団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

<再生可能エネルギー>日本の特許が55% 世界で最多

2011-07-31 21:02:56 | 日記

世界各国で出願された4万7000件余りの再生可能エネルギーに関する特許のうち、日本で出願された特許件数が全体の55%を占めることが、環境省のまとめで分かった。

日本の活発な研究現場の実態を示す一方、生産現場の技術力は他国に及ばないとの専門家の評価もあり、実用化に向けた幅広い展開が今後の課題になりそうだ。

 世界知的所有権機関(WIPO)の調査を踏まえて同省が調べ、中央環境審議会に報告した。中国は91~06年、その他は70~00年代を対象に調べた結果、日本での特許出願が55%で、米国21%▽欧州7%▽複数国で有効な国際出願7%▽韓国7%▽中国3%と続いた。

 日本での特許出願のうち、太陽光発電・太陽熱などの太陽エネルギーが57%と最多で、水力14%▽バイオエネルギー12%▽風力8%▽地熱5%▽海流や潮の満ち引きなどを利用する潮力や波力4%。

 独立行政法人・科学技術振興機構の「科学技術・研究開発の国際比較」11年版によると、日本の再生可能エネルギーは「大学・公的機関の研究」「企業の研究開発」で4段階評価で最も高い「非常に進んでいる」とされたが、「企業の生産現場の技術力」では「進んでいる」にとどまり、欧州や中国の「非常に進んでいる」に及ばなかった。

 国際比較は同機構が専門家に依頼し、最新の文献や国際学会の動向、研究者や技術者からの聞き取り調査結果などをまとめたもの。日本については「国内市場が小さく技術の実用化が遅れている。太陽電池と風力発電は世界市場が急速に拡大しているが、コスト競争力の点で劣勢」などとされた。同省は「技術開発力では他国を圧倒しているが、産業への展開に課題があり、いつの間にかシェアを海外企業に奪われているのが現実だ」と分析している
【江口一】


原発のあるまち…福島・福井、膨らんだ赤字

2011-07-31 19:37:36 | 日記

 初夏のある日の午後5時すぎ、福井県敦賀市の敦賀原発に向かう道路に地元の観光バスが列を作っていた。日中は交通量の少ない道路だが、このときは警備員がバスを誘導しなければならないほど混み合う。原発は原則として13カ月に1度定期検査をすることになっている。バスは、検査に伴って各地から集まってきた原発関連企業の社員らを乗せて出発した。定期検査時期になると、JR敦賀駅前などのビジネスホテルは原発関連の宿泊客で埋まることが多い。

 福井は東尋坊(とうじんぼう)や芦原(あわら)温泉などがある県北部の嶺北(れいほく)に比べ、原発が集中する南部の嶺南(れいなん)は観光スポットが少ない。若狭湾に面した高浜原発(高浜町)に近い宿泊施設も夏の海水浴や冬のカニシーズン以外の実情は“原発頼み”。民宿の女将(おかみ)(64)は「原発関連のお客さんは、何カ月も泊まってくれるので部屋はほぼいっぱい」と話す。

 また、住民の3割以上が原発関連の仕事に就いているとされる美浜町。40年以上前の建設当初は草刈りなど単純作業が多かったが、今では専門業務の請負もある。周辺の浚渫(しゅんせつ)や機械設置に伴う潜水作業に従事したという60代の男性は「収入は安定し、仕事に誇りも感じる。作業で不安を感じたことは一度もない」と言い切った。

 ベイエリアにそびえるリゾートホテル、ヨットハーバー…。おおい町の若狭湾沿いに平成21年に本格オープンしたレジャー施設「うみんぴあ大飯(おおい)」。大飯原発を抱える同町などが整備したが、豪華な光景とは対照的に、雑草の茂る広大な空き地がひときわ目立つ。

 敷地内にあるホテルうみんぴあは、建設費と運営費は計50億円に上るが、このうち20億円は国から原発立地自治体に交付される「電源三法交付金」があてられた。町商工観光振興課の担当者は「(交付金の)恩恵がなければ、こうした施設はできなかった」と話す。

 計画当初はデパートなどの進出も見込んだが景気低迷でかなわず、企業誘致対象約5万平方メートルのうち、原発関連企業が進出したものの、今夏開業予定だったホームセンターは東日本大震災による事業見直しで計画を保留した。残り2万平方メートルの誘致見通しは立っていない。

