。 

 海江田万里経済産業相は28日午前の閣議後の記者会見で、福島第一原発事故に伴う賠償金などを捻出するために東京電力が行った役員報酬の半減について、「高額報酬の方々は、一律50%カットでは足りないのではないか」と述べ、首脳クラスの報酬削減が不足しているとの認識を示した。

 さらに、無報酬にすべきではないかという質問に対しては、「今の世論、国民感情もお考えいただきたい」と述べ、首脳クラスは無報酬にすべきだとの考えもにじませた。

 一方、東京電力の清水正孝社長は同日夕、記者団に「(50%カットは)私どもは、たいへん厳しい水準と考えている」と述べた。さらなる報酬削減については「未定」とした。

東電免責、考えられぬ=官房長官

時事通信 4月27日(水)12時48分配信

 枝野幸男官房長官は27日午前の記者会見で、福島第1原発事故に伴う東京電力の賠償責任について「最終的に裁判所が判断するが、(原子力損害賠償法の)免責条項が適用されるとは考えられない」と改めて強調した。
 経済界などに東電の賠償額に上限を設けるよう求める声があることに関しては、「上限があるから、これ以上補償しないということは許されない」と否定。一方で「国と東電の負担割合がどうなるかはいずれ議論がある」と指摘した。

東京電力救済案の本当の意図

2011-04-27 19:43:42 | 日記

被害者からカネを取る前に

 マイケル・サンデル教授のベストセラー『これからの「正義」の話をしよう』の冒頭には、ハリケーン・チャーリーで被災したオーランドで、生活に必要な物資やサービスに高い値を付けて売ることが、倫理的に許されるか否か、という印象的なケースがあった。この問題とは性質が異なるが、福島第一原発の事故をめぐる東京電力の問題に関しても、サンデル教授の意見を聞いてみたいところだが、教授がくれたアドバイスは、「私のアドバイスは、思慮深く、丁寧な議論をすること」というあっさりしたものだった(asahi.comより)。

 この問題については、日本国民が自分たちで考えなければならないようだ。

 数日前に、福島第一原発事故に伴う東京電力の賠償に関わるスキームの政府案が報道された。賠償の範囲も金額も発表されないうちに、支援の仕組みが発表される順番自体が相当に不思議だが、その内容も随分奇妙なものだった。

 賠償を支援する新組織(本稿では仮に「原発賠償機構」と呼ぶ)を作って、ここに政府から交付国債、他の電力会社からは将来の原発事故に備える名目での保険料的な負担金などのお金を集め、さらに政府保証付きで金融機関からの融資も行う形とするようだ。要は、東電を倒産させない仕組みだ。

 事故の被害者に対する賠償は東京電力が行う。この賠償金の最終的な負担者が誰になるのかは、報道されている仕組み図を睨んでいても分かりづらいが、東京電力は、この機構の負担金を、将来の収益から原発賠償機構が支援の際に保有する優先株の配当などの形で返済することとなるようだ。これでは足りない損失が発生した場合、東電も含む電力会社が納める保険料が充当され、さらに足りない場合、あるいは政府が贈与を決意した場合に納税者の負担になる。

 本件の利害関係は非常に錯綜しているが、たとえば首都圏の住民(東電管内の電力ユーザー)から見ると、停電のリスクや節電運動に不自由な思いをし、食品や水に不安を覚えるような被害を東電から受けながら、結局、将来の電力料金を通じた負担で、自分たちが東電の不始末の経済的尻ぬぐいをさせられることを意味するのではないか。

 東北地方沿岸部に多くいらっしゃる、大きな被害を受けた「被災者」の方々のことを思うとことさらに口にはしにくいが、不便や、不安によるストレス、食品や水のコスト高などを通じて、首都圏住民は今回の件の「被害者」でもある。しかし、地域独占企業である東京電力を官民で救済する今回のスキームでは、この被害者が実質的なコスト負担者になる可能性が大きい。

