速報で 「Fender ’54 Stratcaster ゲットした」 ことを紹介しましたが、その続報です。
ゲットしたのは、お店の触れ込みでは、「Fender Japan ST-54 83DMC」です。しかし、楽器屋さんでも、中古で取得した機材については、本当の素性については確信がもてない、もしくは誤認していることがあるので、自分でできる限り調べてみます。
本器についても、お店の説明では
アッシュボディ、メイプルネック、メイプル指板。
搭載されたピックアップは芯がありタイトなサウンドを出力し、ルックス、サウンド共にヴィンテージに追従した一本です。
トップラッカーフィニッシュによりボディ鳴りを存分に発揮します。
との説明でしたが、少なくとも、ST-54 83DMC であるなら、トップラッカーフィニッシュではないですよね。
では、まず、年代測定です。
S0****** は、Fender Japan オフィシャルの シリアル検索によれば、2006から2008年の製造です。
このころ(1997~2008年ごろまで)は、Crafted in Japan の表記となっています。これは、Wikipedia によれば、1982年から、Made in Japan の表記で製造を続けていた、富士弦楽器製造が、バブル崩壊後、フェンダーメキシコなどの設備投資で大きな負債を抱え、1997年にフェンダーメキシコ社と共にフェンダー・ジャパン社を売却。完全子会社化したフェンダーはフェンダーメキシコ社のみを残し、フェンダージャパンはスクワイアへと統合され消滅してしまいます。
その後、代理店であり株主でもあった神田商会が新たなビジネスとして1997年中にフェンダーから商標と楽器製造のコピーライセンスの使用許諾を得て、『フェンダー・ジャパン』を自社のプライベートブランドとして再興、東海楽器や寺田楽器、アトランシアなどの外注で木工などの製造を行い、神田商会の子会社のダイナ楽器で組み込み、販売をする形態の時期に、「Crafted in Japan」の表記だったようです。
その後、2007年にダイナ楽器が設備投資して単独で製造するようになり、現在は、以前(富士弦楽器製造が製造していた)と同様な、Made in Japan 表記となっているようです。
当時のカタログを見ると、2006年には83DMCは存在せず(ST-54 75DMC ~価格改定前だと思います~というのがあります)、2006・7年(価格改定版)には、確かにST-54 83DMC 販売の痕跡があります。
(2006/7年 価格改定版 カタログ)
ところが、ブリッジの素材を見てみると、ダイキャストではなく、明らかにスチールブロックなんです。かつ、ネックを見てみると ST-54 との記載しかありません。
となると、お店の売り込みを信じれば、最高ランクのトップラッカーフィニッシュのST-54 120DMC(126,000円もします!!) の可能性も出てきました。
(2006/7年 価格改定版 カタログ)
しかし、アッシュボディーはどうみても120DMCの2ピースではなく3ピース構造です。
いよいよ、分からなくなりました。
そこで、ピックガードをひっくり返してみることにしました。
ポッドは、USA Made の CTS Pods ではないですね。
さらに、外してみると、ありました。こんなところに書いてあります。間違いなく ST-54 83DMC でした。2T(トゥトーン)まで書いてあります。
お店もこれを確認したのでしょう。ということは、結論として2007年発売のST-54 83DMC のトレモロブリッジブロックをダイキャスト製からスチール製に後から替えたものということになります。
ところで、この ST-54 83DMC 。仕様はまったく変わらないのに、2006年78,750円→2007年 87,150円→2008年 99,750円とたった3年間で3割近く価格改定がされています。そして、2008年版では、とうとう型番から値段を示す数字が除かれてしまいました。
(2008年版カタログ ST-54 DMC)
そして、2010年カタログからは、54年モデルはフラッグシップモデルのST-54 VSP(ヴィンテージ スペシャル)しかなくなってしまいます。
このように、ゲットしたST-54の出自が明らかになりましたので、 次は、オリジナル 1954年 Stratcaster との比較を後日やってみたいと思います。
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よくないとの評判のCrafted in japanでしたがなかなかどうして良いです。
そうですよね。すごく丁寧に作ってあるし、弾き心地や音も個性があって、侮れないと思うんですけれども。なんで、評判が悪いのか?
この ST-54 については、シリーズものでブログにしていきますので、良かったら他も見てくださいね。では。