 「マスコミで(福島の)原発事故が取り上げられることで、風評被害は企業誘致にも影響しかねない」。誘致担当者は神経をとがらせる。

 こうした“原発マネー”を活用したレジャー施設が、自治体財政を苦しめる例がある。敦賀市の温泉施設「リラ・ポート」は、展望レストランや露天風呂、プールなどを備え、約24億4千万円の電源三法交付金が投入された。しかし年間運営費1億円が市の財政を圧迫し、民間に運営を委託。22年度の収入は約3億5千万円だったが、累積赤字は約7億5千万円に上る。

 市財政課職員は「電源三法交付金で建設した施設は毎年数千万円以上の赤字。これはどこの市町村も変わらない」と明かす。

 「一つ後悔するとしたら、地元の企業に何も恩恵がなかったことだ」

 元美浜町原子力対策室長補佐の町野孝博(73)は指摘する。原発を誘致した昭和30年代、高度成長のまっただ中とあって地元企業は住宅建設に集中し、原発には見向きもしなかった。住宅ブームが去ると原発関連事業に参画することもできず、一気に沈滞した。

 現在、全国の原発立地地域で広まっているのが、女川(おながわ)原発(宮城県女川町)建設時に地元企業を下請けに回して成功した「女川方式」。美浜町でも、稼働40年を超えた美浜1号機の後継機増設で地元企業の参画が模索されている。

 ただ、福島原発事故を機に増設の機運は一気にしぼんだ。2基の増設計画がある敦賀原発の地元、敦賀商工会議所常務理事、澤本光男(57)は「受注工事を起爆剤に地元を活気づかせたいが…」と苦渋の表情を浮かべた。(敬称略)

 (産経新聞)


減税日本は小沢新党の布石。

2011-07-31 18:56:07 | 日記

減税日本、来月28日に党本部設立へ 

副代表の佐藤は小沢チルドレン

河村たかし名古屋市長が率いる地域政党「減税日本」が8月28日に市内のホテルで議員総会を開き、全国拡大に向けた足掛かりとなる党本部を設立する。党の政策決定や選挙対策を行う組織体制を整え、国政選挙を見据えた党勢基盤の拡大に乗り出す。

 総会では、河村市長を代表とする執行部人事を決める。副代表には佐藤夕子衆院議員が内定した。政策の意思決定機関や選挙の公認・推薦などを決める選対組織が設置され、党規約も発表する。

 発足時の党員構成は、減税日本公認の愛知県議13人と名古屋市議28人のほか、愛知県一宮市議が1人、東京都板橋区と豊島区議が各1人、長野県の松本市議と豊丘村議が各1人となる見通し。推薦を出した全国の無所属議員にも参加を呼び掛け、党勢拡大を狙う。

 本部事務所は、河村市長の個人事務所(名古屋市東区)近くに置く。党費は集めない方針で、運営費は政治資金パーティーの収入でまかなうという。

 国政復帰がささやかれる河村市長は「今は市民税10%減税などの公約実現に全力を挙げる」とする一方、「日本中が増税に傾く中、減税という責任ある政策を名古屋から訴えていく拠点にしたい」と話している。

河村はバラバラの市議28人もまとめられずに、全国に打って出ようとは、身の程知らずだ。

熱烈に応援した名古屋市民は河村にガッカリして、多数が応援やめている。

そんな状況を河村も、変な取り巻きでは、理解できないようだ。

小沢から、煽てられて、全国区にしたいようだが、無理だ。

河村も、取り巻きも、グループで、人を育てる力も、勉強会を率先する人材も無い。

市議、県議も、公約を公約でないかの様に発言して、逃げまくり、

河村人気に便乗した、バクチ当選だけの程度、中身なし。

名古屋市民の被害を全国には広げたくない。

報酬800万円以外の河村は信用できなかった。

まして、便乗当選の議員達のレベルは低すぎた。

しかし、旧態依然の民主、自民に議会をリードさせたくない。

一番の被害者は市民。

この状況を作ったのも市民。

みんなの党は任せられるだろうか?