 一方で、首都圏住民は自分たちの電力消費のために、危険な施設を福島県等の他地域に押しつけていた面もあり、形が電力料金であれ税金であれ、最終的に賠償コストの一部を負担することになっても文句を言えない精神的負い目はあるかも知れない。

 しかし、負担には程度(金額)と順番の問題がある。政府が決めた負担方法に簡単に納得する前に、議論を深めておくことについては、サンデル先生も賛成して下さるだろう。

負担の順序を考える

 そもそも、原発事故における東京電力の賠償責任範囲が、同社の負担能力を超えるものになるのかどうかについて議論があって然るべきだ。

 とはいえ、賠償額の見積もりは難しい。原因は「想定外の天災」であって同社の責任範囲は限定的だと考える向き(今や少数かも知れないが)から、直接の被災者や地域への補償だけでなく風評被害や電力制約によるビジネス的損失まで含めると東電の賠償責任範囲は数十兆円に及ぶ可能性もあるという向きまで、考え方には幅があるだろう。但し、被害は現在も拡大中で、損害額自体が流動的だ。

 しかし、政府が現時点で東電救済のスキームを発表するということの状況的な意味を考えると、政府として、損害の範囲が東電の負担能力を超える公算が大きいという認識を持っていることと、政府の意思としては、賠償の責任を東電に負わせようとしているということの二点は「かなり確からしい」と判断することが妥当ではないか。そして、認可事業である東京電力が、訴訟などで政府と対立するということは、理屈上あり得ないことではないが、現実的にはないだろう。

 当面、賠償額は東京電力の負担力を超える公算が大きいという前提で考えよう。

 仮に、電力会社ではないごく普通の事業会社(仮にA社)があって、このA社が何らかの不始末をしでかして、賠償額が巨額になった場合に何が起こるか。

直接的には、A社が持っている現金や換金できる資産から賠償金が支払われる。この部分は、先ず株主が負担するが自己資本の範囲を超えると、次にこの銀行にお金を貸している形の金融機関(銀行など)、社債を発行していれば社債の保有者が負担せざるを得ない。金融機関や社債保有者が負担する段階の前の、おそらく債務超過がはっきりしたあたりで、会社更生法の申請による会社の倒産など何らかの法的整理が行われるのが普通だ。この段階では、金融機関と社債の保有者は被災者と並ぶ「債権者」として賠償金の負担を分担することになるはずだ。どのくらいの額になるかはそうなってみないと分からないが、負担の順番はそうなる。

 尚、東京電力の場合、5兆円近い社債を発行しており、東電債がどうなるかは資本市場にも大きな影響を与えるが、社債は一般担保付きなので、金融機関よりは立場が強い(負担順序が後になる)ものと推察される。

 A社のケースに戻るが、A社がもたらした損害が莫大で、A社の全ての資産を使っても賠償しきれなかった場合、仮に、A社の業務が何らかの行政的な監督下にあった場合、被害者は国の監督責任を問うて国を訴える可能性がある。国を相手の訴訟はなかなか勝ちにくいが、国に責任があると認定された場合、国は残りの賠償額を負担することになり、これはつまり全国の納税者一般の負担ということになる。

 今回の東電のケースを考えると、仮に、東電が賠償しきれない要賠償額が生じた場合、国の不手際や管理責任が認定される公算は小さくないだろう。場合によっては、そもそもの賠償責任者が東電と並んで国という順序になる可能性もなしとない。

 東京電力が「普通の会社」だと考えると、賠償の実質的な負担者は、一に株主、二に金融機関、三に社債保有者、四に国、といった順序になろうか。

 しかし、ここで面倒なのは、東京電力の場合、地域のインフラとして不可欠な事業を担う独占会社なので、会社が存続すれば、電力料金を上げるという選択肢がある(行政も認めるだろう)。

 こうなると、金融機関や社債保有者はおろか、株主以前の実質的な賠償負担者が東電の顧客になってしまう可能性すらある。

東電の曖昧な存続の意味は?