【特別対談】古賀茂明vs高橋洋一(後篇)

2011-07-30 23:05:26 | 日記

前篇では、安倍政権下で高橋氏がサポートした国家公務員制度改革のスタートから、それを引き継いだ古賀氏の国家公務員法改正案が、どうして廃案に追い込まれたかまでを語ってもらった。後編では、民主党が政治主導を高らかに掲げて政権交代を実現したにもかかわらず、なぜ公務員制度改革が後退していったのか、霞ヶ関の巻き返しによって「官僚内閣制」が続けば、日本経済にどのような影響が出てくると予想されるかについて語り合う。
(撮影/宇佐見利明)

かくて民主党政権は官僚の手に落ちた
このままでは安易な増税路線に突き進む

公務員制度改革は
政治主導を実現するため

司会 話は前後しますが、なぜ古賀さんは自らの地位をかけてまで公務員制度改革に挑んだのですか。

古賀 今の政府の最大の問題点は、「政治主導、政治主導」という割には、そもそも政治家がしっかりしていないことなのですが――いくら政治家がやる気を見せたとしても、なかなか官僚がそちらを向いて仕事をする仕組みになっていないからです。

 基本的に役所にいると、大臣とか総理を見るよりも、事務次官を見て役所のために役所の利益を拡大するように働くと、それで昇進するという仕組みになっている。だからそこの仕組みを変えないといけない。

 例えば小泉改革で、郵政民営化や道路公団の民営化、あるいは政策金融機関の統合をやって、「ああ大きく動いたな」と思っても、小泉さんがいなくなった途端にダーと後退してしまうというようなことが起きる。

 だから、たまたま強い人がいたから総理の考える方に動いたということではなくて、どうやって(官僚が)制度的に総理や大臣の方を見ないといけない仕組みをつくるか、それが公務員制度改革の本筋だと思うのです。

司会 現在は、国家公務員採用Ⅰ種試験に合格した、いわゆるキャリア組は、採用やその後の人事管理についても、各省庁ごとに行われている。これが「省あって国なし」といわれる縦割り主義の弊害を生んでいる。このため、古賀さんたちがつくった国家公務員法改正案の目玉は、一つが人事と組織を内閣で一元的に管理する「内閣人事局」の設置と、もう一つが「国家戦略スタッフ」の創設でしたね。

古賀 後者は政治主導を実現するために、首相官邸と各省の大臣が自前のスタッフを思う存分使えるようにする制度です。首相や大臣が、すでに官庁を辞めた人も含めて、能力も高く首相や大臣へのロイヤリティも高いという人を、スタッフとして何人かおき、その人たちの意見を聞きながらやっていくことができるようにしようとした。官邸は「国家戦略スタッフ」、各省は「政務スタッフ」という名前です。

 例えば、今回の大震災でも、官邸に外部から人を入れようとすると、ポストがないからといって、参与とか特別参与、顧問とか、いろんな名前をつけて入たけれども、その権限がはっきりしないので、重要な情報を伝えられないなどということがあって、うまく機能しない。

 政府の内外からきちんとスタッフを採用できる制度をつくれば、総理に就任して最初の記者会見をする時に、「国家戦略スタッフはだれを使うんですか?」という質問がでるでしょう。「これから考えます」と答えるわけにはいかないから、総理を目指す人は普段から、このことを考えておかなくてはいけない。自分は何をやりたいか、これが一番大事だけれども、それを実現するためには、自分をサポートしてくれるスタッフを考える。総理と自分が選んだスタッフが、一緒に官邸に入っていけば、最初なかなか大変でも、官僚と戦うところは戦い、使うところはうまく使うというようなことができるはずです。

 なんと言っても、政治主導を実現するには最初が大事、官邸に入ってきた時なのですから。

緒戦でつまづいた
民主党の政治主導

司会 政治主導を勇ましく掲げていた民主党も、最初で失敗したと。

古賀 民主党は過去のしがらみが全くないわけだから、「オレたちはゼロから思い切りやるよ」と、やればよかった。だけれども、最初のところで、官僚を敵に回すとやっていけなくなるかもしれないという恐怖感で、少しと怖気づいて、いきなり戦うのはやめようという対応をしたから、全然、前に進めなくなったということでしょう。

高橋 その具体的な例は、例えば鳩山(由紀夫前首相)さんが、最初、「民主党が政権をとったら、いったんは局長や事務次官に辞表を出してもらう」と言っていたでしょう。あれは、当たり前のことなのだけれども、政権についたら、すぐにトーンを弱めた。あれで官僚のほうは、「あ、これは与し易し」となった。

 それでその時の官僚側の理屈が、とても変。そういう話になると、公務員は身分保障が認められているという話をする。事務次官や局長は、民間企業でいえば取締役。特に事務次官は官僚組織のトップで、取締役の中でも専務クラスだと思います。そういう人たちが「身分保障だ、だって私は一労働者なんです」と言い出したら、ジョークにもならないでしょ。

古賀 私たちのチームは、政治主導を実現するために、身分保障をなくして、大臣が幹部公務員を降格したり、辞めさせたりできるような仕組みにすることを考えていた。そうしたら、法律全体をつくるのは私の担当なのに、その部分については私のチームの担当ではなくなったのです。他のチームでやる。そのチームは完全サボタージュです。

最初の予算編成で
財務省に屈服した民主党

司会 古賀さんは民主党政権が発足した2009年の9月は、まだ事務局の審議官だったわけですね。

古賀 最初、鳩山政権で行政刷新担当の大臣となった仙谷(由人)さんの補佐官になるという話があった。それで行政刷新会議のメンバーをどうするとか、公務員制度改革事務局長をだれにしようかという話までしていました。

 しかし、官邸官僚などの抵抗でできなかった。要するに、彼らが本気で戦ってくるのが怖くなってしまった。恐らくそれは、松井(孝治参議院議員・経済産業省出身)さんとか、古川(元久衆議院議員・財務省出身)さんなど、民主党の「過去官僚」議員が進言したのではないでしょうか。鳩山さんや、菅さんに、「官僚と闘いたいお気持ちはわかりますが、今やったら終わりです。予算が編成できなくなりますよ」と。そして私の人事の話もひっくり返されて、その後はどんどん改革が後ろに下がっていく。

 ただ、そのとき仙谷さんは、民主党の中では外様(とざま)だった。小沢(一郎)さんの力がまだ強くて、小沢さんと対立している仙谷さんが、よく大臣になれたなと言われた時期でしたから。仙谷さんというと官房長官のときのイメージが強くて、すごい権力者というイメージなのだけれども、最初はそうではない。そのときはやはりまだ自分の力が十分でないから、少し自重しておこうというような入り方をした。

 だから、仙谷さんから直接ではないけれども、聞こえてきた話では「公務員制度改革事務局の上のほうは全部辞めてもらうけれどど、古賀さんには残ってもらうから」と、言われていた。ところが、2ヵ月ぐらい経ったら、「古賀さん、難しいみたい」と。みんなが出身省庁に戻るのに、私だけ残すとそれこそ官僚全部敵に回すことになるから。「別途処遇しますから、そのとき戻って来てください」と言われて、経産省に戻ったのです。

司会 経産省に戻り、官房付になったのは、いつですか?

古賀 2009年の12月17日です。その時は、公務員改革事務局の幹部は一掃。事務局長、次長、審議官、みんなクビになった。

高橋 政権交代が9月。それで、自民党政権下で行った2010年度予算の概算要求やり直さなくてはいけない。

司会 普通であれば、予算については8月末までに各省庁が財務省に概算要求を出し、12月の終わりまでには財務省が原案を示して、各省庁との復活折衝を経て政府案が決まる。そして、年が明けた1月の通常国会に、政府案が国会にあげられて審議が始まるという手順ですね。

高橋 総選挙があったおかげで、予算の年内編成できるか、できないかという段階だったので、民主党は財務省に脅されたのではないか。はっきり言うと、概算要求なんて自公政権のものをやり直おすといっても形だけで、編成作業の途中で「代要求」させてもいいから、たいした時間はかからない。民主党が財務省に言わされているなとわかったのは、予算編成を平年通り年内編成にしたいと言ったから。これを言ったらダメです。「選挙で予算編成の日程が少し遅れたので、あとは政治主導でそれなりにやります。越年編成もありうる」と言えばよかった。

 そうこうしているうちに、古賀さんの処遇があやしい雲行きになってきたので、民主党は公務員制度改革ではなくて予算を優先させたと感じましたね。前回も言ったように財務省が公務員制度運営の親玉なわけです。それで、予算とるか制度改革をとるか、民主党は踏み絵を踏まされたのではないかと感じましたね。

古賀 予算編成は越年ですと、言えばよかったのにね。

高橋 越年しても、実は大したことはない。なぜかと言うと、1月の最後の週に通常国会始まる。だから、普通であれば少し時期が遅れたから越年して、「お正月も働きます」で終わるのです。政府案は通常国会がはじまる1月の最後の週に出せばいいのですから。官僚のお正月休みがなくなるだけですよ。そちらの方が民主党政権はよく働くとなって多分、国民の受けもよかった。