 東京電力が会社として現在の延長線上で減資も上場廃止もせずに存続すると、株主はしばらく損をしているが、やがて東電が賠償負担から解放された時には利益が出るようになるだろうし、配当も復活するだろう。時間を掛けると損失を相当程度回復できる可能性がある。

 では、金融機関や社債の保有者の責任はどう考えるべきか。さすがに、彼らは、原発の事故に対して管理上の責任を負う立場ではなかろう。しかし、彼らは、彼らのリスク判断で原発事業をも営む東京電力に対して資金を出して、ローンの金利なり、社債のクーポンなりを受け取って「儲けて」いた。たとえば東電債の利回りは、同様のキャッシュフローの国債の利回りよりも少し高かった。これはリスク負担の対価のはずだ。銀行の融資にも同様の性格がある。彼らは、ビジネスとして東電に融資していたはずだ。お金を貸した会社が倒産した場合の損失を彼らが負担することには、十分な正当性がある。金融界が顧客に対してよく使う言葉で表現すると、彼らの「自己責任」だ。

 ところで、原発賠償機構に一種の保険料のような形で資金を拠出する他地域の電力会社の立場はどうなるか。事故が起きてから保険を作るというのは、保険の基本を外れる暴挙であり、他社に本当に負担が生じるなら、少なくとも多電力会社の株主は怒らなければならないし、経営者も株主の手前、易々とこのスキームに乗ることはできない。最悪の場合、株主代表訴訟の被告になりかねない。

 しかし、事実上国策による資金拠出であり、また、当面それが何らかの費用になるとしても、現在の電力行政と電力業界の業界地図を守るためのコストなら、十分負担する意味があると他電力会社の経営者、ひいては株主が思っても不思議ではない。加えて、時間はかかるとしても、東京電力が原発賠償機構に実質的な返済を行う形になるとすれば、今回のスキームに於ける他電力会社の実質的な負担は大きなものにはならない。

それでは、「東電の顧客」と「国(つまり納税者一般)」のどちらが先に賠償責任を負うべきか。この順番決定は、なかなか難しい。

 先に述べたように、首都圏住民は、事故が起こる前の原発の受益者でもあった。しかし、東電のユーザーが東電の経営や原発の運営について監視する権限を持っていた訳ではない。原発事故に連なる管理の責任に応じて賠償を負担すべきだと考えると、国の責任が先に来るのではないか(尚、原発事故に関して東電と国は一種の保険契約を結んでいるが、この部分の最大2400億円程度の支出は別途先に行われる公算が大きい)。

 そもそも総資産(純資産や時価総額ではない)が10兆円以上ある東京電力の賠償能力を超える負担が発生すること自体が「大変なこと」だが、原発事故の被害者に安心してもらうためにも、この問題については、考え得る限り先の可能性まで考えておかなければならない。

『原発賠償機構』の意味

 最終的には、個々の問題に対する責任の認定や、契約関係・法的権利などが絡むが、大まかな原則論として、賠償の負担者の順番は、東京電力の株主→東電に融資している金融機関→東電の社債保有者→国(=納税者一般)→東電の(将来の)顧客、という順序になるように思われる。

 但し、この中では、国の責任の認定によっては、国の順位が繰り上がる可能性がある。

 以上が、素朴な「あるべき論」だ。

 原則論を離れて、将来を予想することは愉快ではないが、現実的には、おそらく、何らかの株主責任(減資等による損失負担)を前倒しで問うと共に、東電のリストラ計画を加える程度の「軽度のけじめ」を加える程度の修正を行って、今回のスキームに近い形が出来上がるのではないだろうか。

 金融機関も社債保有者も保護されて、国は責任問題の前面には出ずに済む。いかにもありそうな構図ではないか。

 この場合、「原発賠償機構」の役割は何か。一言で言うと「(東電の)金融機関、社債保有者、国の負担を、東電の顧客負担にすり替えるための、時間と、曖昧さを作るための仕組み」ということになるだろう。

 サンデル先生のいう通り、日本国民は、もっと議論した方がいい。

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]