古賀 しかも衆議院であれだけの圧倒的多数を抑えたのだから、予算の審議だって普通よりも簡単にいけたはずです。

司会 民主党と霞ヶ関の官僚とは、どういうような関係だったのでしょうか。

古賀 最初は公務員というのはけしからん、我々の敵(かたき)かライバルというような感覚で入ってきた。官僚と戦って殲滅せよみたいな感じですね。本当はそうではなくて、上下関係なのです。政治が上にたって、官僚を使えばいいだけの話。それがいかにも「私たちは官僚よりも優秀です」みたいな感じで、「官僚より電卓を打つのが速い」と言って、自慢したりしてね。「おれたちは勝ったんだから、おまえらどけ」みたいなことを、最初やろうとした。だけれども、もちろん全くうまくいかない。

 菅さんはいまだにそういう気分が残っていて、ときどき官僚はどけ、おれは友達と一緒にやるみたいなことをやったりしていますが、実際にはそれではうまく機能しない。それで、反対に「できないなあ」とわかってしまうと、今度は「お願いします、お願いします」という感じになって、官僚のご機嫌とりながら仲良くやりましょうというような具合に、ガラーッと変わってしまった。

天下り斡旋の禁止を骨抜きにした
現役出向制度の厚顔無恥 

司会 民主党は政治主導を錦の御旗のように掲げていたにも関わらず、その覚悟も強固なものでなく、かつ実践する手段も未熟だったために、結局は官僚と妥協して逆にからめ捕られてしまったということですね。

高橋 やはり言っていたことと、やったことが違いすぎる。例えば、天下り根絶と言っていたのに、現役出向制度を認めたでしょう。あれはないですよ。以前だったら、あれは「裏下り」です。

司会 現役出向とは2010年の6月に菅政権が閣議決定した「退職管理基本方針」のことですね。安倍政権のときに高橋さんたちがやった国家公務員法の改正で、省庁による天下りの斡旋が禁止された。古賀さんの本によれば、「菅政権は、国家公務員法で禁じられているのは定年前の「勧奨退職」による天下りの斡旋であり、中高年の現役職員が公務員の身分を維持したまま出向したり派遣されるのは、これに当たらないとした」というものですね。これで天下り斡旋禁止は、事実上骨抜きになった。

高橋 われわれも天下りの斡旋をどのように回避するかいろいろ考えた際に、例えば、官僚OBが官僚制度の外で斡旋組織をつくるなどの方法があると思っていた。それなら官僚は自分たちは関与していないといえるからです。しかし、この現役出向制度は、あまりに見え見えでひどいだろうというレベルのものだった。だから、あれで「天下りじゃない」と言ってしまったら、はっきり言って嘘をついてるようなものです。

古賀 私が事務局にいたときに、あれについてはいろいろ議論していた。というのも、もともと民間に公務員を派遣・出向するための法律があるのだが、その法律の目的には、若手が民間に行って勉強して役所に戻って、それを仕事に活かしましょうという主旨のことが書いてあるのです。

 それに照らせば、年寄りを民間に出し、勉強して戻ってきたらすぐに退職になって、そこの民間会社に行きますというのは、どう考えても法律の目的に反している。だから、その頃は事務局の官僚もまだ真面目で、これはとてもできないと。やるなら法律の目的を改正するしかないので、公務員のお年寄りは立派な知識を持っているから、それを民間で活かしましょうみたいな、そういう目的を作るか、と。でも、「そんなこととても言えないよな」ということになって、お蔵入りしたのです。

高橋 そうですよ、それが普通ですよ。

古賀 あれはだから、いまの官僚は本当に、ある意味よくもここまでやるなあ、大したもんだという感じですね。

高橋 よくやったどころじゃないですよね。今まで天下りと言えば、退職した人が行っていたのに、今度は現役で派遣されたら、どちらが所管業界や企業に影響力がある?だれが考えてもわかるでしょう。おまけに出向させていた期間も、退職金計算の期間に加えるという通算規定とかも全部つくった。あまりにも、官僚の意図が見え見えで、開いた口がふさがらない。この現役出向の一件を見ていたら、官僚にやりたい放題やられて、民主党政権は終わってしまうのではないかと。正直言って、あれはもう失望の最たるものでしたね。

古賀 だから、これはいくらなんでもひどいと思って、意を決して2010年の6月に雑誌(『週刊エコノミスト』)に、論文を書いたのです。これをやられたら、もう政治主導は終わり、絶対あとに戻れませんよという主旨で書いたのですが、すぐに「退職管理基本方針」が閣議決定されてしまいました。

高橋 これで公務員制度改革の一番バッターだった出口(前回参照)規制である天下り斡旋の禁止の肝が、完璧に抜けてしまった。ここでまでやられると、民主党は公務員制度改革で、国民の納得をえるような形で失地を回復することは、難しいでしょうね。

公務員の給与は
実は民間よりもずっと高い

司会 時間も迫ってきました。最後に、公務員制度改革が後退し、いわゆる「官僚内閣制」が続くと、この国の将来はどうなるかについて、ご意見をお伺いしたい。とくに、震災の復興のため、さらには社会保障制度の維持のためという大義のもとで、増税が既定路線になりつつありますが……。

高橋 増税という点では、公務員の給与の問題が大きい。いろんな調査をしても公務員の給与は、民間に比べて高い。政府としては公務員の給与を2割カットしても、せいぜい数兆円の支出削減にしかならないから、増税させてくださいということになるのだろうが、これは無理。民主党は「2割カットを、やる、やる」と言っているが、ようやらんでしょうね。今度出す法案では、1割カットくらいはやるかもしれないけれど。

古賀 幹部で1割ですね。しかも3年間です。

高橋 そうそう、時限付き。それから国家公務員の給料がどれくらい民間より高いかというと、多分2割ぐらいは高いのではないか。実は人事院の調査自体が民間の給与の高いところだけを比較対象に採っているから、そこと比べるというのはおかしな話なのですね。普通の平均的な民間企業とくらべたら、公務員の給与は全然高い。

 今の民主党だと公務員の組合に気兼ねして、労働基本権を未来永劫あげる代わりに、給与カットは時限適用ということになりかねない。労働基本権の付与というのは恒久的な話です。一方、給与カットのほうは3年間。与える権利は恒久的で、給与カットは時限付きというのでは、両者をバーターだと考えても、バーターの条件にもならない。

増税を主張する政治家は
既得権益者との戦いを避けている

古賀 結局、いまの公務員制度は、各省ごとの互助会とか協同組合みたいなものになってるわけです、天下り含めて。官僚の老後の生活を保障するためには、天下り先の団体を温存しなくてはいけなくて、そのための予算を付けなくてはいけないし、規制も残さなくてはいけない。そうすると、結局、いろいろな改革できない。政府や政治家は「財政再建、財政再建」と言っているのだけれども、改革ができないと、財務省を筆頭に増税による財政再建に向かってしまう。

 しかし、経済規模自体が名目値でどんどん小さくなるなかで、財政再建なんてできるはずがない。それをやるためには、マクロの政策でデフレ脱却を目指さなくてはいけない。さらに少子高齢化に対応するためには、成長率も高めていかなければならない。そのためには生産性が上がらなくてはいけない。そして本当の成長分野がどんどん伸びないといけない。

 成長分野へ自由にお金も人も流れこんでくるようにしなくてはいけない。例えば、この前の自民党の成長戦略などを見ても、これからは農業が伸びます、医療が伸びます、再生可能エネルギーも伸びますなどと言っているわけだけれども、農業では株式会社は活躍できません、医療でも株式会社は活躍できません。電力は地域独占で新規参入は事実上できませんというように、成長分野では企業が自由に活動できないようになっている。自由主義、資本主義の日本なのに、奇妙なことです。

 それを変えるには、農協や医師会、電事連(電気事業連合会)と戦わなくてはいけない。本当に成長率上げようとしたら、マクロの政策と同時にミクロでは、既得権グループと戦わないといけない。そして、そこは官僚・公務員の仕組み、天下りの仕組みと一体となっていて、既得権ががっちり構築されている。

 増税は不人気な政策なので、それを主張できる政治家が責任感のある立派な政治家だと、与謝野(馨経済財政当大臣)さんなどは真剣に言う。しかし、消費税を上げるというのは、いわば一番弱い庶民を相手に戦っているわけですよ。そんなことしないで、マクロの政策では日銀と戦う、ミクロの政策では医師会とか、農協といった今まで自民党は歯が立たなかった既得権グループと戦うことのほうが、よほど難しい。それができないから、庶民と戦うなんて最低ですよね。

 だから私が言っているのは、あれもこれもという「ばらまきの成長戦略」ではなくて、「戦う成長戦略」です。戦う成長戦略をやれる政治家が、本当の責任政治家、責任政党であると思いますね。

 ただ、政治だけではできないので、官僚をうまく使ってそれを実現しなくてはいけないのだけれども、官僚がそういう方向で動く仕組みになっているかと言えば、そのための公務員制度改革が全然できていない。そうすると成長率を高めることによって、財政を健全化するという路線を採れずに、日本経済はじり貧でずるずると後退する。

 結局、財政再建ができずに、本当に財政が破たんしてしまうか、あるいは日本の国民はすごく従順なので「大増税お願いします。破たんするよりましです」と言って、消費税が20%や30%になり、日本の経済が奈落の底に落ちて行くという、とんでもない間違いを起こす可能性がある。

高橋 一つだけ付け加えると、要するに、普通、財政再建のセオリーでは、デフレを脱却し名目成長率を高め、その上で埋蔵金活用や政府が保有している資産の売却、政府系企業の民営化をやるほうが先なのです。増税を主張する人たちは、実はそれから逃げている。デフレ脱却、埋蔵金や資産売却なり民営化は、日銀を含む官僚機構の一番強い部分とぶつかるから。

 政治家でいえば、中川(秀直・自民党衆議議員)さんや塩崎(恭久・自民党衆議院議員)さんは、実は埋蔵金や資産売却、民営化などに対してすごく熱心。だから、熱心な人というのは、実は公務員制度改革にも熱心なのです。熱心ではない人は、実は増税に熱心、というところがありますね。

 財政再建のセオリーからも外れているので、結局、小刻みなつまらない増税という話になってしまう。増税は財政再建のツールの一つではあるが、優先順位としては一番劣後するツールなのです。埋蔵金、資産売却や民営化とか、デフレ脱却して名目成長率を高めるほうが、実ははるかに財政再建には効果がある。

 だから、公務員制度改革ができない人には、「増税なき財政再建路線」は採れないから「増税路線」になる。増税に頼る路線は、正解でないばかりか、日本経済が破滅的な道を行くことになります。だから、公務員制度改革やる人が、実は今一番迂遠なようだけれども、正当な解を出しているということです。


FX規制:証拠金倍増は個人投資家に冷水、円高ブレーキ弱まりも

2011-07-30 22:52:07 | 日記

今年8月1日から実施される外国為替(FX)証拠金取引への規制強化で、為替市場への影響力を強めてきた日本の個人投資家の勢いが衰える可能性が高まっている。 

 

 規制強化は投機的でリスクの高い取引を制限するのが目的で、投資家は取引に当たり従来の倍以上の証拠金積み増しを義務付けられる。この措置による中長期的な円相場への影響は限定的とみられているが、これまでドルの下値を支えてきた個人投資家の影響力が低下し、「円高ブレーキ」が弱まるとの見方もある。記録的水準に積み上がった外貨買い持ちの急激な解消を予想する声も出ている。

 

 <証拠金引き上げは円高加速につながる可能性>

 

 7月8日夜、東京・日本橋のレストランに男女46人が集まった。学生から会社員まで職業はさまざまで、年齢も21歳から71歳までと幅広い。一見ばらばらに見える彼らの共通点は、個人のFX投資家であること。6月米雇用統計の発表を見届けるというFX業者の催しに参加するため、都内はもちろん岐阜県や兵庫県からも駆け付けた。

 

 「3、2、1、ゼロ」。発表時間の午後9時30分ちょうどにカウントダウンが終わると、店内の巨大画面に映し出されたドル/円のチャートが大陰線を引いた。米雇用統計の内容が事前の楽観ムードを裏切る内容で、ドルは80円付近まで急落。参加者からはどよめきが起きた。「米国の景気はそんなに簡単に回復しないだろうから円高に振れるだろうと思っていたが、最近負けていたので今日はポジションを持たなかった」と、藤沢市に住む大学生の小田裕貴さん(21)。「ああ、やっぱり円高だったかと少し後悔した」。

 

 「ミセス・ワタナベ」、「キモノ(着物)トレーダー」──。 長い間プロの業者が支配してきた為替取引の世界で、日本の個人投資家たちはこんな呼び名が付くほど存在感を高めている。国内でFX取引を行う個人投資家はたまに取引を行う人を含めれば10万人近いと言われる。プロの投機筋や機関投資家、輸出入企業などと並ぶ外国為替市場の主要参加者であり、国際決算銀行(BIS)がまとめた1日の円の取引額約25兆円(2010年4月)のおよそ2─3割を占めるとの見方もある。

 

 その一方で、FX投資ブームの舞台となっている証拠金取引では、無理な投資によって大きな損失を被る個人投資家も急増。日本の金融庁は8月1日から規制を一段と強化し、投機的でリスクの高い取引に制限を加えることを決めた。新規制では、取引額の2%以上(レバレッジ50倍)から4%以上(レバレッジ25倍)に証拠金が倍増され、高リスクの取引が抑制される。

 

 もともと青天井だった倍率を50倍に制限した昨年8月の規制では、個人の取引高が減少する副作用が起きた。今回、同様の反応が起これば、相場への影響も無視できない。一般的に個人投資家は相場の流れと逆方向に売買する傾向が強く、ドル80円割れが続く現在のような局面では積極的にドル買い/円売りに動く。つまり、円高にブレーキをかける機能を果たしているわけだが、今回の規制で取引が一段と減少すれば、そのブレーキ効果がさらに弱まる可能性がある。

 <昨年の50倍規制では取引高は3─4割減>

 

 矢野経済研究所が店頭FX11社を対象に実施した調査によると、昨年は6月ごろから証拠金残高が増え始め、規制の始まった8月は5月に比べ約3割増加した。今年も同様に、「ここ2、3カ月、証拠金の入金が増えている。規制に備えての動きかもしれない」と、外為どっとコムの経営企画部長、前田卓宏氏は言う。しかし、昨年は結局、取引を減らす動きが勝り、東京金融取引所が運営するFX取引所「くりっく365」を含めた業界全体の取引高は一時的に3─4割減った。

 

 規制強化に対する個人投資家の反応はどうか。ユーロ/ドルを中心に倍率50倍の取引をしている都内の会社員、志農亜沙美(24)さんは「取引を続けてはいくがポジションは減らす」と話す。半年ほど前にFXを始めた大学生の小田さんも50倍の取引をしており、「証拠金は増やせない。(取引を)減らすしかない」と言う。FX業者の間でも、今回もまた取引高の減少のほうが証拠金の積み増しを上回ると予想する声が多く、FXプライムは最大2割、外為どっとコムは1─2割ほど自社へのマイナス影響を見込んでいる。

 

 矢野経済研究所が昨年8月にまとめたレポートでは、2012年3月の業界全体の年間取引高は、前年から約24%減少すると予測していた。最新の見通しは集計中だが、同研究所の主任研究員、白倉和弘氏は「50倍に引き下げされたときよりも影響は小さいとみているが、今年3月の実績より下がるのは間違いないだろう」と語る。

 

 東京金融取引所の「くりっく365」は、8月1日に中国人民元/円、韓国ウォン/円、インドルピー/円のアジア3通貨ペアを上場させる。成長力のある新興国通貨を加え、個人投資家の引き留めを狙う。またセントラル短資は同社に口座を保有する顧客に外貨両替レートの優遇サービスを始めたが、「規制はビジネスの圧迫要因だけでなく、新たなビジネス・チャンスを開くという面もある」(FX湘南投資グループ代表の野村雅道氏)との指摘も出ている。

 

 <外貨買い持ちが記録的な水準、反動を警戒>

 

 規制強化が為替相場にもたらす影響は、ドル/円に最も大きく現れそうだ。昨年8月、ドル/円相場は86円台から83円台へ1カ月で3円下落した。米国で量的緩和第2弾(QE2)の議論が始まり、ドルが主要通貨に対して売られやすい局面だったため、規制が相場に直接影響したと断じることはできない。日本の通貨当局は「個人はかなり短期で動いているので、取引高が減っても相場への影響はあまりないだろう」と、それほど警戒していない。

 

 しかし外為市場は変動の要因を特定するのが難しく、昨夏の倍率規制とドル/円下落の因果関係も完全には否定できない。「日本の個人は外貨を買う行動をする。(昨年は)そこが何割か減ったのは事実で、相場にも影響はあったかもしれない」と、FXプライムの五十嵐真社長は語る。「今回も何らかの影響はあると思う」という。

とりわけ、個人の外貨買い持ちが記録的な水準に積み上がっている今、規制強化が始まる前後に急激に持ち高が解消される可能性には注意が必要だ。FX業界の元為替アナリストによると、FX会社から届いたメールを顧客の個人投資家が開封する割合は2─3割だという。  

 FX会社からの度重なる通知にもかかわらず「倍率の上限を超えているのに気付かず、昨年は当日朝に持ち高を強制的に減らされる人がいた」と同氏は話す。「今回もそういうケースは出るだろう。市場全体の持ち高の偏りにもよるが、その思惑を利用して投機筋がドル/円を売り浴びせる可能性は否定できない」という。

 

 (ロイターニュース 久保信博;編集 北松克朗) [東京 28日 ロイター]